ビジネスメールなどでよく使う表現に「ご理解」がありますよね。「ご理解」は目上の人に使うことができる正しい敬語なのでしょうか?「ご理解」を使った表現にはどのようなものがあるのでしょうか?今回はそれらの疑問にすべて答えたいと思います!また類語「ご了承」「ご容赦」「ご配慮」などとの違いも解説します!
「理解」とは「物事がわかること、意味をのみこむこと」という意味になります。 「理」は訓読みは「ころわり」で、「道理、物事の筋道」という意味になります。 「理(ことわり)が解る(わかる)」と書いて、「理解」になります。
「ご理解」の「ご」は、敬語の接頭語になります。敬語の接頭語には「ご」の他にも「お」があります。 和語には「お」を、漢語には「ご」が付くのが原則です。 敬語の接頭語「ご」は、尊敬語、丁寧語、謙譲語のどれにもなりえます。 「ご理解」は「相手が理解する」という文脈で使いますので、尊敬語になります。 「ご理解」の「ご」を丁寧語と解釈することも不可能ではないですが、尊敬語とした方が自然です。 丁寧語「ご」の例としては「ご飯」などがあります。 「ご説明します」の「ご」は謙譲語になります。目上の人に対する自分の行為に「ご」を使っています。
「ご理解ください」の「ください」は丁寧語なので、「ご理解ください」は正しい敬語になります。 「ご理解ください」は文法的には正しい敬語ですが、「ください」が命令文であるため少し丁寧さに欠けてしまう言い方です。 人によっては不快感を感じてしまいますので、注意が必要です。 よって、下記の言い方をすることで、目上の人に対しても使うことができます。
相手に理解を求める場面で使う「ご理解」では、婉曲表現である「のほど」を使うことがよくあります。 「のほど」には、断定を避け文章を和らげることで丁寧な印象を与える役割があります。 「ご理解のほど」以外にも「ご確認にほど」「ご検討のほど」などと言ったりします。 「のほど」とひらがなで書くことが多いです。漢字で「の程」と書いても間違いではありません。 ひらがなで書いた方が柔らかい印象になるため、ビジネスメールなどではひらがなで書く人が多いです。
相手に強く理解を求めるときには丁寧な強調を表す「何卒」を使います。 「何卒」は「なにとぞ」と読みます。 「何卒ご理解〜」の形で「ご理解」の前に置きます。「何卒ご理解いただきますようよろしくお願いいたします」「何卒ご理解賜りますようよろしくお願い申し上げます」などといいます。 「何卒」がなくても意味は同じですが、「何卒」は丁寧でありながら強調する言葉なのでビジネスメールではよく使われます。
理解と協力を一緒にお願いする際は「ご理解ご協力」「ご理解とご協力」という形で使います。 「ご理解ご協力いただきますようお願い申し上げます」「ご理解とご協力のほど、よろしくお願いいたします」などと使います。 電車のアナウンスなどでもよく聞く定番の言い回しになります。 ただ協力だけを求めるのはぶっきらぼうなので、理解してもらってから協力を求めるという謙虚な姿勢がこのフレーズには現れています。
理解したもらった上で何かの行動を促すときは「ご理解の上〜」を使います。 しっかりと状況を把握したり内容を確認してから、次の行為をお願いする文章で使います。
などと使います。
相手の理解に対して感謝をするときは「ご理解いただきありがとうございます」を使えばよいでしょう。 より堅い表現には「ご理解いただきましたことを感謝申し上げます」などがあります。 ビジネスにおいて自分や自社が原因で、相手に迷惑をかけたときなどに相手が理解をし対応してくれた場合に使います。
相手に迷惑だと分かりながら理解を求める場合は、「ご不便をおかけしますが何卒ご理解〜」「申し訳ありませんが何卒ご理解〜」などの言い方があります。 その他にも、
などと言ったりもします。
「ご理解」を使った例文を紹介します。
「ご理解」の例文
「ご理解」と非常に似た言葉に「ご了承」があります。 「ごりょうしょう」と読みます。 「ご了承」=尊敬を表す接頭語「ご」+「理解」を意味する「了」+「受け入れる」を意味する「承」 という成り立ちになっています。 よって、「ご理解」とは単に「物事を分かってもらう」という意味ですが、「ご了承」は「相手に物事を分かってもらった上で受け入れてもらう」という意味になります。 「ご了承ください」は、物事を始める前に目上の人から許しをもらうときの言葉なので、「ご理解ください」とは少し用途が異なります。 「予めご了承ください」などとも言います。
例文
「ご容赦」とは「許す、大目に見る」という意味です。 よって、「ご容赦ください」とは「許してください」「大目に見てください」という意味になります。 「自分や自社がした失敗や迷惑をどうか受け入れてお許しください」という意味で使います。 上記でも触れましたが、「ご理解の上ご容赦いただけますようよろしくお願いいたします」など「ご理解」と「ご容赦」は一緒に使うこともあります。
例文
「ご理解」の類語には、「ご配慮(ごはいりょ)」「ご高配(ごこうはい)」「ご賢察(ごけんさつ)」などもあります。 これらの3つの単語はどれも同じ意味です。どれも「他人の配慮」をいう尊敬語になります。 「理解」と「配慮」は意味が似ていますが、「配慮」は「心をくばること」なので、「物事がわかる」とは微妙に違います。 「ご配慮のほど、よろしくお願いいたします」などと使います。
例文
英語には尊敬語という概念はないので「ご」に関しては気にする必要はありません。 「理解」は英語で「understanding」になります。 ちなみに「ご協力」は「cooperation」、「ご配慮」は「concern」といいます。
I appreciate your understanding.
ご理解いただきありがとうございます。
Thank you for your understanding and cooperation.
ご理解とご協力のほど、よろしくお願いいたします。
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「ご理解」の意味と使い方、ご理解いただけたでしょうか?「ご理解」の意味と使い方を最後にまとめたいと思います。 ✔「ご理解」の「ご」は尊敬の接頭語 ✔「ご理解」は「他人が意味をのみこむ」という尊敬語 ✔「ご理解ください」は語感が強いので注意 ✔「ご理解のほど〜」「何卒ご理解〜」「ご理解の上〜」など様々な表現があるので、時と場合で使い分ける ✔「ご理解」の類語には「ご了承」「ご容赦」「ご配慮」などがある ✔「ご理解」の英語は「understanding」