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「肝に銘じる」の意味とビジネスでの使い方と敬語、「命じる」は誤用?、英語表現

「肝に銘じる(銘ずる)」とは「「決して忘れないように心に留めておく」という意味の慣用句で、「師匠の忠告を肝に銘じる」などと使う。「肝に命じる」は誤用。「肝」とは肝臓のことで、内臓の中で最も大きく昔から魂のある場所とされている。

「肝に銘じる」とは

「肝に銘じる」の意味は「決して忘れないように心に留めておくこと」

「肝に銘じる」は「きもにめいじる」と読みます。 意味は「決して忘れないように心に留めておくこと」です。 自ら自分の心に刻む様子を表します。

「肝に銘じる」の語源は肝臓

「肝に銘じる」の「肝」とは臓器の肝臓を指します。 肝臓は「五臓六腑」の中でも1番大きく人間の体にとっても重要です。 そういったことから「肝」は「大事な場所」といった意味で使われるようになり、心や魂の在る場所とされてきました。 「銘じる」は古語「銘ず」が語源です。 「銘じる」は「金属や鉱物に刃物などで刻みつける」という意味です。 そこから転じて「肝に銘じる」で「忘れぬように胸に刻む」という意味になりました。

「胆に銘じる」「肝に銘ずる」とも

「肝に銘じる」は「胆に銘じる」としても同じ意味です。 「胆」も「肝臓」のことを表します。 また広く内臓を表すこともあります。 「銘ず」という古語に則って「肝に銘ずる」と現代でも書かれることがあります。 しかし一般的には「肝に銘じる」と書くことが多いです。 「ず」と「じ」は江戸時代までは発音が違い使い分けしていましたが、現代では同じように発音するために表記も「じ」に統一する傾向にあります。

「肝に命じる」は誤用

「肝に銘じる」の「めいじる」の漢字を「命じる」とするのは誤用です。 「命じる」の意味は「言いつける。命令する」です。 「肝に命じる」だと「内臓に指令を出す」という意味不明な表現になってしまいますので注意です。

「肝に銘じる」のビジネスでの使い方と例文

「肝に銘じる」は堅い表現で、主にビジネスで使います。

ビジネスで学びや反省があった時に使う

「肝に銘じる」はビジネスで学びや反省があった時に使う言葉です。 何かミスをしたり間違った考え方をしていた時など、ビジネスシーンでは反省をすることってありますよね。 その際に、反省点や注意されたことを忘れないよう肝に銘じます。 また上司からの言葉などで学びがあった際にも肝に銘じることがあります。 ちなみに、目上の人に使う場合「肝に銘じる」を敬語表現(丁寧語)にするには「肝に銘じます」「肝に銘じたいと存じます」「肝に銘じる所存でございます」などと使います。 ただ「肝に銘じます」と言うだけではなく、ビジネスシーンでは具体的に肝に銘じたどういった行動をするのか明言するようにしましょう。「肝に銘じます」だけだと「本当に反省しているのか?」と思われてしまうことがあります。

例文

  • お教えを肝に銘じ、精一杯努力する所存にございます。
  • ご忠告を肝に銘じ、ご期待に添うよう努力してまいる所存です。
  • 社長の一言を肝に銘じましょう。

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相手に注意喚起する時にも使う

また「肝に銘じる」は相手に注意喚起する時にも使います。 例えば、ちゃんと心に刻んでおきなさい、と言う際には「肝に銘じておくように」「肝に銘じてください」と使いましょう。 もちろん、目上の人にそのようなことを言うのはとても失礼にあたります。 あくまで部下や後輩などに注意喚起をする際に使いましょう。

例文

  • 今回の件はしっかりと肝に銘じてください。
  • もう次はないと思って、肝に銘じておくように。

「肝に銘じる」の類語

「骨に刻む」「心に刻む」「胸に刻む」は同義語

「肝に銘じる」の同義語には

  • 骨に刻む
  • 心に刻む
  • 胸に刻む
  • 脳裏に刻み込む

などがあります。

「留意する」「注意する」などにも言い換え可

また「肝に銘じる」の言い換えには

  • 留意する:ある物事を心にとどめておき、常にそのことに気をつける
  • 注意する:物事に神経を集中させ、それに対して用心や警戒する
  • 配慮する:相手のことを、思いやりをもって気にかけること
  • 考慮する:行動に移す前に、色々とよく考えること

などもあります。

「注意」と「留意」の意味の違いと使い分け

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「無感動」「無関心」「気に留めない」などが対義語

「肝に銘じる」の対義語を紹介していきます。

  • 無感動:心を動かされないこと
  • 無関心:一切関心がないこと
  • 気に留めない:留意しない、心にとどめない
  • 目もくれない:見向きもしない、気にもしない
  • 眼中にない:気にかけない、なんとも思わない

などがあります。

「肝」を含む慣用句

「肝に染みる」は心に深く感じ、忘れない

「肝に染みる」は「心に深く感じ、忘れない」といった意味になります。 「感銘する」と同義です。 ちなみに実際の肝臓には痛みなどを感じる神経がありませんので、肝臓が染みることはありません。

「肝を据える」は覚悟を決める

「肝を据える」の意味は「覚悟を決める」です。 「腹を据える」と言うこともあります。 「据える」の意味は「動かないように置く」「落ち着ける」となります。

「肝を冷やす」「肝を潰す」「肝を抜かす」は驚くことを表す

「肝を冷やす」「肝を潰す」「肝を抜かす」は驚くことを表す言葉です。 「肝を冷やす」はひやりとする様子を表し、「肝を潰す」は非常に驚く様子を表します。 「肝を抜かす」もひどく驚くことを表し「肝を抜かれる」「度肝を抜く」とも表現します。

「肝を煎る」「肝を焦がす」はやきもきする

「肝を煎る」「肝を焦がす」の意味は「やきもきする」となります。 心をいら立たせる様子を表した言葉です。 「肝が煎れる」とも使います。

「肝を砕く」「肝を焼く」は思い悩むこと

「肝を砕く」「肝を焼く」の意味は「あれこれ思い悩む」「苦慮する」となります。 「肝を砕く」はあれこれと思い悩んだり、苦心して考えを巡らすことを表します 「肝を焼く」にも苦慮するといった意味が含まれていますが、心をいら立たせる」といった意味もあります。

「肝を消す」は苦心する

「肝を消す」の意味は「苦心する」「心を尽くす」です。 また「肝を潰す」と同じ意味もあり「大変驚く」といった意味も持ちます。

「肝を出す」は思い切ってする

「肝を出す」の意味は「思い切ってする」「胆力を出す」です。 負けん気が出るくらいの様子を表します。

「肝が大きい」は心が強くて物事に恐れない

「肝」を強調した表現が「肝玉(きもだま)」で、さらに強調したものが「肝っ玉(きもったま)」です。

  • 肝っ玉が大きい
  • 肝っ玉が太い
  • 肝っ玉が据わる

と表現します。 これらは「心が強くて物事に恐れない」「度胸がある」という意味になります。

「肝」を含む慣用句の誤用に注意

「肝に刻む」ではなく「胸に刻む」

「肝に刻む」という言葉なく、正しくは「胸に刻む」となります。 他にも類語の箇所で紹介した「骨に刻む」「心に刻む」などが「刻む」を使う正しい慣用句となります。

「肝に据えかねる」ではなく「腹に据えかねる」

「肝を据える」は「覚悟を決める」という意味だと紹介しましたが、「肝に据えかねる」は誤用なので注意です。 正しくは「腹に据えかねる」となります。 意味は「怒りを抑えられなくなる」です。 怒りや不満が我慢できず抑えることができなくなることを表します。

「肝に銘じる」の英語

keep in mind

「肝に銘じる」の英語表現は「keep in mind」です。 「覚えておく」という意味合いで、必ずしも反省する場面で使うとは限りません。その点「肝に銘じる」とは違います。 「keep...in mind」と目的語を取ることもありますし、「keep in mind that...」とthat節を続けることもできます。

Please keep in mind that you can't come back here if you make another mistake.

もしもう一度ミスをしたら、ここには戻ってこれないと肝に銘じてください。

take...into my heart

「心に留める」という日本語をそのまま英訳すると「take...into my heart」となります。 ただこの表現は「肝に銘じる」とは意味合いが違うので注意です。 「take...into my heart」は「...を受け入れて、愛する」というニュアンスです。

Everyone in this community took Ann to their hearts the minute they met her.

このコミュニティーの全員が初めてアンに会った時から彼女を受け入れて大切にした。

まとめ

「肝に銘じる(銘ずる)」とは「決して忘れないように心に留めておくこと」を意味する慣用句です。 「肝に銘じます」などビジネスシーンでは反省する時に使います。 「肝に命じる」とするのは誤用です。 「肝」とは魂が宿る内臓を指し、「銘じる」は刻むという意味です。

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