「貫禄がある」という表現ってよく耳にしますよね。みなさんは「貫禄がある」と聞いてどのような人を想像するでしょうか。今回は「貫禄」という言葉の正しい意味や使い方を例文つきで注意点もわせて解析します!また、貫禄がある人の特徴や、貫禄をつける方法も紹介しますのでぜひ参考にしてください。
「貫禄」の読み方は「かんろく」です。 「貫」は、音読みで「カン」訓読みで「つらぬく」と読みます。 「禄」は、音読みで「ロク」訓読みで「さいわい・ふち」と読みます。
「貫禄」の意味は、「身に備わった威厳や風格」です。 「威厳」とは、「堂々をしている」「近寄りがたいほど格式を感じさせるという人の様子を表現する言葉です。 つまり、「貫禄」とは「堂々をしている」「ビシっとした威厳を感じる」といったような、人から出るオーラや雰囲気を表現している言葉です。 例えば、大手企業の社長のように、大勢の部下を従えて、落ち着いて堂々とふるまっている姿や、そういった人をパッと見ただけで「偉い人だ」とわかるぐらいのオーラを放っている人を「貫禄がある」と言い表します。
「貫禄」は一般的に、文章など書き言葉で使用する場合「貫禄」と表記されます。 しかし、「貫禄」の「禄」は常用漢字ではありません。 そのため、新聞などでは「貫録」で代用するのが普通となっていますので、こちらも合わせて覚えておきましょう。 「録」は音読みで「ロク」と読みます。 常用漢字とは、新聞や公用文書など一般社会において使用される漢字のことです。
「貫禄」という言葉は、中世以降に使用されていた所得の規模や負担能力を表すために使用されていた単位が語源となっています。 「貫」は、元々、その人の土地面積からとれると考えられるお米の収穫高を銭に換算した単位です。 「禄」は、武士がもらえるお給料です。 昔はお米の収穫高が高い人、お給料が多い人が「お金もち」として「貫禄がある」と言っていたため、「貫」と「禄」がある人のほうが堂々を胸を張って生きていました。 そこから、現代でもお金もちのように態度が堂々としていて威厳があるような人を「貫禄がある」と言い表すようになったということが考えられます。
「貫禄」は、上述しているように、その人から感じられる雰囲気や、器が大きくちょっとやそっとのことでは動じない威厳があるなど内面的な部分表現する場合に使用されます。 詳しい使い方については、それぞれの例文を参考にしてください。
「貫禄がある」は、堂々としていて風格がある様子の人に対して使用される言い回しです。 例えば、しっかりと上司としての自覚をもって、部下に対して堂々と振る舞うなど、威厳を感じるといった場合に「上司としての貫禄がある」と表現することで、褒め言葉になります。
例文
「貫録を感じる」は、「貫禄があるように感じる」という意味です。 堂々としていたり風格がある人を見て「この人は貫禄があるな〜」と思ったときに、「貫禄を感じる」と表現されます。 例えば、「足を大きく広げて座る姿に貫禄を感じた」だと、「足を大きく広げ、堂々を座っている姿を見て風格があるように感じた」といった意味合いになります。
例文
「貫禄がつく」は、主に頼りなかった人が年齢や経験を重ねて「しっかりとしてきて風格がでた」という褒め言葉として使用される言い回しです。 例えば右も左もわからない新人だったのが、月日が経ってしっかりと自信をもって仕事をするようになったり、部下を従えるようになって堂々を振る舞っている...といったような人の成長に対して「貫禄がつく」と表現することができます。 基本的に男性に対して使用する表現です。 女性に対して使ってしまうと「太ったね」と言われたと思ってしまう人がいますので注意してください。 その理由は、後述しますのでそちらを参考にしてください。
例文
「貫禄を見せる」は、ふとした時に、ピシっと周りの人の気持ちが引き締まるような威厳を感じさることを表現した言い回しです。 例えば、リーダーとしての風格をあらわにして周りの人をひっぱっていくような姿を「リーダーとして風格を見せた」などと言い表すことができます。
例文
「貫禄がすごい」は、おじさんのような姿でテレビを見ている子供や、細身の人達ばかりの中に一人混じっているがたいが良い人など、とにかく「なんかすごいわ…」と感じる人を表現する言葉です。 「すごい」という言葉には「ぞっとするほど恐ろしい」という意味や「程度が甚だしい」という意味があります。 つまり、とにかく貫禄があって、際立って印象をうける人を「貫禄がすごい」と言います。
例文
「貫禄が違う」は、周りの人と比べたときに、一際堂々をしているなど、思わず人を「お〜さすがだね(拍手)」と人を感心させるような風格を言い表す表現です。 例えば、芸能人をみたときに「オーラが違う」とか言いますよね。 それと同じで、周りの人とはちがった雰囲気、風格を感じる場に「貫禄が違う」と言います。
例文
「貫禄勝ち」は、圧倒的強さをもち、堂々と勝利を手にすることを言い表した表現です。 例えば、スポーツの試合などで、圧倒的強さでストレート勝ちをしたといった場合に、その堂々をした試合から「貫禄勝ち」というように言い表されることがあります。 圧巻の試合に感動した、という褒め言葉として使用されることが多いです。
例文
「貫禄」には「おもみ」というニュアンスがあり、これは本来「経験からくる人間性のおもみ」という意味で使用されます。 現代では「太っている」「体格がよい」という意味合いで使う場合があります。 「太っているね」ってちょっと言いにくいですが、「貫禄がありますね」と言うと、「貫禄」という言葉が元々褒め言葉として使用される言葉であるため、オブラートに包むことができるのです。 実際この意味は辞書には載っていません。 あくまでも、そういった使い方をする人が多いというだけであり、本来の意味とはニュアンスが異なるということを頭に入れておきましょう。 しかし、女性に「貫禄があるね」というと、女性はデリケートですから、一瞬で「太ってる」「がたいがいい」って言われているんだなと感じます。 悪い意味で言っていないとしても、嫌味を言われた...と勘違いされる可能性が非常に高いので、女性には使わないほうが無難です。 女性に対しては、「凛としているね」などの表現を使用するのがいいでしょう。
また、「貫禄」という言葉には、「偉そう」「老けている」といった意味合いを込めて使用される場合もあるので、受け取り手に誤解をされないような使い方をする必要があります。 例えば、
などに使用することがあります。 「貫禄がある猫」など人間と同じようにちょっとぽっちゃりしていて、四足でドシドシ歩くといった、どこか堂々をしていて人間味のある動物を「貫禄がある」と表現することがあります。 「貫禄がある子ども」や「貫禄がある若い人」は、年齢に見合わないほど堂々として威厳がある姿を表現しますが、子供やまだ若い人に向かって「貫禄がある」と言ってしまうと「老けてるってこと!?」と思われてしまう可能性がありますし、「偉そう」と嫌味で言っていると思われてしまう可能性があるので注意しましょう。
短時間でその人に貫禄があるかなんて、普通判断できませんよね。 つまり、初対面で「貫禄がある」と使用してしまうと「がたいがいい」とか、「太っている」といった意味で言われていると思われてしまうんです。 なので、初めて会った人には、褒め言葉であったとしても「貫禄がありますね」といった表現は使用しないほうが無難です。
「貫禄」という言葉を褒め言葉として使う人も、もちろんいます。 例えば、若い男性に「貫禄が出てきましたね」と言えば、「年齢を重ねてしっかりとしてきた」といった褒め言葉になるので、言われた側も嫌な気持ちになることはないでしょう。 しかし、場合によっては「貫禄がでてきましたね」→「太った」「偉そうになった」と捉えられてしまう可能性もあります。 なので、「貫禄がある」という表現を使用したい場合は、「貫禄が出てきて大人な男性になりましたね」など、明らかに「褒めています」とわかるように伝えるのがベストです。
「威厳」の意味は、「堂々としておごそかなこと」です。 例えば近寄りがたい・・・と思わず思ってしまうような、威圧的で厳しそうな人に対して「威厳」という言葉を使用して、「威厳がある」と表現されます。 このように、立ち振舞が堂々としていたり、ビジっと堅苦しい雰囲気にたいして「威厳」という言葉を使用します。
例文
「威容(いよう)」の意味は、「いかめしく、厳かな姿・立派な姿」です。 例えば、堂々とした立派な姿を見せることを「威容を誇る」と表現することができます。 人間だけではなく、立派で誇らしげに立っている建物などに使用することも可能です。
例文
「威儀(いぎ)」の意味は、「いかめしく重々しいこと 作法にかなった立ち振舞い」です。 「重々しい」といったニュアンスが強く、例えば「身なりを整える」というようにビシっとした態度をとることを「威儀を正す」と言い表すことができます。
例文
「威風(いふう)」の意味は「威厳や威勢があって立派な様子」です。 堂々としている姿、形というニュアンスで使用され、人物だけではなく、「立派な建物」を指す言葉としても使用されます。
例文
「貫禄」の対義語は、明確にこれといったものはありません。 「貫禄」が「厳格」「風格」といった意味がある言葉なので、強いて言うなら「人間的に重みや風格を感じられることのない薄っぺらさを言い表す言葉」が対義語になるといえるでしょう。 例えば、言葉や行動に重みがないということを表現している「軽薄」「浅はか」や、「粗雑」といった言葉などがあります。
「貫禄」に最も近い英語表情は「dignity」です。 「dignity」は「威厳。尊厳」などと和訳されることが多いです。 「dignity」の動詞が「dignify」で、形容詞が「dignified」です。 「dignified」は直訳すると「自制されており、真面目で、落ちているがゆえに尊敬に値する」という意味です。 「dignified」は「太っている」というニュアンスはないので、女性に対しても問題なく使用することができます。
He is a dignified man.
彼は貫録のある男だ。
He upheld the dignity of the teaching profession.
彼は教員としての貫録を見せた。(直訳:彼は教職の尊厳を保った)
「貫録」は「presence」を使って表情することも可能です。 「presence」は「存在感」という意味です。 「presence」は名詞です。 「presence」も女性に対して問題なく使用することができます。 「gain presence」「acquire presence」で「存在感が増す」=「貫録が出る」という意味になります。
He is a man of great presence.
彼は貫録のある男だ。
He has gained a lot of presence recently.
彼は最近かなり貫録が出てきた。
「...の貫録はない」は「does not look like...」と表現することが可能です。 「does not look like...」は直訳すると「(客観的に)...のようには見えない」という意味になります。
He doesn't look like a CEO.
彼に社長の貫録はない。
「an air of confidence」は「自信に満ちた雰囲気」という意味です。 「confidence」は「自信」という意味の名詞です。 形容詞は「confident」です。 「confidence」と直接的に表現するより、「an air of confidence」とした方が日本語の「貫録」というニュアンスに近いと思います。 「presence」と同様、「an air of confidence」も「gain」「acquire」などの動詞を使うことができます。
Through years of experience, she has acquired an air of confidence as CEO.
何年もの経験を通して、彼女は社長としての貫録が出てきた。
貫禄がある人は、自尊心がたかく、自分に自信があるのでいつも堂々としています。 例え、はじめての場所やはじめての環境に足を踏み入れたとしても、自分の培ってきた経験に自信があるのでおどおどしたりしません。 自分ならどんな場面でもどんなことが起きても絶対に大丈夫という自信があるのです。 なので、貫禄がある人ってどににいても貫禄があります。 例えば転職をして新しい職場に行ったとしてもやたら堂々としていて「あの新人さん貫禄があるね」なんて言われることも少なくありません。
貫禄がある人は、自制心があるので自分の行動において冷静に判断することが出来ます。 人って感情だけで突き動かされてしまうことがありますが、凛としている人はしっかりと自分の今できることや未来のことを考えられています。 貫禄がある人はいつも落ち着いていて、焦ったりパニックになることもありませんし、感情的になることもありません。 また、自分が決めたことを継続出来るように、自分のやるべきことを冷静に判断しています。 何かと冷静を欠いた決断をしたり、焦っている人って貫禄があるとは言えませんよね。
貫禄がある人は、信念があって一貫性があります。 例えば、「自分はこういう人間でありたい」といった思いや、「10年後には海外で暮らす」など理想とする人物像や生活スタイルをはっきりとイメージしています。 決して人に合わせて意見が変わったり、すぐに流されてしまうとったことがありません。 すぐに人に流されてしまったり、言っていることがブレブレな人って、頼りないですし、貫禄があるどころか「しっかりしてくれよ...!」と思ってしまいますよね。 貫禄がある人はしっかりとした信念があって、その目標に向かって毎日の生活を大切に過ごすことができているので、決してブレません。 だからこそ、「自分がどうあるべきか」「どうするべきか」ということを念頭においてしっかりとした一貫性のある行動をとることができ、周りからも信頼されやすいです。
貫禄がある人は、依怙贔屓(えこひいき)をしたり不公平なことをしません。 もちろん、仲の良い友人や家族にはより優しくしたりすることはあります。好きな人には丁寧になることもあります。しかし、そういう人にだけ優しくするのであれば優しい人でありません。 特別仲が良いわけではなくても、好意を寄せている相手ではなくても、親切丁寧に接することのできるのが優しい人の特徴です。人によって態度の変わる人は信頼できませんし依怙贔屓(えこひいき)をしたりします。贔屓されなかった人たちはみんな嫌な思いをしたり苦労することになります。 貫禄がある人は、自分の損得を意識しているわけではないので、人を選ばずに誰に対しても平等に接することができるのです。
貫禄がある人は他人の目や評価を気にしません。 もちろん、他人のことは気遣います。 しかし他人の目や評価を気にして、自分の意見や気持ちを押し殺すことはありません。 公平な判断や評価は気にしますが、くだらない悪口や陰口、嫉妬から出る酷評などなんて気にしません。 貫禄がある人は、ちゃんと自分のことを信じてあげられているのです。
貫禄をつけるためには、る程度の知識も大切です。 知識を増やすことで物事が理解しやすくなったり、人との関わりがより良好になるうえ、自信をもって人と接することができます。 例えば、取引先で相手に時事ネタをふられてオドオドしたりするのはダサいですし、貫禄があるとは言えないですよね。 知っていて当たり前な基本的なことや、時事問題についての知識は持っていたほうがいいでしょう。 どんな時でもずっしりと構えているためには、ある程度の知識をつけて、自分に自信をつけることが大切です。 特におすすめしたいのが「読書」です。世の中に本は山程あります。本の数だけ知識があるということになるので尽きることはないでしょう。 また読書であれば1人でできるため自分のペースで進めることができます。 本のジャンルは様々ですが自己啓発本・小説・ビジネス本あたりがおすすめです。 実際に本屋でいろんな本を見て、自分が読みたいと思った本から読み始めてみましょう。
姿勢が曲がっている人は、それだけで貫禄がなくなってしまうので要注意! 猫背で背中が曲がっていると、どうしても自信がないように見えて貫禄がなくなってしまいます。 あえて無理にふんぞり返って偉そうにする必要もありませんが、姿勢はビジっと正したほうがいいですね。 姿勢がビシっとしていると、それだけで明るく自信に満ちた凛とした人に見えます。 猫背で下向き加減だと、表情も暗く見えてしまいます。 なかなか難しいかもしれませんが、意識をして姿勢を正すことから始めましょう。 姿勢を正すと、貫禄が出るだけではなく健康的にも良いので良いことことづくし! これを機会に猫背を治してみるといいでしょう。
思い通りにならないことがあったからといってヒステリックをおこしてしまうなど、感情に振り回されてしまっている人は、貫禄があるとは言えません。 貫禄がある人は、いつおおおらかで、ずっしりと構えています。 その気落ちの余裕が「貫禄がある」と感じさせるんですよね。 カッ!と怒りがこみ上げてきたときは、一度席を外して気持ちを落ち着かせる、深呼吸をするなど、自分の気持ちをコントロールする術を身に着けましょう。 そういった自分の感情をコントロールすることができる精神的な強さも貫禄がある人になるためには必要です。
何か間違ったことを言ってしまうのではないか。。 何か言ったところで言い返されてしまうのではないか。。 と自信がないままでは、貫禄のある人にはなれません。 自分の意見ははっきり言える強さをもちましょう! 「相手から反対されたら」「相手から嫌われたら」と思うかもしれませんが、自分の意見を言ったくらいで反対したり嫌うような人とはそもそも人間関係を築く必要はありません。 職場の人間関係であれば全く関わらないというのは難しいですが、仕事に支障をきたさないのであれば無理に仲良くする必要もありません。 しっかりと自分の意見を言ってみると、案外「そういうのもありますよね」「それは違うんじゃないすすか?」といい話し合いが出来て仕事の効率やモチベーションが上がることもあります。 要は、トラブルを招くような攻撃的な言い方をしなければいいのです。 自信をもって、自分の意見は伝えましょう。
「貫禄」について理解していただけましたか? ✓「貫禄」の読み方は「かんろく」 ✓「貫禄」の意味は「身に備わった威厳や風格」 ✓「貫禄」の漢字は「貫録」と書くこともある ✓「貫禄がある」「貫禄を感じる」などと使用される など