「ご覧いただきありがとうございます」は「見てもらいありがとう」という意味の敬語表現です。今回は「ご覧いただきありがとうございます」の意味や敬語、使い方、敬語表現の言い換えなどを解説します。
「ご覧いただきありがとうございます」は「ごらんいただきありがとうございます」と読みます。 「ご覧いただきありがとうございます」の意味は「見てもらいありがとう」です。 「ご覧」の意味は「見る」です。 「いただく」は補助動詞で意味は「もらう」です。 「ありがとうございます」は感謝の気持ちを表す敬語表現です。
「ご覧いただきありがとうございます」は、品詞分解すると「ご覧」+「いただき」+「ありがとう」+「ござる」+「ます」となります。 「ご覧」は尊敬語です。 「いただく」は謙譲語の補助動詞です。 「ござる」は「ある」の丁重語です。 丁重語は謙譲語Ⅱともいわれ自分をへりくだることで相手に敬意を示す点で謙譲語と同じですが 、通常の謙譲語とは違い聞き手・読み手に敬意を示す敬語です。 「ます」は丁寧語です。 よって、「ご覧いただきありがとうございます」は尊敬語+謙譲語+丁重語+丁寧語の正しい敬語表現です。
「ご覧いただきありがとうございます」は、「ご覧いただきましてありがとうございます」とすることもできます。 「ご覧いただきましてありがとうございます」の「ご覧いただきまして」は、「見る」の尊敬語「ご覧」に「もらう」の謙譲語「いただく」と丁寧語の「ます」をつけた敬語表現です。 「ご覧いただく」にさらに丁寧語「ます」をつけることで、より丁寧になります。
「ご覧いただきありがとうございます」の類似表現には、「ご覧くださりありがとうございます」があります。 「ご覧くださりありがとうございます」の「ご覧くださり」は、「見る」の尊敬語「ご覧」に「くれ」の尊敬語「くださる」をつけた敬語表現です。 「お(ご)〜くださる」で「〜してくれる」という意味の尊敬語になります。 「ご覧いただきありがとうございます」は謙譲語、「ご覧くださりありがとうございます」は尊敬語という違いがありますが、敬意の度合いはどちらも同じです。 相手の動作に対してなら尊敬語を、自分の動作に対してなら謙譲語を使います。 また、「いただき」が「もらい」、「くださり」が「くれる」という意味の違いもありますが、これもどちらが丁寧ということはありません。 しかし、「くださり」が命令形「くれ」の尊敬語であるため「いただき」のほうが丁寧な響きがあります。
「ご覧くださりありがとうございます」は、「ご覧くださいましてありがとうございます」とすることもできます。 「ご覧くださいましてありがとうございます」の「ご覧くださいまして」は、「見る」の尊敬語「ご覧」に「くれ」の尊敬語「ください」と丁寧語「ます」をつけた敬語表現です。 「お(ご)〜くださる」の尊敬語にさらに丁寧語「ます」をつけることで、より丁寧になります。
「ご覧いただきありがとうございます」は、何かを見てもらったお礼を伝えるときに使います。 例えば、渡しておいた資料に相手が目を通してくれていたときなどです。
など、クッション言葉と併せて使うとより丁寧になります。 クッション言葉とは、相手に何かを依頼したり、お断りをする場合などに言葉の前に添えて使用する言葉のことです。クッション言葉を使うことで接的な表現をさせることができ、丁寧で柔らかい印象を与えることができます。
【件名】 企画書について 【本文】 営業部 高橋部長 お疲れ様です。営業1課の小林です。 さっそく企画書をご覧いただきありがとうございます。 訂正箇所につきましては、本日中に訂正したものを再度提出いたします。 お手数をおかけしますがよろしくお願い申し上げます。 小林
【件名】 契約書ご送付のお礼 【本文】 ABC株式会社 営業部 宮田様 平素よりお世話になっております。 株式会社XYZの加藤でございます。 この度はお忙しい中、「○○ご利用に関する誓約書」をご覧ただきありがとうございます。 本日返送していただいた書類を確かに受け取りました。 迅速に対応していただき感謝申し上げます。 契約書は弊社にて署名捺印のうえ、1部ご返送いたします。 契約書は大切に保管いただきますようお願いします。 引き続き、よろしくお願い申し上げます。 加藤
【件名】 新製品「△△△」について 【本文】 株式会社SKY 営業部 藤沢様 平素よりお世話になっております。 株式会社Sea商品部の浜辺でございます。 この度は弊社新製品「△△△」の資料をご覧いただき、誠にありがとうございます。 早速ご予約いただけるとのこと、感謝申し上げます。 下記の内容で見積書を作成し、本日郵送いたします。 注文内容:製品「△△△」 数量: 1000個 納品日:5月15日(火) 製品についてご不明な点やご質問がございましたら、お気軽にご連絡くださいませ。 それでは、引き続きよろしくお願い申し上げます。 浜辺
「ありがとうございます」は、「感謝申し上げます」または「お礼申し上げます」とするとより丁寧になります。 「感謝申し上げます」は、「感謝」に「する」の謙譲語「申し上げる」と丁寧語「ます」をつけた敬語表現です。 「申し上げる」は、本来「言う」の謙譲語ですがこの場合は「する」という意味の補助動詞として使われています。 「感謝」は、ありがたく感じている謝意を表す言葉です。 「感謝申し上げます」で、「感謝します」という意味になり丁寧に感謝の気持ちを伝えることができます。 「お礼申し上げます」は、「礼」を丁寧に言い表すためにつける美化語「お」をつけて、「する」の謙譲表現「申し上げる」と丁寧語「ます」をつけた敬語表現です。 「お礼」は、感謝の気持ちを表す言葉や金品を指す言葉です。 「お礼を申し上げます」で、「感謝します」という意味になり丁寧に感謝の気持ちを伝えることができます。 感謝の気持ちを伝える表現には「拝謝いたします」もあります。 「拝謝」は「礼を述べること」の謙譲語です。 「拝謝」はお礼状や手紙など書き言葉として使われることがほとんどで、話し言葉としては使いません。 ちなみに「拝謝申し上げます」は謙譲語の「拝謝」に、さらに「する」の謙譲表現「申し上げる」をつけているので二重敬語で誤用です。
「ありがとうございます」の前に「誠に」「大変」などをつけることで、感謝の気持ちを強調することができます。 「誠に」は「本当に」という意味です。 本心からそう思う様子を表す副詞として使われます。 「本当に」ということもありますが、ビジネスシーンではより堅い表現である「誠に」を使う事が多いです。 「大変」は「非常に」「とても」という意味です。 程度のはなはだしいことを表します。
「ご高覧」は「ごこうらん」と読みます。 「ご高覧」は「他人が見ること」の尊敬語です。 ビジネスシーンにおいての「ご高覧」は、目上の人に資料や書類を見てほしい場合、商品を紹介する場合などに使います。
「ご賢覧」は「ごけんらん」と読みます。 「ご賢覧」は相手が「見ること」の尊敬語です。 「ご賢覧」も「ご高覧」とほぼ同じ使い方で、目上の人に対して自分が持っているものを見てもらいたいときなどに使います。
「ご参照」は「ごさんしょう」と読みます。 「参照」に尊敬を表す接頭語の「ご」をつけた言葉です。 「参照」とは「他のものと照らし合わせてみること」を意味します。 既に知っている内容、理解している事柄を確認にするために、他のリソースと照らし合わせることを指します。 照らし合わせるものがない場合は使うことができないので注意しましょう。