「損して得取れ」の意味は「一時は損をしても、それを基にそれ以上の利益を得るようにせよ」という意味です。目先の利益にこだわることを戒めて使いますが、商売、人間関係、恋愛など様々な場面に当てはまる言葉です。「損して得取れ」は類語は「損せぬ人に儲けなし」など。
「損して得取れ」は「そんしてとくとれ」と読みます。 「損して得取れ」の意味は「一時は損をしても、それを元にそれ以上の利益を得るようにせよ」という意味です。 この場合の「損」は「利を失うこと」、「得」は「もうけ。利益」のことです。 最初は損することになったとしても投資をして後の大きな利益に繋げるべきだ、ということわざで目先の利益にこだわることを戒めて使います。
「損して得取れ」の語源は「損して徳とれ」です。 語源となっている「損して徳とれ」の意味は「損な役回りでも、一生懸命に取り組んで信頼を得られ、社会的地位の向上に繋げろ」という意味です。 「損して徳とれ」の「損」は「そんな役回りにたつこと」、「徳」は「他人からの信頼」または「社会的価値」です。 現在の「損して得取れ」の使い方はもともとは誤用でしたが、多くの人が使用することで一般化し、現在の意味で使用されるようになったと考えられます。
「損して得取れ」は、目先の利益にばかりこだわりすぎて、ちょっとした損をすることも許せず大きな利益を得ることばかりに目が眩んでいる人を注意したり、自分自身を戒めるために使用します。 「損して得とれというから」「損して得取れというように」「損して得取れとよくいうが」などと引用し使用されることが多いです。 また「損して得取れの精神で〜」という言い回しで使用することもできます。
「損して得取れ」の例文
「損して得取れ」は座右の銘としても人気です。 「座右の銘」とは「常に身近に備えて戒めとする格言のこと」です。 「損して得取れ」は、商売や人間関係において「損を惜しんでいては結果として何も得ることができない」という戒めとして座右の銘にする人が多いです。
「損して得取れ」はスピリチュアルの世界でも言われます。 スピリチュアルの世界では、「人に与えたものは自分に返ってくる」という意味合いで使用されます。 例えば、困っている人がいたときに見返りを求めて助けるのではなく、損得を一切考えずに助けることで自分に良いことが返ってくるということです。 「出せば入るの法則」という引き寄せの法則もあります。 世の中は、出すことで循環してそれが自分に戻ってくるようにできているということです。 例えば資格の勉強など自己投資をすれば、結果としてそれが成功に繋がり自己投資した以上の利益や大きな結果をもたらすことができます。 これが「出せば入るの法則」で、「出し惜しみをしてはいけない」というスピリチュアルの世界での教えです。
商売なら、先にお金を払い投資をしておき結果的に大きな利益を得るということです。 例えば、商品宣伝のために無料でサンプルを大量に配ることは「損して得取れ」に当てはまります。 この場合の「損をして」は「サンプルを作って配る初期投資」で、「得」は「サンプルを手にすることで商品を購入する人が増えること」です。 仕事なら、残業して地道な努力を積み重ねておくことです。 損をしているように思えますが、能力があがるだけではなく結果的に周りの人からの信頼を集め「得」になります。
人間関係では、語源となっている「損して徳とれ」の「相手が誰であっても人助けをするなど損得を考えない行動をすること」です。 例えば社長など身分の高い人に対して親切にするのは「社長に気に入られることで自分の得になる」という損得勘定があるからです。 損得勘定で行動をしていると信頼されなくなってしまいますよね。 損得勘定なしに相手が誰であっても気持ちのよい挨拶をし、周囲に対して気遣う気持ちや姿勢を忘れないことで周りの人全員の信頼を得ることができ、結果的に大きな得になるというのが人間関係の「損して得取れ」です。
恋愛面での「損して得取れ」は「見返りの求めない愛情を注ぐこと」です。 特に恋人同士になると「どうして自分ばっかり...」と相手にして不満を抱いてしまうことは非常に多いです。 例えば、自分は相手に高いプレゼントあげたのに自分は何ももらえなかったなど、損得勘定で行動していると何かと「損をしている」と思ってしまいがちです。 見返りを求めていると「どうせ相手もしてくれないのだから」と自分も相手に与えなくなってしまいがちですが、損得勘定を捨て見返しを求めない愛情を注ぐことで、相手も自然とその気持や言葉を倍で返したいと思うようになります。 これが恋愛での「損して得取れ」です。
「損せぬ人に儲けなし」は「そんせぬひとにもうけなし」と読みます。 「損せぬ人に儲けなし」の意味は「損をする覚悟がなければ大儲けはできない」です。 目先の小さな損を恐れたり嫌がっているようでは商売人としての資格はないという戒めで使用されることわざです。
「負けるが勝ち」は「まけるがかち」と読みます。 「負けるが勝ち」の意味は、「勝ちを譲ったほうが自分に有利になること」です。 勝ち負けを争うような場面で、あえて負けることが結果として自分に有利な結果をもたらすということを言い表したことわざです。 争い事で負けた相手が、ネガティブな感情を抱くことを防ぎ、相手を立てたほうが信頼を得られるということもあります。 相手に嫉妬させないことが、自分にとって有利な結果に結びつくという教訓です。 「無意味な争いはしないほうが良い」という教えであるため、「損をすることを恐れるな」という「損して得取れ」とはニュアンスが異なりますが、類語であるといえます。
四字熟語なら「先行投資」と言い表すことができます。 「先行投資」は「せんこうとうし」と読みます。 「先行投資」の意味は「準備段階として先行として行われる投資」です。 現段階ではマイナスであり、直接の利益には結びつかないが、今後の増益や新展開が期待できるとして行われる投資のことをいいます。
「一文惜しみの百知らず」は「いちもんおしみのひゃくしらず」と読みます。 「一文惜しみの百知らず」の意味は「目先の損得にとらわれて、後で大損することに気づかないこと」です。 「一文」は、江戸時代の穴あき銭一銭のことです。 当時の紙幣の最小単位ですが、そのわずかな銭を出し惜しんでみすみす後の大利を失う愚かさを言い表したことわざです。 「一文惜しみの百損」「一文儲けの百遣い」ともいいます。
「小利をむさぼって大利を失う」は「しょうりをむさぼってたいりをうしなう」と読みます。 「小利をむさぼって大利を失う」の意味は、「目先の小さな利益にとらわれて、大きな利益を失うこと」です。 「小利」は「わずかな利益」、「むさぼる」は「満足することなく欲しがる」、「大利」は「大きな利益」という意味です。
「損して得取れ」を意味する英語のことわざには「You must lose a fly to catch a trout.」があります。 直訳は「ニジマスを手に入れるために(釣り用の)毛針を失わなければならない」です。 「大きな利益を獲得するために小さい犠牲を払うこと」を意味しています。
「損して得取れ」の意味は「一時は損をしても、それを基にそれ以上の利益を得るようにせよ」という意味です。 この場合の「損」は「利を失うこと」、「得」は「もうけ。利益」のことです。 「最初は損することになったとしても投資をして後の大きな利益に繋げるべきだ」ということわざで、目先の利益にこだわることを戒めて使い、商売をするときの心構えとして座右の銘にする人も多いです。