「ご報告申し上げます」は任務などの結果や進捗状況を知らせるときに使用する敬語表現です。今回は「ご報告申し上げます」の敬語表現や使用するときの注意点を解説します。また、「ご報告申し上げます」の類語表現や英語表現も合わせて紹介しますのでぜひ参考にしてください。
「ご報告申し上げます」は「ごほうこくもうしあげます」と読みます。 「報告」の意味は「告げ知らせること」です。 特に、任務などの経過や結果を知らせることや、その内容を「報告」といいます。 例えば、仕事の進捗状況を上司に伝えたり、調査結果などを知らせるときに「ご報告申し上げます」を使用します。
「ご報告申し上げます」は、品詞分解すると「ご」+「報告」+「申し上げる」+「ます」となります。
です。 「ご」と「申し上げる」はどちらも謙譲語ですが、「ご」は報告を謙譲語化しており、「申し上げる」は「言う」の謙譲語です。 二重敬語は同じ語を同じ敬語の種類で二回以上修飾することなので、この場合は二重敬語にあたりません。 「申し上げます」は「言わせていただきます」という意味で、目上の人など敬意を払うべき相手に対して、”うやうやしく言う”というニュアンスになり、丁寧な敬語表現であるといえます。
「ご報告いたします」は品詞分解すると「ご」+「報告」+「いたす」+「ます」となります。 「ご」は謙譲語の接頭語です。 謙譲語とは自分をへりくだることで相手に敬意を示す敬語表現です。 この「ご」は報告する相手を高めています。 「いたす」は丁重語です。 丁重語とは、動作の対象ではなく話を聞いている相手に敬意を示すために使用される敬語表現です。 この場合の「いたす」は報告する相手ではなく「ご報告いたします」と話している相手を高めています。 「ます」は丁寧語です。 丁寧語は「です」「ます」のように文末につけることで文章全体を丁寧にすることができます。 誰を高める意図もなく、ただ丁寧な言葉にしているだけです。 「ご報告いたします」でも十分丁寧な敬語表現ですが、「ご報告申し上げます」の方がより丁寧な敬語表現です。かしこまった場面や文章では「ご報告申し上げます」を使用しましょう。
「ご報告いたします」の丁重語だけをなくすと「ご報告する」「ご報告します」となります。 「ご報告する」の、「報告」についている接頭語「ご」は謙譲語です。 したがって「ご報告する」は上告をする相手を高めることができる謙譲語です。 「ご報告します」は、「ご報告する」に丁寧語の「ます」をつけた謙譲語+丁寧語の敬語表現です。 「ご報告する」「ご報告します」は、報告する相手は高めたいが、話す相手を高める必要がない場合に使います。 例えば、あなたが上司である部長に報告する旨を部下に伝える時は「この件は私が直接部下にご報告する」などということができます。
「ご報告させていただきます」は
を使用した敬語表現です。 したがって「ご報告させていただきます」は、謙譲語+謙譲語+丁寧語であるため厳密には二重敬語で誤用です。 さらに、「させていただく」という表現は本来相手から許可を得てから使う文言になります。 文化庁は「基本的に他者の許可を得た上で、自分が行うことについて、その恩恵を受けることに対して敬意を払っている場合」に使うのが適切であるとしています。 したがって、「ご報告させていただきます」と相手の許可を得ずに一方的に宣言するのは、本来不適切です。 ただし、「させていただく」は丁寧な敬語表現として許可を得ていなくても使用されている敬語表現であり許容されているといえます。 間違った使い方であっても、多くの人が使用することにより常用化することはよくあります。 とはいっても、間違っていることに変わりはないので、かしこまった文章などでの使用は避けたほうが良いでしょう。
「ご報告差し上げます」は、
を使用した敬語表現です。 謙譲語を二つ使用していますが、二重敬語は同じ語を同じ敬語の種類で二回以上修飾することなので、この場合は二重敬語にあたりません。 ただし、「差し上げます」という表現は、相手に恩恵を与える場合にのみ使用する言葉なので、「報告してあげます」というニュアンスになり、相手にとって上から目線に聞こえてしまう可能性があります。したがって、目上の人に対して使用するのは避けるべきです。 目上の人に使用する場合は「ご報告申し上げます」を使用するほうが無難だといえるでしょう。
「ご報告まで」は、本当に至急で伝えたいことがある場合に「取り合えず急いで報告だけします」という意味で「取り急ぎご報告まで」などの形で文末で使います。 例えば「本日〇時に元気な女の子を出産しました。取り急ぎご報告まで」などです。 しかし、「ご報告まで」は「いたします」「させていただきます」といった部分を省略してしまっている言葉なので、ビジネスシーンで目上に使うには不適切です。 目上の人やビジネスシーンで使用すると、ぶっきらぼうで雑な印象を与えかねないので注意しましょう。 同僚や部下、もしくは近親者であれば「ご報告まで」を使用しても問題ありません。
「ご報告ありがとうございます」は、目上の人に報告してもらったときにお礼を伝る場面で使用します。 「ご報告ありがとうございます」の場合は、報告しているのは相手なので「報告」につく接頭語の「ご」は尊敬語になります。 「ありがとうございます」の代わりに「感謝いたします」「感謝申し上げます」「御礼申し上げます」などとするとより丁寧になります。
「ご報告申し上げます」は、上述したように謙譲語+丁寧語の正しい敬語表現です。 社内で上司など目上の人に使用するのはもちろんのこと、取引先の相手など社外の人に対しても使用することが可能です。 例えばプロジェクトの進捗状況を使用する場合や、調査結果などを伝えるときに使用します。
「ご報告申し上げます」とビジネスメールで使用する時の文末は、報告をした内容に関して確認をしてもらいたいときは「ご確認をお願い申し上げます」とすると良いでしょう。 確認をして返信をしてほしいときは「ご確認の上ご返信くださいますようお願いいたします」などとします。 ただ、緊急度の高い報告や、すぐに確認してもらいたいときはメールでなく電話をするべきです。 特に、相手が忙しいと言う場合にはメールを見てもらえない可能性もある為、電話のほうが確実に相手に伝わるという場合もあります。 同じオフィス内に相手がいるようであれば直接伝えたほうが早いです。 報告内容を軽くメールで送信してから、直接報告しにいくとより丁寧でしょう。
「ご報告申し上げます」に対する返信は、「承知しました」もしくは「確認いたしました」が丁寧で良いでしょう。 「取り急ぎご報告いたします」とメールが来た場合、返信・返事をすべきかどうか迷う方もいるかと思います。 確かに「取り急ぎ」に対してはわざわざ返信をしなくてもよい気がしますが、万が一相手の心証を害することがあってはいけないので、念のために返信しておいた方が無難です。 「ご報告いたします」への返信に対する返信はしなくても良いでしょう。
「ご連絡」の意味は「情報などを知らせること」です。 「ご連絡」は、「連絡」という言葉に接頭語の「ご」をつけた言葉です。 「連絡」には「つながり・関連をつけること」「関係の人に情報などを知らせること」という意味があります。 この場合の接頭語の「ご」は謙譲語で、自分から目上の人に連絡する場合に使用することができます。 「ご報告申し上げます」を「ご連絡申し上げます」に言い換えることも可能ですが、「ご連絡」はあくまでも物事の内容を簡単に伝えることを意味していて、「ご報告」は、物事の展開や結果などを伝えることを意味しています。 例えば調査などが終了し、結果を詳しく伝えるときなどには「ご報告」のほうが適しています。
「お知らせ」は、「知らせ」に接頭語の「お」をつけた言葉です。 「知らせ」は、「知らせること、またその内容・通知」また、「教えてください」という意味になります。 「お知らせ申し上げます」の場合の接頭語の「お」は謙譲語です。 目上の相手に自分が何かを知らせるときに使用することができます。 「お知らせ」は書き言葉として使用されることの多い言葉です。
「報告」を意味する英語は「report」です。 「write the report」「receive a report」などと使います。 「write」の代わりに「present」「draw up」なども使えます。 「interim report」で「中間報告」という意味です。 「A reports to B.」とすると、「AさんはBさんの直属の部下だ」という意味合いになります。 強調するために「directly」を付ける場合もあります。
She wrote the detailed report on the accident for the board of directors.
彼女は取締役会向けに、事故に関する詳しい報告をまとめた。
The new COO will report directly to the CEO.
新任の副社長は社長の直属である。
何か大切なことを伝える時にメールなどで「ご報告いたします」と使う場合は「report」ではなく「tell」を使います。
Hi everyone, I have something very important to tell you today.
本日は、皆様にご報告がございます。
Here are things that I need to tell you.
ご報告申し上げます。
I will let you know by email.
メールにてご報告申し上げます。