「遠慮させてください」は「遠慮させてくれ」という意味の敬語表現です。相手からの申し出を断るときに使います。正しい敬語表現ですが「ください」が命令形「くれ」の尊敬語でやや上から目線なので、親しくない上司や社外の人に使う場合は「ご遠慮いたします」などより丁寧な敬語表現を使いましょう。
「遠慮させてください」は「えんりょさせてください」と読みます。 「遠慮させてください」の意味は「遠慮させてくれ」です。 「ご遠慮」はことわる・やめるなどの婉曲な言い方です。 「させてくだい」は「させてくれ」という意味です。
「遠慮させてください」は、品詞分解すると「遠慮」＋「させて」＋「ください」となります。 「ください」は、命令形「くれ」の尊敬語です。 「遠慮させてください」は正しい敬語表現ですが命令文なのでやや上から目線で、目下の人や同等の立場の人に対して使うのは問題ありませんが、親しくない上司や社外の人に対して使うのは避けた方がよいでしょう。 「ください」は、漢字で「下さい」と書きますが、漢字表記にできるのは「物をもらう」という本動詞として使うときです。 例えば、「お水を下さい」などの場合は漢字で書きます。 「遠慮させてください」のように補助動詞で使う場合は、平仮名で表記するのが正しいです。
「ご遠慮させてください」は、品詞分解すると「ご」＋「遠慮」＋「させて」＋「ください」となります。 「遠慮」についている「ご」は謙譲語の接頭辞です。
接頭辞「ご（お）」の敬語の種類は文脈によって尊敬語・謙譲語・丁寧語のどれにもなります。
この場合は、自分の動作に対する敬語なので、謙譲語になります。 接頭辞「ご」を尊敬語とするのは間違いです。自分に対して尊敬語を使用することはできません。 「遠慮」に謙譲語の接頭辞「ご」をつけることで、「遠慮させてください」よりも丁寧な敬語表現になります。しかし、上述したように「ください」が命令形「くれ」の尊敬語であるため、目上の人に対して使う場合はより丁寧な敬語表現を使いましょう。
「ご遠慮させていただきます」は、品詞分解すると「ご」＋「遠慮」＋「させて」＋「いただく」＋「ます」となります。 遠慮についている接頭辞「ご」は謙譲語です。 「いただく」は「もらう」の謙譲語です。 「ます」は丁寧語です。 「ご」と「いただく」はどちらも謙譲語なので二重敬語だと解釈する人もいます。 二重敬語とは、一つの語に対して同じ種類の敬語を二つ以上重ねて使用することをいいます。 「ご遠慮させていただきます」の場合は、「ご〜させていただく」の形で一つの謙譲表現として慣例的に使われ許容されています。 また、「ご」は「案内」を、「いただく」は「もらう」を謙譲語化しており、別の語にかかっているので、二重敬語ではないと解釈することも可能です。 謙譲語の接頭辞「ご」をとって「遠慮させていただきます」としても正しい敬語です。
「ご遠慮します」は、品詞分解すると「ご」＋「遠慮」＋「し」＋「ます」となります。 「遠慮」についている接頭辞「ご」は謙譲語です。 「ます」は丁寧語です。 「ご遠慮します」も正しい敬語表現で目上の人に使うことができます。
「ご遠慮いたします」は、品詞分解すると「ご」＋「遠慮」＋「いたす」＋「ます」となります。 「遠慮」についている接頭辞「ご」は謙譲語です。 「いたす」は「する」の丁重語です。 丁重語とは、謙譲語Ⅱともいわれ、へりくだることで相手に敬意を示すという点で通常の謙譲語と同じですが、動作の対象ではなく聞き手・読み手に敬意を示す敬語です。 「ます」は丁寧語です。 「ご遠慮します」よりも、「する」を丁重語にした「ご遠慮いたします」のほうが丁寧な敬語表現です。
「ご遠慮申し上げます」は、品詞分解すると「ご」＋「遠慮」＋「申し上げる」＋「ます」となります。 「遠慮」についている接頭辞「ご」は謙譲語です。 「申し上げる」は謙譲語です。 「ます」は丁寧語です。 「申し上げる」は本来「言う」の謙譲語ですが、「ご〜申し上げる」で「する」という意味の補助動詞になります。 よって、「ご」と「申し上げる」と2つの謙譲語が使われてますが、2つセットで1つの謙譲表現なので、二重敬語にはあたりません。 「申し上げる」を補助動詞「する」という意味で使う場合は、敬語の接頭辞「お」または「ご」が必要なため、「遠慮申し上げます」は厳密には間違った敬語表現です。 ちなみに補助動詞は平仮名で表記する決まりがあるので、本来は「もうしあげます」と平仮名で書くのが正しいですが、「申し上げます」の場合は慣用的に漢字で表記されることのほうが圧倒的に多いです。
「遠慮させてください」は、ビジネスシーンで相手からの申し出を断るときに使います。 例えば、上司から飲み会に誘われて断る場面などです。 相手の申し出を断るときは、
などのクッション言葉と併せて使うとより丁寧です。 クッション言葉とは、相手に何かを依頼したり、お断りをする場合などに言葉の前に添えて使用する言葉のことです。クッション言葉を使うことで、より丁寧で柔らかい印象を与えることができます。 社外の人に対してやビジネスメールで使う場合には、より丁寧な「ご遠慮いたします」などを使います。
【件名】 飲み会の件 【本文】 営業部 青木部長 お疲れ様です。営業1課の佐々木です。 この度は飲み会のお誘いをいただき、ありがとうございます。 青木部長に声をかけていただけるなんて光栄です。 しかしながら、昨日から体調を崩してしまい、大事をとって今回は遠慮させてください。 せっかくお誘いいただいたのに大変申し訳ございません。 またの機会にぜひご一緒できればと思います。 何卒よろしくお願い申し上げます。 佐々木
【件名】 お食事会参加の件について 【本文】 株式会社YOJOUHAN 営業部 瀬呂様 平素よりお世話になっております。 六條株式会社営業部の切島です。 この度は、お食事会へご招待いただき誠にありがとうございます。 せっかくご招待いただいたところ申し訳なのですが、あいにく先約があり今回はご遠慮いたします。 私事で大変恐縮ですが、何卒ご了承頂ますようお願い申し上げます。 また別の機会がありましたら、ぜひお声がけいただけますと幸いです。 切島
【件名】 ご提案いただいた件について 【本文】 株式会社△△△ 営業部青木様 平素よりお世話になっております。 株式会社○○○の金子です。 この度は、弊社との新規プロジェクト立ち上げについてご提案いただき、誠にありがとうございます。 せっかくご提案いただいたのにも関わらず大変恐縮ではございますが、今回はご遠慮させていただきます。 大変魅力的なお話ではありますが、現在別案件の納期が迫っており、新しいお仕事をお受けするのが困難な状況です。 ご希望に添えない結果となり大変申し訳ございません。 またの機会がございましたら、ぜひよろしくお願いいたします。 貴社のますますのご発展を心よりお祈り申し上げます。 金子
