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「走馬灯」の意味とは?「走馬灯のように」の使い方と類語、英語を解説

「走馬灯(そうまとう)」は「回り灯籠」のことで、「走馬灯のように/ごとく」の形で次々と過去を思い出す時に使います。今回は、「走馬灯」の意味や使い方を例文つきで紹介します。また、類語も合わせて紹介しますのでぜひ参考にしてください。

「走馬灯」の意味

「走馬灯」の読み方は「そうまとう」

「走馬灯」の読み方は「そうまとう」です。 「走」は音読みで「ソウ」、「馬」は訓読みで「ま」、「灯」は音読みで「トウ」と読みます。 「そうばとう」とは読まないので注意してください。 「走馬燈」と書くこともあります。 「灯」も「燈」も「ともしび」「あかり」という意味です。 よって、「走馬燈」と書いても問題ありません。 ただし、「燈」は「灯」の旧字体なので「走馬灯」と書くのが一般的です。

「走馬灯」は「回り灯籠」のこと

「走馬灯」は「回り灯籠(まわりどうろう)」のことです。 「回り灯籠」とは、枠を内側二重に作り、内側に種々の絵の切り抜きをはり、その回転に従って、影絵が外枠の紙・布に動いてうつるようにした照明器具の一つです。 その他にも「影灯篭」「舞灯籠」などといいます。 影絵がくるくると布に動いてうつることから、次々と過去のことを思い出す様子を喩る言葉としても使用されます。

「走馬灯」は夏の季語

「走馬灯」は夏の季語でもあります。 「季語」とは、連歌・連句・俳句で句の季節を示すために使われる語のことです。 「走馬灯」は、夏の納涼玩具として発達したものであるため、夏の季語として使用されます。

詩の例

  • 老人の日課の如く走馬燈(高浜虚子)
  • 走馬燈のこころに人を待つ夜かな(高橋淡路女)
  • 走馬燈青水無月のとある夜の(山口誓子)
  • 走馬燈ながるるごとく老人ゆる(西島麦南)

「走馬灯」の使い方と例文

「走馬灯のように/ごとく」で次々と過去を思い出す時に使う

「走馬灯」は「走馬灯のように/ごとく」で次々と過去を思い出す時に使います。 「走馬灯」はカラクリ上、見えたり見えなくなったりするので、どこか虚ろげで寂しげでもあり、「去来する」「浮かんでは消える」「思い出したり薄れたりする」などの表現を使うのが正しいです。 しかし、慣習的には、単に「思い出す」「蘇る」「流れる」「過ぎる」「駆け巡る」などの動詞とも併用されます。 例えば、卒業式などでそれまで学校で過ごした思い出が一気に思い出されるような場面で使用されます。 死ぬ間際に走馬灯のように記憶が思い出されることを俗に「走馬灯現象」といいますが、正式な名称ではありません。

例文

  • いろいろな記憶が走馬灯のように去来した
  • 懐かしい思い出が走馬灯のごとく駆け巡った
  • 小学生の頃の思い出が走馬灯のように浮かんでは消えていく
  • 一緒に過ごしてきた日々が走馬灯のように蘇る。
  • 別れを告げた瞬間、楽しかった思い出が走馬灯のように流れた。
  • 仲間と駆け抜けてきた日々が走馬灯のように過ぎる。

「走馬灯のように変化する」とはほぼ使われない

「走馬灯のように変化する」「走馬灯のように変転する」という言い回しで使用されることは、ほぼありません。 「走馬灯」の意味を考えると不自然な表現ではなく、この表現を紹介している辞書も見かけるが、実際には使うことは皆無といえます。 「走馬灯」は、思い出などが次々と思い出されることを言い表す比喩表現として使用されます。

「走馬灯がよぎる」「走馬灯が走る」「走馬灯が見える」は誤用

「走馬灯がよぎる」「走馬灯が走る」「走馬灯が見える」は、死に際などに生まれてきてから今日までの思い出が頭に浮かんでくることを言い表す場面でよく使用される表現です。 ただし、本来はこのような言い方は不適切です。 「よぎる」は「通り過ぎる」のやや改まった表現で、「脳裏をよぎる」などと使用されます。 「はしる」は、ある感覚・感情などが瞬間的に現れて消えることです。 どちらも、瞬間的なことを言い表す言葉なので「走馬灯がよぎる」「走馬灯が走る」では意味合い的に不自然であるといえます。 「走馬灯が見える」も、「走馬灯」は「次々と記憶が蘇っている状態」なので「見える」と表現するのは不自然です。 「思い出が走馬灯のように見える」であれば問題ありません。

「走馬灯」の類語

「フラッシュバック」は悪いことに対して使う

「フラッシュバック」は、「過去の強烈な思い出が突然脳裏に蘇ること」です。 「フラッシュバック」は本来思い出したくない記憶を思い出してしまうことです。 例えば、災害・事故などの体験の記憶が、あることがきっかけで突然思い出されることです。 よって、「走馬灯」のように良かった思い出を思い出すことを言い表す場合には使用することができません。

「ハイライト」は興味を引く部分

「ハイライト」の意味は

  1. 絵画・写真などで、特に明るく見える部分。光線が最も強くあたって白く見せる部分
  2. 映画・演劇・競技・ニュースなどで、最も興味を引く部分や場面

です。 「ハイライト」は、最も興味を引く部分や場面をまとめたものを指すことが多いです。 二つ目の意味で、「走馬灯」と類語になります。

「一場春夢」「邯鄲之夢」「朝盈夕虚」は四字熟語の類語

「一場春夢」は「いちじょうのしゅんむ」と読みます。 「一場春夢」の意味は「その場だけで跡かたもなく消える短い春の夢」という意味です。 その場かぎりで消えてしまうものの儚さを喩えた四字熟語です。 「一場」は「その場かぎり」、「春夢」は「春の夜の夢」という意味です。 「邯鄲之夢」は「かんたんのゆめ」と読みます。 「邯鄲之夢」は「人生の栄枯盛衰がはかないものである」ということを言い表した四字熟語です。 「むなしさを覚える」という意味ではありません。 「邯鄲の枕」「邯鄲夢の枕」「一炊の夢」「盧生の夢(ろせいのゆめ)」ともいわれます。 「朝盈夕虚」は「ちょうえいせききょ」と読みます。 「朝盈夕虚」の意味は「朝に栄え、夕べに滅びる」で、人生のはかなさを言い表した四字熟語です。

「走馬灯」の英語

flashback

カタカナ語「フラッシュバック」はネガティブな意味で使うとお伝えしました。 英語「flashback」もまた然りです。 ただし、ポジティブなことに使えないということはありません。 また、「走馬灯のように」の英語はないため、「flashback」が一番近いです。

I had flashbacks of me being hit by car.

車にはねられた自分がフラッシュバックされた。

remember

「走馬灯のように思い出される」の英語は単に「remember」だけでよいでしょう。

I remembered a lot of things at that time.

あのとき、たくさんのことが走馬灯のように思い出された。

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