「ご参照いただけますと幸いです(ごさんしょういただけますとさいわいです)」は、参照してもらえると嬉しいという意味です。例えばビジネスメールに参考になる資料を添付したときなどに使います。
「ご参照いただけますと幸いです」は、下記の3つの部分に分けることができます。それぞれの意味と敬語の種類を詳しく解説します。
「参照」は「さんしょう」と読みます。 「参照」の意味は「他のものを照らし合わせて参考にすること」です。 「ご参照」の「ご」は、尊敬を表す接頭辞です。
接頭辞「ご(お)」の敬語の種類は、尊敬語・謙譲語・丁寧語の3つの意味があります。
「いただけますと」は、「してもらうと」という意味です。 「いただけますと」は、「もらう」の謙譲語「いただく」に、丁寧語「ます」と、接続助詞「と」をつけた言葉です。 「いただく」は漢字で「頂く」と書きますが、この場合は平仮名が正しい表記です。 この「いただく」は「参照」という動詞を補助する役割がある補助動詞です。「物をもらう」という「頂く」の本来の動詞の意味で使ってるわけではありません。 補助動詞は平仮名がルールです。例えば「きてください」も「来てください」が正しく、「来て下さい」は誤りです。
「幸い」は、「さいわい」と読みます。 「幸いです」は、「自分にとって嬉しいことです」という意味です。 「幸い」に丁寧語「です」をつけています。 したがって、「ご参照いただけますと幸いです」で「参照してもらえると嬉しい」という意味になります。
「ご参照いただけますと幸いです」は主にビジネスメールで資料を送るときに使います。正しい使い方をメール例文とともに紹介していきます。
「ご参照いただけますと幸いです」は、ビジネスメールに添付した資料などを参考にしてほしいときに使います。 例えば、メールに会議の参考になる資料を添付したときなどです。 「ご参照」は「他のものと照らし合わせて参考にする」という意味なので、目に見えるものが対象になります。 「詳細は電話にてご参照いただけますと幸いです」などの使い方は誤りなので注意しましょう。 「ご参照いただけますと幸いです」は、
など、クッション言葉と併せて使うとより丁寧になります。 クッション言葉とは、相手に何かを依頼したり、お断りをする場合などに言葉の前に添えて使用する言葉のことです。 文中で使われることがほとんどですが、「ご参照いただけますと幸いです。何卒よろしくお願いいたします。」などの形で文末に使うこともできます。
【件名】 お問い合わせいただいた商品について 【本文】 この度は、弊社製品についてお問い合わせいただきありがとうございいます。 ABCお客様窓口の松田と申します。 お問い合わせいただいた製品「△△△」は、現在在庫がございます。 ご予約のご希望をいただけるようでしたらこちらのメールでお受けいたしますので、ご希望の色・個数をお伝えくださいませ。 製品の詳しい情報については、資料を添付いたしますのでそちらをご参照いただけますと幸いです。 今後とも弊社製品をよろしくお願い申し上げます。 松田
【件名】 資料送付のお知らせ 【本文】 株式会社あいうえお 第一営業本部 大谷彩花様 平素よりお世話になっております。 株式会社かきくけこ商品部の武藤です。 この度はカタログをご請求いただきありがとうございます。 ご依頼いただきました新製品資料を本日発送いたしました。 ・発送日:10月1日(月) ・到着予定:10月2日(火)午前10時〜12時 。送付内容:製品カタログ 2部 大幅なモデルチェンジを行いましたので、ご参照いただけますと幸いです。 なお、製品につきましてご質問などございましたら武藤宛にメールまたはお電話にてお気軽にご連絡ください。 引き続きよろしくお願いいたします。 大谷
【件名】 商品開発会議について 【本文】 関係者各位 お疲れ様です。 開発部の高橋です。 11月11日(火)に行われます商品開発会議に先立ちまして、前回の商品開発会議の議事録を添付いたします。 添付資料 商品開発会議議事録.pdf 今回の会議は前回の商品開発会議を元に行いますので、ご参照いただけますと幸いです。 お忙しい中恐縮ですが、よろしくお願い申し上げます。 高橋
【件名】 上半期売上データについて 【本文】 ウルトラプルス株式会社 営業部 轟様 お世話になっております。 株式会社マイトオール営業部の八木です。 ご依頼いただきました2021年度上半期売上データをご送付いたします。 添付ファイル 売上データ(関東地区).xls 「月別」には1月から6月までの売上データ、「商品別」に商品別の売上データが入っております。 合わせてご参照いただけますと幸いです。 ご不明な点がございましたら、八木までご連絡いただきますようお願い申し上げます。 八木
「いただけますと」には、下記の3つの類似表現があります。意味と丁寧さの度合いがどのように違うか解説します。
「ご参照ただけますと幸いです」と似た敬語表現に「ご参照いただければ幸いです」があります。 「いただけますと」は、上述したように「もらう」の謙譲語「いただく」に、丁寧語「ます」と、接続助詞「と」をつけた敬語表現です。 「いただければ」は、「もらう」の謙譲語「いただく」に、仮定を表す「れば」をつけた敬語表現です。 「いただければ幸い」で「してもらえたら嬉しい・ありがたい」という願望を表す丁寧な言い回しになります。 どちらも目上の人に対して使える丁寧な敬語表現ですが、「いただけますと幸い」は謙譲語と丁寧語を使った敬語表現で、「いただければ幸い」は謙譲語のみを使った敬語表現であるため、「いただけますと幸いです」のほうがより丁寧といえます。
「ご参照いただけましたら幸いです」という表現もあります。 「いただけましたら」は、「もらう」の謙譲語「いただく」に、丁寧語「ます」と、仮定の「たら」をつけた敬語表現です。 「いただけましたら幸いです」も「してもらえたら嬉しい・ありがたい」という丁寧な言い回しということになります。 「ご参照いただけますと幸い」と「ご参照いただけましたら幸い」は、どちらも謙譲語と丁寧語を使った敬語表現なので丁寧さの度合いは同じですが、「ご参照いただけましたら幸い」は仮定表現なので、控えめで謙虚な意味合いが強く、より丁寧な印象を相手に与えます。
「賜れますと幸い」は、「もうらう」の謙譲語「賜る(たまわる)」に、仮定を表す接続助詞「れば」と、丁寧語「ます」をつけた敬語表現です。 「賜る」は、「もらう」の謙譲語と、「与える」の尊敬語の二つの意味がありますが、「賜れますと幸い」の場合は謙譲語です。 「賜れれば幸い」で、「もらえると嬉しいです」と依頼をする丁寧な表現になります。 「いただけますと幸い」と「賜れますと幸い」は、どちらも「もらう」の謙譲語を使った敬語表現ですが、「賜る」が「いただく」より一段と恐れ多いという気持ちを込めた謙譲語として用いられるため、「賜れますと幸い」のほうが丁寧でよりかしこまった表現といえます。
「幸いです」の類似表現には「幸甚に存じます(こうじんにぞんじます)」があります。 「幸甚に存じます」は、「幸甚」に丁重語「存ずる」と丁寧語「ます」をつけた敬語表現です。 「幸甚」は、「何よりの幸せ」「この上ない幸せ」「最上級の幸福」「幸せの極み」「大変ありがたい思う」という意味です。 「存ずる」は、「思う」の丁重語です。 丁重語とは謙譲語Ⅱともいわれ、へりくだることで相手に敬意を示すという点で謙譲語と同じですが、通常の謙譲語とは違い、動作の対象ではなく聞き手・読み手に敬意を示す敬語です。 「幸甚に存じます」で、「この上なく幸せに思います」という意味になります。 丁寧語のみを使った「幸いです」よりも、丁重語と丁寧語を使った「幸甚に存じます」のほうが丁寧な敬語表現です。 また、「幸い」よりも「幸甚」のほうが堅い表現であるためフォーマルな場面に適しています。 ただし、かしこまりすぎて仰々しい印象を相手に与える可能性があるので注意しましょう。
「ご参照いただけますと幸いです」には、下記のような言い換え表現があります。それぞの正しい使い方を解説します。
「ご参照ください」は、「参照」に尊敬を表す接頭辞「ご」と、「くれ」の尊敬語「ください」をつけた敬語表現です。 正しい敬語表現ですが命令文なのでやや丁寧さにかけ、目下の人や同等の立場の人に対して使うのは問題ありませんが、親しくない上司や社外の人に対して使うのは避けた方がよい場合もあります。 「ご参照くださいませ」とすると柔らかいニュアンスになります。 「くださいませ」は、「ください」に「ませ」をつけた敬語表現です。 「ませ」は「丁寧な気持ちを込めて、相手にある動作を要求する意」を表します。 「くださいませ」とすることで、「くれ」を丁寧にするだけでなく柔らかい印象を与えることができます。
「ご参照いただけますか」は、「参照」に尊敬を表す接頭辞「ご」と、「もらう」の謙譲語「いただく」に、丁寧語「ます」と疑問の終助詞「か」をつけた敬語表現です。 「ご参照ください」では丁寧さに欠けますが、「参照してもらえますか?」と疑問形にすることで、柔らかい依頼の表現になります。 「ご参照いただくことは可能でしょうか」という敬語表現もあります。 「ご参照いただくことは可能でしょうか」は、「参照してらうことはできるだろうか?」と可否を確認する表現で、依頼をするときに使用される正しい敬語表現です。 しかし、やや強意的であるためビジネスシーンでは使用を避ける人もいます。
「ご参照願います」は、「参照」に尊敬を表す接頭辞「ご」と、「願う」に丁寧語「ます」をつけた敬語表現です。 「ご参照願います」も正しい敬語表現ではありますが、「願います」が「願う」という言葉の丁寧語であるという点で丁寧さに欠ける表現であるため、親しくない上司や社外の人に対して使うは避けた方が無難です。 上司や社外の人に使用する場合は、「お願いいたします」などより丁寧な敬語表現を使用しましょう。
「ご参照のほど」は、「参照」に尊敬を表す接頭辞「ご」と、断定を避ける表現の「ほど」を使った敬語表現です。 「〜のほど」を用いることで相手に柔らかい印象を与えることができます。 「程」の本来の意味は、「物事の経過に伴う様子、程度」です。 「ほど」は漢字で書くと「程」ですが、補助動詞と同じく本来の意味で使わないので、断定を避ける依頼表現では平仮名が正しい表記です。 「お願いいたします」は、謙譲語+丁重語+丁寧語の敬語表現です。
「お願いいたします」の「いたす」は補助動詞なので平仮名で表記するのが正しいです。
「ご参照くださいますようお願い申し上げます」は、「参照してくれるようお願いする」という意味です。 「ご参照くださいますよう」は、「参照」に、尊敬を表す接頭辞「ご」をつけて、「くれ」の尊敬語「ください」と、丁寧語「ます」、婉曲表現の「よう」をつけた表現です。 「くださいますよう〜」とすることで、断定を避けた柔らかい依頼表現になります。 「お願い申し上げる」は、「お願いする」の謙譲語です。 「お〜申し上げる」で、動作対象を敬う謙譲表現になります。 「申し上げる」は本来「言う」の謙譲語ですが、この表現では「する」という意味の補助動詞です(本来平仮名表記すべきですが、慣例的に漢字表記のことが多いです)。 「お願い申し上げます」の「ます」は丁寧語です。 「申し上げる」も補助動詞なので、本来は「お願いもうしあげます」と書くのが正しいですが、慣例的に「お願い申し上げます」と漢字で書くことが多いです。 「ご参照くださいますよう〜」は「ご参照いただきますよう」と言い換えることもできます。 「ご参照いただきますよう」は、「参照してもらうよう」という意味です。 「参照」に尊敬を表す接頭辞「ご」をつけて、「もらう」の謙譲語「いただく」と丁寧語「ます」、婉曲表現の「よう」をつけています。
「ご参照いただきたく存じます」は、「参照」に尊敬を表す接頭辞「ご」をつけて、「もらう」の謙譲語「いただく」と「思う」の丁重語「存ずる」、丁寧語「ます」をつけた敬語表現です。 「ご参照いただきたく存じます」で、「参照してもらいたいと思います」と柔らかくお願いをする表現になります。 「ご参照いただければと存じます」とするとより丁寧です。 「いただければ」は、上述した通り「してもらえたら〜」という仮定の表現で願望を表す丁寧な言い回しです。
「ご参照賜りますようお願い申し上げます」は、非常に丁寧な依頼表現です。 「賜りますよう」は、「もらう」の謙譲語に、丁寧語「ます」と、婉曲表現の「よう」をつけた敬語表現です。 「ご参照賜りますようお願い申し上げます」で、「参照してもらうようお願いします」という意味になり、丁寧にお願いをすることができます。 ちなみに、「賜れますよう」は誤りです。 「賜れますよう」の「れ」は助動詞「れる」の連用形です。助動詞「れる」の意味は主に尊敬・可能で使います。 「賜る」自体が敬語なので、敬語の助動詞を使うのは不適切です。 「れる」が可能の意味ならば「してもらうことができますように・・・」という意味になってしまいます。