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「春眠暁を覚えず」の正しい意味と使い方、由来、続き、類語、対義語、英語を解説

「春眠暁を覚えず(しゅんみんあかつきをおぼえず)」の意味は「春は寝心地がよくて寝過ごしてしまう」です。春の朝に起きられない事を説明したり、時候の挨拶として使用することができますが、春の季語なので春以外は使えません。「春の夜は短い」という意味ではないので注意しましょう。

「春眠暁を覚えず」とは

読み方は「しゅんみんあかつきをおぼえず」

「春眠暁を覚えず」の読み方は「しゅんみんをあかつきをおぼえず」です。 「春」は音読みで「シュン」、「眠」は音読みで「ミン」、「暁」は訓読みで「あかつき」、「覚」は訓読みで「おぼえる」と読みます。

本当の意味は「春は寝心地がよくて寝過ごしてしまう」

「春眠暁を覚えず」は「春の夜は短い」「朝がきたのかもわからない」という解釈があるようですが、正しい意味は「春は寝心地がよくて寝過ごしてしまう」です。 春の夜は寝心地がよく、ぐっすり眠れてしまうので夜が明けたことに気づかず寝坊をしてしまうということを言い表しています。 「春眠」は「春の夜のねむり」という意味です。 「暁」は「明け方。夜明け」のことです。 「覚えず」は「知らず知らず。」「無意識のうちに」「思わず」という意味です。 「春眠暁を覚えず」は「春」のことであり、旧暦3月頃と考えるのが妥当です。 新暦では3月下旬から5月上旬頃にあたります。

由来は孟浩然の漢詩

「春眠暁を覚えず」は、中国の唐の時代の詩人「孟浩然(もうこうぜん)」の漢詩です。 孟浩然は689年〜740年に活躍していた詩人で、自然を題材にした詩を書いて各地を放浪していました。 「春眠暁を覚えず」は、孟浩然の書いた「春暁(しゅんぎょう)という題名の詩の冒頭部分で、続きがあります。 全文は以下の通りです。

春眠不覚暁  (春眠暁を覚えず) 処処聞啼鳥を聞く (今はあちらこちらから鳥のさえずりが聞こえる) 夜来風雨の声 (きのう夜中には雨風の音がよく聞こえていたけど) 花落ちること知る多少 (花もどれだけ落ちてしまったことだろうなぁ)

ちなみに、「春はあけぼの」は全く別ものです。 「春はあけぼの」は、「春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山ぎは、すこし明かりて。紫だちたる雲のほそくたなびきたる」 という、清少納言の「枕草子」に書かれている詩の冒頭です。 「春はあけぼの」も「春眠暁を覚えず」も、「春の朝のすばらしさ」を詠っているという共通点はありますが、作者も時代も異なるものです。

「春眠暁を覚えず」の使い方と例文

春朝起きない人を説明したり注意したりして使う

「春眠暁を覚えず」は、春の朝になかなか起きれない人を説明したり、注意したりするときに「春眠暁を覚えずだ」というように使用されます。 日常会話では、あまり使用されないかもしれませんが、ビジネスシーンなどかしこまった場面では、「春眠暁を覚えずの候(こう)と申しますが...」と時候の挨拶の結びとして使用することもできます。

例文

  • 春眠暁を覚えずというので、寝過ごさないように気をつけてくださいね。
  • 春眠暁を覚えずの候と申しますが、皆様におかれましてもお健やかにお過ごしのことと存じます。
  • ついつい寝坊をしてしまうことが多くなった。春眠暁を覚えずだ。

春の季節以外には使えない

「春眠暁を覚えず」は、上述しているように「春の心地よさ」を言い表している表現です。 そのため、春以外の季節に使用することはできません。 「春眠暁を覚えず」のように、季節にふれる挨拶や慣用句は、その月にあったものを使用しましょう。

「春眠」単体でも使う

「春眠」は、「春の快い眠り」という意味で単体でも使います。 時候の挨拶では「春眠の候」というように使用します。 上述した「春眠暁を覚えずの候」は、口語で使用され「春眠の候」は書き言葉で使用されます。 手紙で用いる場合は「春眠の候」を使用するのが一般的です。

例文

  • 拝啓 春眠の候、貴社におかれましてはますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
  • 拝啓 春眠の折みぎり、○○様にはますますご健勝のことと拝察いたしております。
  • 拝啓 春眠の折、御一同様にはますますご壮健のことと存じます。

ただし「春夢」は儚いことのたとえ

ただし、「春夢」となると意味が異なります。 「春夢」は「しゅんむ」と読みます。 「春夢」の意味は「春の夜の夢」で、人生の儚さのたとえです。 「春眠」と似ているので、混合しないように注意しましょう。

「春眠暁を覚えず」の類語

朝寝

「朝寝」は「あさね」と読みます。 「朝寝」の意味は「朝遅くまで寝ていること」です。 朝、目が覚めず、つい寝過ごすことをいいます。 したがって、「春の夜は寝心地がよくて寝過ごしてしまう」という意味の「春眠暁を覚えず」の類語であるといえます。

ぬくぬく

「ぬくぬく」の意味は

  1. あたたかく気持ちがよいさま
  2. 傍から見て、安楽で不自由のないさま
  3. ずぶといさま。平気なさま。
  4. できたてのさま。ほやほや。

です。 「春眠暁を覚えず」は、春の暖かく気持ちのよい様子を言い表した言葉なので、「ぬくぬく」の一つ目の意味は類語であるといえます。

「春眠暁を覚えず」の対義語

早起き

「早起き」は「はやおき」と読みます。 「早起き」の意味は「朝早く起きること」です。 「春眠暁を覚えず」は、朝寝過ごしてしまうことを言い表す言葉なので、「早起き」とは対義語になります。

寒々

「寒々」は「さむざむ」と読みます。 「寒々」の意味は「いかにも寒そうなさま」です。 また、心に寒さを感じる意でも使用します。 「春眠暁を覚えず」は、春の心地よい暖かさを言い表す言葉なので、「寒さ」を意味する「寒々」は対義語になります。

「春眠暁を覚えず」の英語

can't wake up early in spring

「春眠暁を覚えず」の英語表現は、

can't wake up early in spring

春は早く起きられない

tend to oversleep in spring

春は寝坊しがちだ

sleep too long to see the sunrise in spring

春は寝すぎて日の出が見れない

などがあります。 ただし、英語圏には「春は朝起きられない」という概念がないため、上記のように言っても、ネイティブは「?」という感じだと思います。

まとめ

「春眠暁を覚えず」の本当の意味は「春は寝心地がよくて寝過ごしてしまう」です。 春の夜は寝心地がよく、ぐっすり眠れてしまうので夜が明けたことに気づかず寝坊をしてしまうということを言い表しています。 「春眠」は「春の夜のねむり」という意味です。 「暁」は「明け方。夜明け」のことです。 「覚えず」は「知らず知らず。」「無意識のうちに」「思わず」という意味です。

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