「ご配慮くださいますようお願い申し上げます(ごはいりょくださいますようおねがい申し上げます)」は、配慮してくれるようお願いするという意味です。ビジネスメールで事前に知っておいてほしいことを伝えるときなどに「大変恐縮ですが、ご配慮くださいますようお願い申し上げます」などと使います。
「ご配慮」は「ごはいりょ」と読みます。 「ご配慮」の意味は「よく考えて心をくばること」です。 相手に対する心配りや、想定されるいろいろな場合に対する対応の方法を考えて何かをすることをいいます。 「配慮」についている「ご」は尊敬を表す接頭辞です。
接頭辞「ご(お)」敬語の種類は文脈によって尊敬語・謙譲語・丁寧語のどれにもなります。
「くださいますよう」の意味は、「くれるよう」です。 「くださいますよう」は、命令形「くれ」の尊敬語「ください」に丁寧語「ます」と婉曲表現の「よう」をつけた敬語表現です。 「くださいますよう〜」とすることで、直接的な表現を避けることができるので、ただ「お願いします」とお願いをするよりも柔らかい表現になります。
「お願い申し上げます」は、「おねがいもうしあげます」と読みます。 「お願い申し上げる」は、「お願いする」の謙譲語です。 「お〜申し上げる」で、動作対象を敬う謙譲表現になります。 「申し上げる」は本来「言う」の謙譲語ですが、この表現では「する」という意味の補助動詞です。 「お願い申し上げます」の「ます」は丁寧語です。 補助動詞は平仮名で表記するという決まりがあるので、本来は「お願いもうしあげます」と書くのが正しいですが、慣例的に「お願い申し上げます」と漢字で書くことが多いです。 したがって、「ご配慮くださいますようお願い申し上げます」で、「配慮してくれるようお願いする」という意味になります。
「ご配慮くださいますようお願い申し上げます」は、ビジネスメールで事前に知っておいてほしいことを伝えるときの文末に結びの言葉として使われます。 例えば、様々な人が利用する場所なのでマナーを守ってほしいなどとお願いをするときです。
【件名】 懇親会のご案内 【本文】 営業部 各位 お疲れさまです。 営業部の高橋一郎です。 お知らせいたしました通り、10月20日(金)に懇親会を行います。 詳細は下記の通りです。 日時:10月20日(金)18:00〜 場所:プライベードダイニング民魚 緑谷駅東口駅前店 会費:3000円 急用などで欠席される場合は、高橋までお申し付けください。 なお、当日は多くのお客様がご利用になっています。 他のお客様のご迷惑にならないようご配慮くださいますようお願い申し上げます。 高橋
【件名】 新入社員研修のお知らせ 【本文】 関係各位 おつかれさまです。 総務部より研修のお知らせです。 この度、来年度入社予定の新入社員を対象にした研修を下記の日程で行います。 各部署の教育担当者はスケジュール調整の上、ご参加ください。 日程:2021年10月25日(月)午前10時〜午後5時(休憩1時間) 会場:15F 第二会議室 研修内容:添付資料を参照 当日は、新入社員の出入りがあります。 社員の皆様におきましては、ご配慮くださいますようお願い申し上げます。 総務部 鷲尾
【件名】 送付資料の取り扱いに関するお願い 【本文】 株式会社あいうえお 営業部 青木様 お世話になっております。 かきくけこ株式会社佐々木です。 貴社よりご依頼がありました製品「△△△」に関する資料をご送付いたします。 お忙しいとは存じますが、ご査収いただければと存じます。 ご不明な点などがあれば、お気軽に佐々木までお問い合わせくださいませ。 なお、今回ご送付しました資料には、弊社の営業機密を一部含みます。 お取り扱いについてはご配慮くださいますようお願い申し上げます。 佐々木
【件名】 納期延期の件 【本文】 株式会社OTYA 営業部 橘千冬様 いつもお世話になっております。 OYU株式会社営業部の場地です。 本日ご連絡いただきました納期延期の件、承知いたしました。 天候悪化によるやむを得ない事情であるため了承いたします。 取り急ぎ、各店舗にも連絡し、了解を得ております。 しかし、できるだけ早めに納品していただきたいとのことです。 恐れ入りますが、ご配慮くださいますようお願い申し上げます。 場地
「ご配慮くださいますようお願い申し上げます」と似た敬語表現に「ご配慮いただきますようお願い申し上げます」があります。 「くださいますよう」は、上述した通り「くれるよう」という意味で、「くれ」の尊敬語「ください」に丁寧語「ます」と婉曲表現の「よう」をつけた敬語表現です。 「いただきますよう」は、「もうらうよう」という意味です。 「いただきますよう」は、「もらう」の謙譲語「いただく」に丁寧語「ます」と婉曲表現の「よう」をつけた敬語表現です。 まず「くださいますよう」は尊敬語であり、「いただきますよう」は謙譲語であるという違いがありますが、謙譲語と尊敬語に敬意の度合いの違いはありません。 自分の動作に対してなら謙譲語を、相手の動作に対してなら尊敬語を使います。 また、「くださいますよう」は「くれるよう」、「いただきますよう」は「もらうよう」という意味の違いもありますが、これもどちらが丁寧ということはありません。 しかし、「くださいますよう」が「くれ」の尊敬語を使用した命令形であるため「いただきますよう」の方が丁寧な響きがあります。
「ご配慮くださいますようお願い申し上げます」は、「ご配慮くださいますようお願いいたします」ということも可能です。 「お願いいたします」は、「お願いする」の謙譲語+丁重語+丁寧語です。 「お」は謙譲語で、動作の対象を敬う接頭辞です。 「いたす」は丁重語で、聞き手・読み手を敬う補助動詞です。 丁重語とは、謙譲語Ⅱともいわれ、へりくだることで相手に敬意を示すという点で通常の謙譲語と同じですが、動作の対象ではなく聞き手・読み手に敬意を示す敬語です。 「お願いいたします」の「ます」は丁寧語です。 「申し上げる」は、補助動詞でも慣用的に漢字で書かれることが多いですが、「お願いいたします」は平仮名で正しく表記されることが多いです。 「お願い申し上げます」と「お願いいたします」の丁寧の度合いはどちらも同じですが、「お願い申し上げます」のほうが意味的に謙虚でやや丁寧です。 そのため、ビジネスシーンなどでは「お願い申し上げます」が使われる傾向があります。 「ご配慮くださいますようお願いします」ということもできます。 「お願いします」は、「願う」に謙譲語の接頭辞「お」と「する」の連用形「し」に丁寧語「ます」をつけた敬語表現です。 丁寧語は、文末につけることで文章全体を丁寧にする敬語表現なので、丁寧の度合いは「お願いいたします」「お願い申し上げます」のほうが高いです。
「ご配慮ください」は、「配慮」に尊敬を表す接頭辞「ご」と、「くれ」の尊敬語「ください」をつけた敬語表現です。 正しい敬語表現ですが命令文なのでやや上から目線で、目下の人や同等の立場の人に対して使うのは問題ありませんが、親しくない上司や社外の人に対して使うのは避けた方がよいでしょう。 「ご配慮くださいませ」とすると柔らかいニュアンスになります。 「くださいませ」は、「ください」に「ませ」をつけた敬語表現です。 「ませ」は「丁寧な気持ちを込めて、相手にある動作を要求する意」を表します。 「くださいませ」とすることで、「くれ」を丁寧にするだけでなく柔らかい印象を与えることができます。
「ご配慮いただけますか」は、「配慮」に尊敬を表す接頭辞「ご」と、「もらう」の謙譲語「いただく」に丁寧語「ます」と疑問の終助詞「か」をつけた敬語表現です。 「ご配慮ください」では丁寧さに欠けますが、「配慮してらえますか」と疑問形にすることで、柔らかい依頼の表現になります。 「ご配慮いただけますでしょうか」とすることもできます。 「ご配慮いただけますでしょうか」は、「ご配慮いただく」にさらに丁寧語「ます」と、「だろう」の丁寧語「でしょう」と疑問の終助詞「か」をつけています。 「ご配慮いただけますでしょうか」は、丁寧語を2つ使用していますが、「いただく」と「だろう」のそれぞれ別の語にかかっているので二重敬語にはなりません。 二重敬語とは、一つの語に同じ種類の敬語を重ねて使用してしまうことをいいます。 しかし、「いただけますでしょうか」はクドいのでシンプルに「いただけますか」が使われる事が多いです。 そのほかにも疑問形の依頼表現には「ご配慮いただくことは可能でしょうか」があります。 「配慮してもらうことはできるだろうか?」と可否を確認する表現で、依頼をするときに使用される正しい敬語表現です。 しかし、やや強意的であるためビジネスシーンでは使用を避ける人もいます。
「ご配慮願います」は、「配慮」に尊敬を表す接頭辞「ご」と、「願う」に丁寧語「ます」をつけた敬語表現です。 「ご配慮願います」も正しい敬語表現ではありますが、「願います」が「願う」という言葉の丁寧語であるという点で丁寧さに欠ける(謙虚な態度が感じられない)表現であるため、親しくない上司や社外の人に対して使うは避けた方が無難です。 上司や社外の人に使用する場合は、「お願いいたします」などより丁寧な敬語表現を使用しましょう。
「ご配慮のほど」は、「配慮」に尊敬を表す接頭辞「ご」をつけて、婉曲表現の「ほど」をつけています。 「ほど」は、断定を避ける表現です。 「ご配慮のほど〜」とすることで、相手に強制することなくお願いをすることができます。 「ほど」は漢字で書くと「程」ですが、漢字にはしません。 「程」の本来の意味は、「物事の経過に伴う様子、程度」です。 そこから転じて断定を避ける表現として用いられています。 このように、本来の意味とは違う使い方をする場合は、漢字ではなくひらがな表記にします。
「ご配慮いただけると幸いです」は、「配慮」に尊敬を表す接頭辞「ご」と「もらうと」の謙譲語「いただけると」と、「幸い」に丁寧語「です」をつけた敬語表現です。 「幸いです」は、そうしてもらえれると幸せですという気持ちを表します。 よって「ご配慮いただけると幸いです」は、「配慮してもらえると嬉しい」という意味の丁寧な表現になります。 「ご配慮いただけますと幸いです」としても意味は同じですが、より丁寧になります。 「いただけますと」は、「もらう」の謙譲語「いただく」にさらに丁寧語「ます」をつけた丁寧な敬語表現です。 「ご配慮いいただければ幸いです」とすると仮定のニュアンスが加わり柔らかい表現になります。 「いただければ〜」の「れば」は仮定を表し、「してもらえれば嬉しい」という願望を表す丁寧な言い回しになります。 また、「幸いです」は「幸甚です(こうじんです)」とすることもできます。 「幸甚」は、この上なく嬉しい気持ちやありがたく思っている気持ちを表すかしこまった表現 です。
「ご配慮いただきたく存じます」は、「配慮」に尊敬を表す接頭辞「ご」をつけて、「もらう」の謙譲語「いただく」と「思う」の丁重語「存ずる」、丁寧語「ます」をつけた敬語表現です。 「ご配慮いただきたく存じます」で、「配慮してもらいたいと思います」と柔らかくお願いをする表現になります。 「ご配慮いただければと存じます」とするとより丁寧です。 「いただければ」は、上述した通り「してもらえたら〜」という仮定の表現で願望を表す丁寧な言い回しです。
「ご配慮賜りますようお願い申し上げます」は、非常に丁寧な依頼表現です。 「賜りますよう」は、「もらう」の謙譲語に丁寧語「ます」と婉曲表現の「よう」をつけた敬語表現です。 「賜る」は、「もらう」の謙譲語、「与える」の尊敬語の二つの意味がありますが、この場合は相手から何かをしてもらうという動作について、相手を高めるために使用されている謙譲語です。 「ご配慮賜りますようお願い申し上げます」で、「配慮してもらうようお願いする」という意味になり、丁寧にお願いをすることができます。 ちなみに、「賜れますよう」は誤用です。 「賜れますよう」の「れ」は助動詞「れる」の連用形です。 助動詞「れる」の意味は主に尊敬・可能で使います。 「賜る」が、敬語なので敬語の助動詞を使うのは不適切です。 「れる」が可能の意味ならば「してもらうことができますように・・・」という意味になります。 無理矢理、可能の意味で捉えることもできますが、このような使い方は一般的ではりません。