1. TOP
  2. 日本語
  3. 日本語表現・熟語
  4. 「敬白」の意味!使い方と位置は?敬具・謹啓・謹白との違いも解説

「敬白」の意味!使い方と位置は?敬具・謹啓・謹白との違いも解説

「敬白」は手紙やビジネス文書で用いられる「結語」の一つで「謹んで申すこと」という意味を持ちます。「敬具」などと同じような使い方をする「敬白」について例文付きで詳しく解説していきます。セットとなる頭語などしっかりと覚えておきましょう。その他「敬白文」や「店主敬白」についても紹介します。

「敬白」とは

「敬白」の読み方は「けいはく」

「敬白」は「けいはく」と読みます。 訓読みでは「つつしんでもうす」となります。 「敬」は「うやまう」だけでなく「つつしんで」とも読むことが出来ます。 また「白」は「もうす」とも読むことが出来ます。 かつては「けいひゃく」「けいびゃく」とも読まれていました。

「敬白」の意味は「謹んで申すこと」

「敬白」の意味は「謹んで申すこと」です。 「敬具」などと同じで、手紙の結語(終わりの挨拶)で使われています。 漢語における「白」は、色の白を表すだけでなく「明らかにする(明白)」「潔い(潔白)」「告げる、明かす(告白)」「申し上げる(敬白)」などの意味を持ちます。 例えば「白状」は「明らかにして述べること」であり、「激白」は「隠していることを打ち明けること」となります。 そのため「敬白」の「白」には「真っ白=隠しごとがない」という意味が込められており、素直な気持ちを謹んで伝えたい時に使います。

「敬白」の使い方と例文

「敬白」は頭語とセットで使う(敬白のみでは使用不可)

結語は頭語とセットで使います。 「敬白」に対応する頭語は、一般に「謹啓」と言われていることもありますが「謹啓」はかなり丁寧な頭語であるため「謹言」「謹白」の方がより良いと言われています。 「敬白」に対する頭語は「拝啓」「拝呈」「啓上」がいいでしょう。

「敬白」の位置は手紙・文書などの末尾

「頭語」と「結語」は手紙上で記す位置に決まりがあります。 ○「頭語」

  • 「頭語」は挨拶文を始める前に記し、挨拶文との間に1マス空ける
  • 「頭語」は挨拶文を始める前に記し、改行してから挨拶文を始める

○「結語」

  • 挨拶文が終わり、「結語」の後ろに1マス空けて右詰め(下詰め)する
  • 挨拶文が終わり、「結語」の前に改行する

となりますので、しっかりと覚えておきましょう。

●1マス空ける場合 拝啓 寒風の候、貴社ますますご発展のこととお喜び申し上げます。平素は格別のご高 配を賜り厚く御礼申し上げます。  さて、12月15日(火)付けにてお問い合わせいただきました下記条件にて、別添の とおり見積書をお送りいたします。ご査収のほど何卒お願い申し上げます。  敬白

●改行する場合 拝啓  寒風の候、貴社ますますご発展のこととお喜び申し上げます。平素は格別のご高配を 賜り厚く御礼申し上げます。  さて、12月15日(火)付けにてお問い合わせいただきました下記条件にて、別添の とおり見積書をお送りいたします。ご査収のほど何卒お願い申し上げます。                                     敬白

「敬白」の後に記書きや署名、日付は書く

手紙は、

  • 前文(頭語、時候の挨拶、安否の挨拶)
  • 主文(用件、御礼、謝罪など)
  • 末文(結びの挨拶、結語)
  • 後付(日付、宛名、差出名)

の4つで構成されています。 そのため、結語のあとに日付や署名を書きます。 一番最後と勘違いして後付よりも後に「敬白」を持ってきてしまうことがありますが、それは間違いですので注意しましょう。

                           平成32年12月21日   株式会社WURK  マガジン営業部  涌井 様                             株式会社 PURK                       代表取締役社長 望月 朗              新製品発表会のお知らせ                  拝呈   歳末の候ますますご健勝のこととお慶び申し上げます  平素は格別のご厚情を賜り ありがたくお礼申し上げます   このたび弊社では 下記の要領にて新製品の発表会を行わせていただく  こととなりました    つきましては 一般発表に先立ち関係者の方々に選考発表会を行いたい  と思いますので ご多忙中のところ誠に恐れ入りますがぜひご来場くださ  いますようご案内申し上げます                                敬白                  記       日  時   平成30年2月2日(金)午後5時より       場  所   サンシャイン富士ホテル 12階              東京都豊島区サンシャイン富士       電  話   03−3776−3776       アクセス   池袋駅より徒歩7分                                 以上

「敬白」の使用上の注意点

頭語と結語の丁寧さをそろえる必要あり

頭語結語
一般的な表現拝啓、拝呈、啓上、啓白、拝進敬具、敬白、拝具、不一
より丁寧な表現謹啓、謹呈、恭啓、粛啓謹言、謹白、頓首、再拝
急ぎの場合急啓、急呈、急白敬具、敬白、草々、不備
前文省略前略、冠省、略啓、寸啓草々、匆々、不一、拝答
再送再啓、再呈敬具、敬白、拝具
返信拝復、復啓、敬復、謹復敬具、敬白、敬答、拝具、拝答

「敬白」は一般的に「謹啓」と併用されます。 しかし、先程も言ったように「謹啓」と対応すべきなのは、より丁寧な「謹言」「謹白」が適切だと主張する人もいます。「敬白」は「敬具/拝具」より丁寧な表現ですが、「謹言/謹白」ほど丁寧ではないので、中途半端で論争が起こりやすい言い回しです。 そのため、なるべく「謹啓」には「謹言/謹白」を用いておいた方がいいでしょう。 「謹啓」はビジネスのお詫び文などのかしこまった場面で使用されます。 「拝啓」よりも丁寧な表現となるので、普段のビジネスシーンで用いるには丁寧すぎてしまいます。 最も一般的なのは「拝啓」と「敬具」のセットです。

「拝啓」と「敬具」の意味と使い方とは?ビジネス文書の例文、英語表現も紹介

WURK

「拝啓」より丁寧?「謹啓」の意味と使い方を例文付きで解説!英語も紹介

WURK

急ぎでは頭語と結語を省略すべきという意見も

急ぎの場合は、頭語と結語を省略すべきという意見もあります。 また時候の挨拶をはぶくべきだと言う人もいます。 例えば、相手への謝罪の手紙や災害時のお見舞いなど、緊急性の高いものや「一刻も早く気持ちや用件を伝えたい」というものです。 頭語を省くことで、急いで伝えたいという気持ちを表現出来ると考えられています。 ただ、急ぎの場合に使える「取り急ぎ申し上げます」という意味の頭語と結語もありますので、それを用いるのも一つでしょう。 頭語…「急啓」「急呈」「急白」(意味:とり急ぎ申し上げます) 結語…「草々(早々)」「不一」「不尽 」

目上の相手でも親しい人に対しては不要

頭語や結語は、かなり丁寧なものになります。 そのため、親しい相手に使うと堅苦しい印象を与え、慇懃無礼になる可能性がありますので注意しましょう。 ですので、季節の文を入れて書き出すといいでしょう。 例えば春なら「桜の季節となりました」、冬であれば「寒さが身に染みる季節となりましたが、体調などは崩されていませんか?」などがいいでしょう。 季節の挨拶を入れなくても「お元気ですか」「皆様お変わりないですか」「いつもありがとうございます」などといった挨拶文から始めるのも一つです。

ビジネスメールでも不要

また、ビジネスメールでも「頭語」と「結語」は基本的に不要です。 ビジネスメールを使って用件を伝える場合は、そもそも相手に用件を分かりやすく早急に伝えるために用いられています。 そのため頭語や「時候の挨拶」は省略し、社外や上司などには「お世話になっております」、同僚などには「お疲れさまです」などで十分とされています。 また「敬白」など結語を省略し「よろしくお願い申し上げます」「よろしくお願いいたします」などで締めくくると良いでしょう。

「敬白」など結語の最後には1文字分のスペースを空ける

先程も記載しましたが、結語の最後には1文字分のスペースを空けるようにしましょう。 結語は横書きの場合は最後の文章の右詰め、もしくは改行して右詰めをしますよね。 そして縦書きの場合は最後の文章の下詰め、もしくは改行して下詰めをします。 その時に、下記のように結語のうしろに1文字分のスペースを空けましょう。

●横書きの場合 拝啓 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜〜〜〜〜     敬白 

「敬」と「白」の間にスペース空けることも

「敬白」の間にスペースは基本的に不要ですので、間を空けずに「敬白」と入力(もしくは記入)しましょう。 ただし、スペースを空けることもあります。 これは絶対にそうしなければならない、というわけではありませんが、結語の文字の間に1文字分のスペースを空けることで「末広がり」の意味を持つと言われています。

差出人が女性で頭語省略可な結語は「かしこ」

余談ではありますが、女性が手紙を書く際は結語に「かしこ」を使います。 「畏し」<かしこし>が語幹になっているといいます。 平仮名表記になったのは、漢字がカクカクしており男性的なのに対して、ひらがなは丸みがあるため女性的だと捉えられたからと言われています。 意味は「恐れ多し」となっており、「敬具」と同様に相手に敬意を表していると解釈できます。 「かしこ」に対する頭語はありません。 「かしこ」を使う際はすでに紹介した頭語と合わせることも出来ますし、時候の挨拶を述べて本文に入ることもできます。 また、女性は結語に「かしく」を用いることもあります。 これは「可祝」<かしぐ>と元々表記されていました。 「これにて失礼します」といった意味になります。 ただし、「かしこ」など女性らしさを強調する言葉になるので、ビジネスシーンでは避けたほうが無難です。注意しましょう!

同音異義語「啓白」は頭語

「啓白」は「敬白」と同じように「けいはく」と読む言葉です。 ですが、主に「けいびゃく」と読みます。 意味は「敬って申し上げること」であり、手紙の頭語となります。 「拝啓」などと同じで一般的な手紙に用いられています。 「敬白」と混同しやすいですが、「敬白」は結語であり「啓白」は頭語となりますので、注意しましょう。

「敬白」を含む熟語

「恐惶敬白」は「敬白」を丁寧にした表現

「恐惶敬白」は「きょうこうけいはく」と読みます。 意味は「恐れ慎んで申し上げる」となり、「敬白」をさらに丁寧にした表現となります。 そのため「敬白」と同様に、手紙の末尾に用いられる結語となります。 「恐惶敬白」は「恐惶謹言」とも書き、同じ意味を持ちます。 「恐惶謹言」の方が使用頻度高くなっています。

「店主敬白」はお店のお知らせに使う

「店主敬白」の意味は「店主が申し上げる」なります。 要するに、お客様に対して店主からのお知らせをする際に使う表現です。 特にお店のお知らせなどの最後に記載し、店頭の張り紙などで使われています。 結語である「敬白」が使われているため、頭語も書かなければいけないのでは?と思うかもしれませんが、「敬白」は「つつんで申すこと」といった意味を持つ言葉です。 ただ単に「つつしんで申し上げる」場合にも用いることはできます。

「敬白文」は仏事儀式で読み上げられる文言のこと

「敬白文」の読み方は「けいびゃくもん」「けいはくぶん」です。 意味は「仏事儀式で読み上げられる文言」となります。 「敬白」は「その日の仏事儀式において供養の趣旨など祈願の事項を仏様に表明するために申し述べること」です。 宗派や寺院によって「表白(ひょうびゃく)」「開白(かいびゃく)」「啓白(けいびゃく)」とも呼ばれています。

まとめ

いかがだったでしょうか? 「敬白」について理解できたでしょうか?

  • 読み方は「けいはく」
  • 意味は「謹んで申すこと」で手紙の結語として用いられる
  • セットとなる頭語は「拝啓」「拝呈」「啓上」
  • 「店主敬白」の意味は「店主が申し上げる」でお店のお知らせなどに使う

手紙で用いられる頭語や結語にはたくさんの種類があって覚えるのは難しいですが、ビジネスシーンにおいて必ずといっていいほど使われる言葉ですので、しっかりと覚えておきましょう。

トレンド

カテゴリーランキング

  1. TOP
  2. 日本語
  3. 日本語表現・熟語
  4. 「敬白」の意味!使い方と位置は?敬具・謹啓・謹白との違いも解説