「ご理解賜りますよう(ごりかいたまわりますよう)」は、理解してほしいとお願いをするときに使用する敬語表現です。今回は「ご理解賜りますよう」の正しい使い方を例文付きで解説します。類似表現との違いや類語も合わせて紹介しますのでぜひ参考にしてください。
「ご理解賜りますよう」の読み方は「ごりかいたまわりますよう」です。 「理」は音読みで「リ」、「解」は音読みで「カイ」、「賜」は訓読みで「たまわる」と読みます。
「ご理解賜りますよう」は、「意味や事情を飲み込んでもらうよう」です。 「理解」に接頭辞「ご」と「賜る」に「ますよう」をつけた敬語表現です。 「理解」の意味は「物事がわかること、意味をのみこむこと」です。 「賜る」は「もらう」という意味です。
「ご理解賜りますよう」は
を使用した敬語表現です。
接頭辞「ご(お)」の敬語の種類は、文脈によって尊敬語・謙譲語・丁寧語のどれにでもなります。
「ご理解賜りますよう」の「ご」は、相手の動作である「理解」に付いているので尊敬語です。 「賜りますよう」は謙譲語「賜る」に、丁寧語の「ます」+「よう」をつけた言葉で、「〜ますよう」を使用することで、間接的な依頼表現になっています。
「ご理解賜りますよう」は、相手に理解してもらわなければいけないことに対して謝罪をするときに使用します。 例えば、修理でエレベーターが使えず利用者に迷惑をかけるという場面です。
などの言い回しで使用されます。 お詫びの際は「何卒」を付けるとさらに丁寧です。 「何卒」は「どうぞ」の堅い表現で、相手に何かを強くお願いする場合に用いる表現です。
謝罪で使用する「ご理解賜りますよう」の例文
「ご理解賜りますよう」は、あらかじめ知っておいてもらうことがある場合に相手に「把握しておいてほしい」と依頼をする表現としても使用されます。 この場合の「ご理解賜りますよう」には、「前もってこちらの主張や事情を受け入れてもらいたい、何かあっても悪く思わないでほしい」という意味が含まれます。 「ご理解ください」では、一方的に相手に承諾することを強要するようなニュアンスになりますが「ご理解賜りますよう〜」で丁寧に依頼をすることが可能です。 「ご理解賜りますと幸いです」は「理解してもらえると嬉しいです」という意味で丁寧に依頼をすることができます。
事前把握の依頼の「ご理解賜りますよう」の例文
相手に主張や事情を理解してもらったときは、必ずお礼の言葉を述べます。 ただし、お礼を述べる場合は「ご理解賜りますよう」の形では使用できません。 「ご理解たまわりますようありがとうございます」は誤用です。 「ご理解賜りありがとうございます」などの形ならお礼でも使えます。 「ご理解賜り」の後ろに感謝の言葉を続けます。 感謝の言葉には、
などがあります。
感謝で使用する「ご理解賜り」の例文
「ご理解いただきますよう」は、「理解」に尊敬を表す接頭辞「ご」と「もらう」の謙譲語「いただく」、丁寧語「ますよう」をつけた敬語表現です。 「賜る」も「いただく」も謙譲語という点で共通していますが、「賜る」のほうが「いただく」よりもかしこまった表現です。 社内の人に対して使用する場合「賜りますよう」よりも「いただきますよう」のほうが適しています。 「ご理解いただく」のその他の言い回しには
などがあります。
「ご理解くださいますよう」は、「お〜くださる」の尊敬語と、丁寧語「ます」を使用した敬語表現です。 「ご理解賜りますよう」は、「理解」に尊敬を表す接頭辞「ご」と「もらう」の謙譲語「賜る」と丁寧語「ます」を使用した敬語表現なので、「ご理解くださいますよう」とは「謙譲語」と「尊敬語」という違いがあります。 謙譲語は自分の動作をへりくだることで相手に敬意を示し、尊敬語は相手を高めることで相手に敬意を示します。
「ご理解のほど」は、「理解」に接頭辞の「ご」と「〜のほど」をつけた言葉です。 「〜のほど」も「ますよう〜」と同じように、断定を避けて表現を和らげることができます。 「ご理解ください」と断定した言い方をしてしまうと命令をされているように感じますが、「〜のほどよろしくお願いします」などとすると、柔らかい言い回しでお願いをすることができます。 「ご指導のほど」は、「ご指導の程」と漢字にしません。 「程」には、断定を避ける「〜よう」という意味のほかにも「実力の程」などのように「物事の程度や限度」という意味で使用することができます。 どちらの意味でも「ほど」は平仮名表記が基本で、特に「〜よう」という意味で使用する場合は平仮名表記されます。
「ご了承」は、「ごりょうしょう」と読みます。 「ご了承」は「了承」に接頭辞「ご」をつけた言葉です。 「了承」の意味は「理解して、相手の意向を受け入れる」です。 「了」は、「終わりになる」「明らか」「はっきりとさとる」、「承」は「前のものを受け継ぐ」「相手の意向を受け入れる」という意味です。
「ご了解」は、「了解」に接頭辞「ご」と「もらう」をつけた言葉です。 「了解」の意味は「物事の内容や事情を知り、納得すること」です。 「理解してそれを認める」といったニュアンスも含まれています。 例えば、相手に「工事のため片側通行であることを理解してもらう」という場面などで「ご了解」を使用します。
「ご容赦」は「ごようしゃ」と読みます。 「ご容赦」は、「容赦」に接頭辞「ご」をつけた言葉です。 「容赦」の意味は「許す。多めに見る」です。 相手に事情を理解してもらい許してもらったという場面などで「ご容赦」を使用します。 「ご理解」には「許す」という意味がないという点で「ご容赦」とは異なります。
「ご承知」は、「承知」に接頭辞「ご」をつけた言葉です。 「承知」には
という意味があります。 相手に自分の申し入れを理解してもらったり、受け入れてもらったという場合に「ご承知」を使用します。
「ご承諾」は「ごしょうだく」と読みます。 「ご承諾」は、「承諾」に接頭辞「ご」をつけてた言葉です。 「承諾」の意味は「相手の申し出や頼みを聞き入れること・引き受けること」です。 特に自分の依頼を引き受けてもらう場面や、契約を結ぶ際に使用されます。
「ご快諾」は「ごかいだく」と読みます。 「ご快諾」は「快諾」に接頭辞「ご」をつけた言葉です。 「快諾」の意味は「相手の申し出や頼みを聞き入れること・引き受けること」です。 上司や取引先など目上の人がこちら側の意向や要望などを受け入れてくれたときの感謝を述べる場面などで「ご快諾」を使用します。
ビジネス英語では、「ご理解賜りますようお願いいたします」のような表現は存在しません。 代わりに文末で「Thank you for your understanding.」と添えるのが普通です。