「ご容赦くださりありがとうございます(ごようしゃくださりありがとうございます)」は、容赦してくれてありがとうという意味です。ビジネスシーンで相手に迷惑をかけてしまうことに対して相手が許してくれたときにお礼を伝える敬語表現です。
「ご容赦くださりありがとうございます」は「ごようしゃくださりありがとうございます」と読みます。 「ご容赦くださりありがとうございます」の意味は「容赦してもらいありがとう」です。 「ご容赦」には「相手のあやまちなどを許してとがめないこと」という意味があります。 「くださり」は「くれる」という意味です。 「ありがとうございます」は感謝の気持ちを表す敬語表現です。
「ご容赦いただきありがとうございます」は、品詞分解すると「ご」+「容赦」+「くださり」+「ありがとう」+「ござい」+「ます」です。 「容赦」についている「ご」は、尊敬を表す接頭辞です。
接頭辞「ご(お)」敬語の種類は文脈によって尊敬語・謙譲語・丁寧語のどれにもなります。
この場合の接頭辞「ご」は、相手が返送することに対してつけているので尊敬語です。 「くださり」は「くれる」の尊敬語です。 「ござい」は「ある」の丁重語「ござる」の連用形です。 丁重語とは、謙譲語Ⅱともいわれ自分をへりくだることで相手に敬意を示す点で謙譲語と同じですが 、通常の謙譲語とは違い聞き手・読み手に敬意を示す敬語です。 「ます」は丁寧語です。 「ご容赦くださりありがとうございます」は、「容赦」接頭辞「ご」と「くださる」の尊敬語を2つ使用してますが、二重敬語ではありません。 二重敬語とは一つの言葉に対して同じ種類の敬語を2つ以上重ねて使用してしまうことをいいます。 「ご容赦くださりありがとうございます」の場合は「ご〜くださる」で一つの尊敬語と解釈できるため正しい敬語表現です。
「ご容赦くださりありがとうございます」は、「ご容赦くださいましてありがとうございます」とすることもできます。 「ご容赦くださいましてありがとうございます」の「ご容赦くださいまして」は、「容赦」に尊敬を表す接頭辞「ご」をつけて、「くれる」の尊敬語「ください」と丁寧語の「ます」をつけた敬語表現です。 「ご容赦くださる」にさらに丁寧語「ます」をつけることで、より丁寧な依頼表現になります。
「ご容赦いただきありがとうございます」の「ご容赦いただき」は、「容赦」に尊敬を表す接頭辞「ご」をつけて「もらう」の謙譲語「いただく」をつけた敬語表現です。 「ご容赦いただき」で「容赦してもらい」という意味になります。 「ご容赦いただきありがとうございます」は謙譲語、「ご容赦くださりありがとうございます」は尊敬語という違いがありますが、敬意の度合いはどちらも同じです。 相手の動作に対してなら尊敬語を、自分の動作に対してなら謙譲語を使います。 また、「いただき」が「もらい」、「くださり」が「くれる」という意味の違いもありますが、これもどちらが丁寧ということはありません。 しかし、「くださり」が命令形「くれ」の尊敬語であるため「いただき」のほうが謙虚な響きがあります。
上述した「ご容赦いただきありがとうございます」は、「ご容赦いただきましてありがとうございます」とすると、より丁寧になります。 「ご容赦いただきましてありがとうございます」の「ご容赦いただきまして」は、「容赦」に尊敬を表す接頭辞「ご」をつけて、「もらう」の謙譲語「いただく」と丁寧語の「ます」をつけた敬語表現です。
「ご容赦賜りありがとうございます」の「ご容赦賜り」は「容赦」に尊敬を表す接頭辞「ご」をつけた敬語表現です。 「賜る」は「もらう」の謙譲語です。 「賜る」は同じく「もらう」の謙譲語「いただく」よりも一段と恐れ多い気持ちを込めて使う謙譲表現です。 したがって、「ご容赦いただきありがとうございます」よりも「ご容赦賜りありがとうございます」のほうが丁寧でかしこまった表現です。
「ご容赦賜りありがとうございます」は「ご容赦賜りましてありがとうございます」とすると、より丁寧になります。 「ご容赦賜りましてありがとうございます」の「ご容赦賜りまして」は、「容赦」に尊敬を表す接頭辞「ご」をつけて、「もらう」の謙譲語「賜る」と丁寧語「ます」をつけた敬語表現です。 かなりかしこまった表現なので、社外の人に対して使うのに適しています。
「ご容赦ありがとうございます」も正しい敬語表現です。 「ご容赦ありがとうございます」は、「容赦」に尊敬を表す接頭辞「ご」をつけた「ご容赦」に「ありがとう」に丁重語「ござる」と丁寧語「ます」をつけた「ありがとうございます」の敬語表現です。 十分丁寧な敬語表現で社内の人に対して使われる事が多いですが、社外の人に対してやビジネスメールなどでは「ご容赦くださりありがとうございます」など、よりかしこまった敬語表現が使われることが多いです。
「ご容赦くださりありがとうございます」は、迷惑をかけてしまうことに対して相手が了承してくれたときのお礼を伝えるときに使います。 例えば、天候によって納品が遅れる可能性があることがあることに対して相手が了承してくれたときなどです。 ビジネスメールだけではなく、口頭や電話で使うこともできます。
納期遅延の件 【本文】 株式会社マイトオール 営業部 相澤様 株式会社ソウルロディ販売部 吉沢遼太郎です。 平素よりお世話になっております。 さて、納期遅延の件、ご容赦くださりありがとうございます。 このたびは、御社に多大なるご迷惑をおかけしたこと、深くお詫び申し上げます。 現在も、一日でも早く納品できるよう動いております。 先日のご連絡には10月15日(金)に納品予定とお伝えしましたが、それに向けましては順調に進行しておりますのでご安心くださいませ。 どうぞ今後ともよろしくお願い申し上げます。 吉沢
【件名】 日程調整のお礼 【本文】 株式会社ウンデヴァー 営業部 部長 鈴木敏郎様 平素よりお世話になっております。 ベストファーザー株式会社 佐藤です。 このたびは、打ち合わせの日程についてご面倒をおかけしてしまい、申し訳ございません。 また、勝手なお願いにもかかわらずご容赦くださりありがとうございます。 日程をご変更させていただきまして、10月5日(月)にお待ちしております。 ご多忙のところお手数をおかけいたしますが、よろしくお願いいたします。 メールにて失礼ではございますが、日程のご変更のお詫びとお礼を申し上げます。 佐藤
「ありがとうございます」は、「感謝申し上げます」または「お礼申し上げます」とするとより丁寧になります。 「感謝申し上げます」は、「感謝」に「する」の謙譲語「申し上げる」と丁寧語「ます」をつけた敬語表現です。 「申し上げる」は、本来「言う」の謙譲語ですがこの場合は「する」という意味の補助動詞として使われています。 「感謝」は、ありがたく感じている謝意を表す言葉です。 「感謝申し上げます」で、「感謝します」という意味になり丁寧に感謝の気持ちを伝えることができます。 「お礼申し上げます」は、「礼」を丁寧に言い表すためにつける美化語「お」をつけて、「する」の謙譲表現「申し上げる」と丁寧語「ます」をつけた敬語表現です。 「お礼」は、感謝の気持ちを表す言葉や金品を指す言葉です。 「お礼を申し上げます」で、「感謝します」という意味になり丁寧に感謝の気持ちを伝えることができます。 ちなみに、補助動詞は平仮名で表記するという決まりがあるので、本来は「もうしあげます」と表記するのが正しいですが、慣例的に「申し上げます」と漢字で表記されることが多いです。 感謝の気持ちを伝える表現には「拝謝いたします」もあります。 「拝謝」は「礼を述べること」の謙譲語です。 「拝謝」はお礼状や手紙など書き言葉として使われることがほとんどで、話し言葉としては使いません。 ちなみに「拝謝申し上げます」は謙譲語の「拝謝」に、さらに「する」の謙譲表現「申し上げる」をつけているので二重敬語で誤用です。
「ありがとうございます」を、「恐縮です」「恐れ入ります」に変えるとお詫びのニュアンスになります。 「恐縮です」は、「恐縮」に丁寧語「です」をつけた敬語表現です。 「恐縮」は、相手からの厚意に対して恐れ多い感謝の気持ちや迷惑をかけたときの謝罪の気持ちを表します。 「恐れ入ります」は、「恐れ入る」に丁寧語「ます」をつけた敬語表現です。 「恐れ入る」は、相手の厚意に対して恐縮するという意味で、相手の厚意に対して恐縮する気持ちを表します。 自分の事情で相手に迷惑をかけてしまった場合には、「ありがとうございます」よりも「恐縮です」「恐れ入ります」のほうが適しています。
「ありがとうございます」の前に「誠に」「大変」などをつけることで、感謝の気持ちを強調することができます。 「誠に」は「本当に」という意味です。 本心からそう思う様子を表す副詞として使われます。 「本当に」ということもありますが、ビジネスシーンではより堅い表現である「誠に」を使う事が多いです。 「大変」は「非常に」「とても」という意味です。 程度のはなはだしいことを表します。
「ご容赦くださりありがとうございます」は、クッション言葉と併用して使うことも多いです。 クッション言葉とは、相手に何かを依頼したり、お断りをする場合などに言葉の前に添えて使用する言葉のことです。ビジネスシーンでは様々な状況で使われます。
「ご容赦くださりありがとうございます」と併用できるクッション言葉」