「釘をさす(くぎ)」の意味は「後で問題が生じないように相手に念を押す」です。「楔(くさび)をさす」ともいいます。問題が起きる前に予測してつかったり、問題が起きた後にも再度問題が起きないように使います。目上の人に対して使用することはできないので注意しましょう。
「釘をさす」の読み方は「くぎをさす」です。 すべて漢字で書くと「釘を刺す」ですが、「さす」は平仮名で表記されるのが一般的です。 「釘をさす」の意味は「後で問題が生じないように相手に念を押す」です。 例えば、秘密にしておいてほしいことを話してしまったときに、相手がうっかり他言してしまうことを防ぐために「絶対に誰にも言わないで」と注意や警告しておくことをいいます。
「釘をさす」は、「釘を打つ」「楔(くさび)をさす」ともいいます。 元々「釘をさす」は「釘を売って固定する」という意味があるので、「釘を打つ」でも同義です。 「楔(くさび)」は「堅い木や鉄で作った、断面が鋭角三角形の道具」です。 また、つなぎ目が離れないように二つの物にまたがらせて打ち込むものです。 「楔をさす」も「釘をさす」と同義です。 ただし「針をさす」は誤用なので注意しましょう。
「釘をさす」の語源は、江戸時代の木造構築の工法にあります。 日本の木造構築は、釘を使わずに木造に穴をあけて木造をはめ込む工法で建築されていました。 鎌倉時代の頃に、はめこむだけでは不安だということで念の為に釘で固定するようになりました。 この木をはめ込み、さらに念の為に釘で打つという工法から、江戸時代中期より「間違いを起こさないように念を押す」という意味合いで「釘をさす」というようになったと言われています。 現代の釘はトンカチなどで打って使用しますが、当時の釘は「和釘(わくぎ)」といわれるもので、穴を明けたところへ釘を差し込むようにしていました。 そのため、「釘を打つ」ではなく「釘をさす」といいます。
「釘を刺す」は問題が起きる前に予測して使用します。 問題というのは、
などを指します。 これらを事前に防止するために警告することを「釘を刺す」といいます。 「〜しないように釘をさす」という使い方をします。
例文
問題が起きた後にもサイド問題が起きないように使用することもあります。 例えば「○○をしてはいけないよ」と注意をすることで問題が解決しても、同じことをして再度問題を起こしてしまう人もいます。 そのため、再び問題が起こることを防ぐために繰り返し注意することを「釘をさす」といいます。
例文
「釘をさす」はビジネスシーンで使用することも可能です。 例えば、同じミスを何度も繰り返す部下などに「もう二度と同じミスはしないように」と念を押すことを「釘を刺す」といいます。 ただし、上司など目上の人に対しては使用することはできません。 「釘を刺す」は、相手に警告をするということなので、目上の人に使用するのは失礼です。 例えば、「社長には私から釘をさしておきます」という使い方は誤用です。
「警告する」は「けいこくする」と読みます。 「警告する」は「よくない事態が起こらないように、事前に告げて注意をうながすこと」です。 前もって注意を与えることなので、「釘をさす」と同義です。
「警鐘を鳴らす」は「けいしょうをならす」と読みます。 「警鐘を鳴らす」の意味は「警告をすること」です。 「警鐘(けいしょう)」は戦いや火災、大洪水など、危険な事態を知らせるために打ち鳴らす合図の鐘のことです。 そこから警告をすることの比喩で「警鐘を鳴らす」というようになりました。
「忠告する」は「ちゅうこくする」と読みます。 「忠告する」の意味は「過ちや欠点を直すように真心をこめていさめること」です。 心から相手のこと思い、個人的な立場から言い聞かせることをいいます。 「釘をさす」は「問題がおきないように念を押すこと」なので、「忠告をする」とはニュアンスは異なりますが、問題がおきないように前もって相手に伝えるという点で類語であるといえます。
「肝に銘じる」は「きもにめいじる」と読みます。 「肝に銘じる」は「決して忘れないように心に留めておくこと」です。 例えば、ミスをしたときに「二度と同じ間違えないように」と忘れないようにすることをいいます。 「釘をさす」は「他人に警告をすること」、「肝に銘じる」は「自ら自分の心に刻む様子」という点で意味が異なりますが、類語であるといえます。
「苦言を呈する」は「くげんをていする」と読みます。 「苦言を呈する」の意味は「言いにくいことをあえて伝えること」です。 相手の良くない点についてあえて、その人のために直接批判を述べることをいいます。 例えば相手が遅刻を繰り返すなど、見るに見かねる行為や間違った行動をしていることを注意するという場合に「苦言を呈する」と使用します。 あくまでも、相手のために放つ厳しい言葉であるという点で「釘をさす」とは異なります。
「確約」は「かくやく」と読みます。 「確約」の意味は「しっかりと約束をすること」です。 必ず実行すると約束することをいいます。 例えば、絶対にしないと約束をするという場合に使用する「確約」は、「釘をさす」の類語になります。 ただし「確約」はあくまでも「約束をすること」なので「釘をさす」とは異なります。
「釘をさす」の英語にはまず「remind」があります。 「remind 人 of 事」または「remind 人 that...」で、「(人)に(事)を思い起こさせる」という意味になります。 「釘をさす」ほど強意的ではなく「忘れないように伝える」くらいのニュアンスで使うこともあります。
She reminded her son that he cannot go to private college.
彼女は息子に私立大学には行けないと釘をさした。
「warn」は「〜に警告する」というより強い意味の言葉です。 「warn 人 not to 動詞」の形で「(人)に〜しないように警告する」という意味になります。
She warned her boyfriend not to drink too much in the party.
彼女は飲み会で飲みすぎないように彼氏に釘をさした。
「make it clear that」は「〜であるとハッキリさせておく」という意味の英語表現です。 必ずしも「釘をさす」という意味ではありませんが、近い意味合いで使うことができます。
I made it clear that I didn't like his idea.
彼のアイデアは気に入らないとハッキリさせておいた。
「釘をさす(くぎをさす)」の意味は「後で問題が生じないように相手に念を押す」です。 例えば、秘密にしておいてほしいことを話してしまったときに、相手がうっかり他言してしまうことを防ぐために「絶対に誰にも言わないで」と注意や警告しておくことをいいます。 「釘をさす」の語源は、江戸時代の木造構築の工法にあります。 木をはめ込み、さらに念の為に釘で打つという工法から、江戸時代中期より「間違いを起こさないように念を押す」という意味合いで「釘をさす」というようになったと言われています。