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「寄る」「因る」「拠る」「依る」「由る」の違いと使い分け

「寄る」「因る」「拠る」「依る」「由る」は、すべて「よる」と読む異字同訓です。 「寄る」は人や物、地点や場所に近づくことという意味です。「因る」はそれが原因になるという意味です。「拠る」の意味はそれが基準や理由、根拠となるという意味です。「依る」は手段や方法という意味です。「由る」は「因る」と同じ意味です。

「寄る」「因る」「拠る」「依る」「由る」の違い

寄る(よる)
①人や物、地点や場所に近づくこと。 ②目的の所へ行く途中に他の所をたずねること。
因る(よる)
それが原因になる。
由る(よる)
「因る」の意味と同じ。
拠る(よる)
それが基準や理由、根拠となる。
依る(よる)
①手段や方法。 ②頼る・依存すること。

「寄る(よる)」の意味は、ある人や物、またはある地点・場所・方向に近づくことです。 例えば「近くに寄る」「都心に寄りの場所に引っ越す」などと使います。 また、ある所へ向かう途中で他の場所を訪れるという意味もあります。 例えば「本屋に立ち寄る」「飲み屋に寄って帰る」などと使います。 「因る(よる)」の意味は、それが原因になるです。 例えば「不注意に因る事故」「人身事故に因る遅延」などと使います。 「由る(よる)」は、「由る」と同義です。 「由る」は表外読み(表外音訓)なので、新聞や公用文では「因る」もしくは平仮名で表記されます。 「拠る(よる)」の意味は、それが基準や理由、根拠となるです。 例えば「実験に拠って出した結果」「資料に拠ると1990年に建設されている」などと使います。 「拠る」も表外音訓であるため、一般的には平仮名で表記されます。 「依る」の意味は、手段・方法です。 例えば「パソコンに依って作成された文章」などと使います。 また、頼る・依存するという意味で使うこともできます。 例えば、「生活保護に依る生活」などと使います。 「寄る」「因る」「拠る」「依る」「由る」は、それぞれの意味によって使わけることができます。 しかし、一般的には平仮名で書かれることが多いので、迷ったときは、平仮名で書けば問題ありません。 ちなみに「よる」と読む漢字にはその他にも「縁る」があります。 「縁る」は、「因る」「由る」と同義です。

「寄る」の意味と使い方

「寄る」は「よる」と読みます。 「寄る」の意味は

  1. ある人や物、またはある地点・場所・方向に近づく
  2. 一箇所に集まる
  3. 考えがそこに至る
  4. ある所へ向かう途中で他の場所を訪れる
  5. 体をもたせかける。もたれかかる

です。 「寄」には「たちよる。身をよせる。あずける。集める」という意味があります。 「寄る」の一つ目の意味は、その方向へ近づくです。 例えば「黒板が見えるように前の方へ寄る」などと使います。 二つ目の意味は、一箇所に集るです。 例えば「三人が寄る」であれば、三人が一箇所に集まるという意味になります。 また、「しわが寄る」のように、しわが一箇所に集ま生じるという意味で使うこともできます。 三つ目の意味は、考えがそこに至ったり、思い及ぶことです。 例えば「失敗するなんて思いも寄らなかった」などと使います。 この場合は、平仮名で表記されることも多いです。 四つ目の意味は、目的の所へ行く途中、ついでに他の所をたずねることです。 例えば「会社に行く前にカフェに寄る」などと使います。 五つ目の意味は、体の上部や手を、そのものにもたせかけることです。 例えば「大きな木に寄る」などと使います。 この場合は「倚る」または「凭る」と書くこともできますが、どちらも常用漢字ではないため「寄る」でまかなわれることが多いです。

「寄る」の例文

  • 危ないので火の側には寄らないでください。
  • 三人寄れば文殊の知恵というから、一人で悩むより相談したほうが良いよ。
  • 思いも寄らない結末に観劇していた人は驚愕した。
  • お近くに来た際はぜひお気軽にお立ち寄りくださいね。
  • 塀に寄って立ち話をしている姿が見えた。

「因る」の意味と使い方

「因る」は「よる」と読みます。 「因る」の意味は、「それが原因になる」です。 「因」には「もと。事のおこり。由来」という意味があります。 「因る」は、それに原因があるという意味で使われます。 例えば、「脇見運転に因る事故」などと使います。 これは、脇見運転が原因で起きた事故という意味です。 「由る」と書くこともできます。

「因る」の例文

  • 飲酒運転に因る事故を撲滅したい。
  • この国は地球温暖化に寄って海に沈んでしまう可能性がある。
  • 電車の遅延に因る遅刻は証明書があれば許される。

「拠る」の意味と使い方

「拠る」は「よる」と読みます。 「拠る」の意味は、

  1. 基準・理由・根拠となる
  2. 根拠地としてたてこもる

です。 「拠」には「たよる。たてこもる。よりどころ」という意味があります。 「拠る」の一つ目の意味は、それが基準や理由、根拠となるです。 「〜に拠れば」「〜に拠るとなどの形で助詞的に使います。 例えば「資料に拠れば、この場所に城が建てられていた」などと使います。 二つ目の意味は、根拠地として立てこもることです。 例えば「高尾山に寄って戦う」などと使います。 「拠」は表外読み(表外音訓)です。 表外読みとは、常用漢字表に載っていない読み方のことをいいます。 よって、新聞や公用文では平仮名で表記されることが多いです。 ただし、二つ目の「根拠地として立てこもる」という意味では「拠る」と漢字で書かれることが多いです。

「拠る」の例文

  • 法に拠って犯人に罰を与える。
  • 天気予報に拠れば明日は大雨が降る可能性があるらしい。
  • 人は見かけに拠らないので、中身をきちんとみるようにしましょう。

「依る」の意味と使い方

「依る」は「よる」と読みます。 「依る」の意味は、

  1. それを手段とする
  2. それに頼る
  3. そのことに関係する

です。 「依」には「たよる。よりかかる」という意味があります。 「依る」の一つ目の意味は、それを手段とするです。 例えば「パソコンに依って作られた文章」などと使います。 二つ目の意味は、それに頼ること・依存することです。 例えば「親の仕送りに寄って生活をする」などと使います。 三つ目の意味は、そのことに関係する・それに応じるです。 例えば「時と場合に寄っては、対策を変える」などと使います。

「依る」の例文

  • 飛行機に依って荷物を海外まで運んだ。
  • いつまでも親に依って生活しているわけにはいかない
  • この成功は、彼女の努力に依るものだ。

「由る」の意味と使い方

「由る」は「よる」と読みます。 「由る」の意味は、「由来する」です。 「由」には「いわれ。わけ」という意味があります。 「由る」は、「因る」と同義です。 例えば「二人は彼氏の浮気に由って破局した」などと使います。 ただし、「由る」は表外読みです。 よって、新聞や公用文では使用されません。 一般的には「因る」もしくは平仮名で表記されます。

まとめ

「寄る」「因る」「拠る」「依る」「由る」は、すべて「よる」と読みます。 「寄る」は、ある人や物、またはある地点・場所・方向に近づくという意味で使います。 「因る」「由る」は、それに原因があるという意味で使います。 「拠る」は、それが基準や理由、根拠となるという意味で使います。 「依る」は、それを手段とするという意味で使います。 例えば「帰りにコンビニによる」であれば、「寄る」を使います。

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