「矮小(わいしょう)」の意味は、「たけが低く小さいこと」です。そこから転じて、「規模が小さい」という意味で使用されることもあります。今回は「矮小」の意味や使い方を例文付きで解説します。「矮小」と「卑小」の違いや、類語や対義語なども合わせて紹介しますのでぜひ参考にしてください。
「矮小」の読み方は「わいしょう」です。 「矮」は音読みで「ワイ」、「小」は音読みで「ショウ」と読みます。
「矮小」の本来の意味は「丈が小さいこと」です。 例えば「矮小な木」などと使います。 「矮小な体躯(たいく)」と人の体型に対して使うこともあります。 「矮」には「ひくい。みじかい。背丈が低い」という意味があります。 「小」は「ちいさい」という意味です。 よって「矮小」とは同じ意味の言葉を重ねることで、丈の低さや小ささを強調する言葉であるということがわかります。 そこから転じて、「規模が小さい」という意味もあります。 「規模が小さすぎて問題視されない」というネガティブなニュアンスで使用します。
「矮小」は日常生活ではあまり使用されない堅い表現です。 ビジネスシーンなどかしこまった場面で「矮小な考え方」「矮小に捉える」という使い方をします。 例えば、イベント企画やマーケティングに関するミーティングなどで「矮小」という言葉が出てくることが多いです。 「矮小な考え方」は、規模が小さいと誰もが思うような、思い切りのない考え方を言い表します。 「矮小に捉える」は、規模の小さいこととして把握するという意味です。
例文
「矮小化する」「矮小化した」という形で使用されることもあります。 「問題を矮小化する」とは、「本当は重大な事なのに、責任逃れや周りの人たちの関心をそらすために、あえて小さなこととして扱う」というニュアンスです。 「人員を矮小化した」というように改善点として大きなものを小さくする場合に使用することもできます。
例文
「矮小」という言葉は人に対しても使います。 この場合は、本来の「丈が小さいこと」という意味です。 例えば、生まれたての小さな赤ん坊を「矮小なからだ」と言い表すことができ、小説などで使用される文学的な表現でもあります。 「身長が低い」など、物理的に小さい人を指す場合もありますが、「心が狭い」など性格・精神的なことをいう場合もあります。 「矮小な自分」などと反省・自戒の意味で使用することもできます。 「矮小な脳」はあまり使われない表現ですが、頭の悪い人を非難する表現になります。 人を侮辱する表現なので、使用しない方がよいでしょう。
例文
「矮小」は医学・生物用語としても使われます。 医学・生物用語には
など「矮小」を使用した言葉が沢山あります。
「卑小」の意味は「みすぼらしく小さいこと」です。 認めるほど価値がなく、取るに足らないほど小さいことです。 「卑」には「ひくい、いやしい」という意味があります。 「小」は「ちいさい。規模が小さい」です。 「卑小」には「卑」という感じが使われているため「みすぼらしいほど」というネガティブなニュアンスがあります。 「矮小」は、「丈が短い」という意味のある言葉です。 ネガティブな意味で使用されることもありますが、「矮小」という言葉自体にはネガティブな意味はありません。
例文
物に対しては、「小さいこと」を言い表す「極小」「最小」が「矮小」の類語にあたります。 「極小」は、「ごくしょう」または「きょくしょう」と読みます。 「極小」の意味は、「極めて小さいこと」です。 例えば「極小サイズ」というように、物の大きさを言い表すときに使用します。 「最小」は「さいしょう」と読みます。 「最小」の意味は「ある範囲のうちで、もっとも小さいこと」です。
事に対しては「小規模」「こぢんまり」「些末」が類語になります。 「小規模」は「しょうきぼ」と読みます。 「小規模」の意味は、「物事の構造・構成・仕組みなどが小さいこと」です。 「こぢんまり」の意味は、「小さくまとまっているさま」です。 小さいなりに落ち着いている様子をいいます。 多くは家、室内などについていう言葉です。 「こじんまり」と書くこともできますが、正しくは「こぢんまり」です。 「些末」は「さまつ」と読みます。 「些末」の意味は「細かいことであり、それほど重要でないこと」です。 とるに足りない些細なことをいいます。 例えば、「些末なことで悩む」は「小さなそれほど重要でないことで悩む」という意味です。
人に対しては「小柄」「小作り」「小兵」「小粒」「矮躯」「チビ」などが類語になります。 「小柄」は「こがら」と読みます。 「小柄」の意味は「体格が普通より小さいこと」です。 身体が小さいことを言い表す言葉としては、最も一般的に使用される表現です。 「小作り」は「こづくり」と読みます。 「小作り」の意味は「からだの作りが小さいこと」です。 「小柄」と同義ですが、「小作り」は「小柄」よりも華奢な場合に使用される言葉です。 「小兵」は「こひょう」と読みます。 「小兵」の意味は「からだつきの小さいこと」です。 「小兵」は古い言い方で、スポーツや競技を行う人について使用することが多いです。 「小粒」は「こつぶ」と読みます。 人に対して使う「小粒」の意味は「からだが小さいこと」です。 「小粒」は、「性格などを含めて器量などが小さいこと」と言い表す言葉でもあります。 「矮躯」は「わいく」と読みます。 「矮躯」の意味は「背丈の低いからだ」です。 「チビ」は「背の低いこと」です。 親しみの気持ちを込めて用いられる反面、軽い軽蔑を含むこともあります。
物に対しては「極大」「最大」が「矮小」の対義語です。 「極大」は「ごくだい」と読みます。 「極大」の意味は「きわめて大きいこと」です。 例えば「極大地震」は「きわめて大きな地震」という意味です。 「最大」は「さいだい」と読みます。 「最大」の意味は「最も大きいこと」です。 ある範囲内の中で最も大きいことを「最大」といいます。
事に対しては「大規模」「重大」が類語になります。 「大規模」は「だいきぼ」と読みます。 「大規模」の意味は「規模が大きいこと」です。 「重大」は「じゅうだい」と読みます。 「重大」の意味は「非常に大きな意味を持つ事柄であるさま」です。 「重大な問題」「重大な発表」という使い方をします。
人に対しては「大柄」「大作り」「大兵」「大粒」「のっぽ」が対義語です。 「大柄」は「おおがら」と読みます。 「大柄」は「からだが普通よりも大きいこと」を言い表します。 からだが大きいことを言い表す言葉として、最も一般的に使用される言葉です。 「大作り」は「おおづくり」と読みます。 「大作り」の意味は「体格の良いこと」です。 「大兵」は「だいひょう」と読みます。 「大兵」の意味は「からだが大きく、たくましいこと」です。 「大兵」は古めかしい言い方であり、現代では一般的にはあまり使われません。 「のっぽ」は「背丈が高いこと」です。 並の程度を超えて背の高い人を言い表す口頭語的表現です。 背が高くても太っている人には使いません。 高身長でひょろっとしている人に対して使用されます。
「背が低い」は英語で「short」です。 「小さい」を意味する語は「small」です。 「心が小さい」という意味合いならば「narrow-minded」です。
He is such a narrow-minded guy.
あいつはとても矮小化な男だ。
「ささいな」を意味する英語は「trivial」です。 むかし『トリビアの泉』というテレビ番組がありましたが、その「トリビア」の語源はこれです。 「trivial」を動詞形が「trivialize」で、「矮小化する」という意味です。
He tends to trivialize problems.
彼は問題を矮小化する傾向にある。