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「苦肉の策」の意味と使い方&誤用、語源『三国志』、類語、対義語、英語を解説

「苦肉の策(くにくのさく)」とは「苦し紛れの方法」という意味の慣用句です。本来は「苦肉」は「人を騙すために自分を苦しめる」という意味なのは知っていましたか?語源は『三国志』の「苦肉計」です。

「苦肉の策」とは

「苦肉の策」の読み方は「くにくのさく」

「苦肉の策」の読み方は「くにくのさく」です。 「苦」は音読みで「ク」、「肉」は音読みで「ニク」、「策」は音読みで「サク」と読みます。

「苦肉の策」の意味は「苦し紛れにだした方法」

「苦肉の策」の意味は「苦し紛れにだした方法」です。 例えば、お金がなくて食べるものにも困っているという状況で、両親の形見を売ってお金にするなど、非常に困っている状況を抜け出すために考え出された苦し紛れの手段や策略を言い表す言葉です。 「苦肉の計(けい)」「苦肉の謀(はかりごと)」ともいいます。 「計」は「はかりごと。計画」という意味です。 「謀」は「物事がうまくいくように考えた計画」という意味です。

「苦肉の策」の誤用に注意

「苦肉」の本来の意味は「人を騙すために自分を苦しめる」

「苦肉」のもともとの意味は「敵を欺く手段として自分の身を苦しめること」という意味でした。 よって、「苦肉の策」の本来は「我が身を苦しめてまで行う手段」という意味で使います。 そこから転じて上述した「苦し紛れに出した方法」という意味が生まれました。 ただし、この意味で使うのは現在では正しく『広辞苑』などの国語辞典でもこの意味で記載されています。

「くにく」を「苦に苦」とするのは間違い

「くにく」を「苦に苦」とするのは間違い この漢字だと「苦しい状況をさらに苦しくする策」と解釈してしまいそうですが、誤りです。 上述したように「苦肉」で一つの言葉なので、「苦に苦」は誤用です。 また、「くにく」の漢字には「狗肉」もありますが、これは「犬の肉」を意味する全く別の言葉です。

「苦肉の策」の使い方と例文

「苦肉の策として」が定型句

「苦肉の策」は、困っている状況を抜け出すために考え出された策であることを伝える場面で使用されます。 定型句は「苦肉の策として」です。 「苦肉の策として〜をする」「苦肉の策として〜をした」というように使用します。

例文

  • 苦肉の策として持ち家を売りに出すことにした。
  • 苦肉の策として大手企業との業務提携に踏み切ったことが仇となった。

「苦肉の策を講じる/用いる」とも

「苦肉の策を講じる」「苦肉の策を用いる」という言い回しで使用することもできます。 「講じる」は「問題を解決するために方策をめぐらせて実行する」という意味です。 「用いる」は「使用する」という意味です。 「苦肉の策として〜をする」よりも堅い表現になり、ビジネスシーンなどかしこまった場面で使用することができます。

例文

  • 苦肉の策を講じたものの、水泡に帰す結果となった
  • 経営難で倒産間近になり、苦肉の策を用いた。

「反間苦肉の策」は「敵を仲違いさせて混乱に陥れること」

「反間苦肉の策」は「はんかんくにくのさく」と読みます。 「反間苦肉の策」の意味は「敵を仲違いさせて混乱に陥れるために身を犠牲にして行う策略」です。 「反間」は「敵に仕えて敵情を探ったり、敵を利用して我が用をさせ、敵同士の仲を裂く」という意味です。 この場合の「苦肉」は「自分の身を傷つけて敵陣に逃げ込み、欺いて敵情を探る」という意味で使用されています。 「反間の計」ともいいます。

「苦肉の策」の類語

最終手段

「最終手段」は「さいしゅうしゅだん」と読みます。 「最終手段」の意味は「その状況で唯一できる方法」です。 また、それ以上に有効なものがない方法をいい表します。 「苦肉の策」も困っているような状況を抜け出すために唯一できる手段を言い表す言葉なので、「最終手段」は類語になります。

窮策

「窮策」は「きゅうさく」と読みます。 「窮策」の意味は「苦し紛れにだした方法・手段」です。 行き詰まって考え出したさくをいいます。 「窮策」と「苦肉の策」は同義です。

弥縫策

「弥縫策」は「びぼうさく」とよみます。 「弥縫策」の意味は「一時の間に合わせで講じる策」です。 長期的なものではなく、その場しのぎで取り繕うだけの策をいいます。 「弥」には「あまねく」という意味があります。 「あまねく」とは「すべてにわたって広く」という意味です。 「縫」は「縫い合わせる」という意味です。 「策」は「はかりごと」です。 この3つの漢字が組み合わさり、「その場を取り繕う手段・方法」という意味になります。

次善策

「次善策」は「じぜんさく」と読みます。 「次善策」の意味は「もっとも良いとは言えないが、最善に次いで有効な方策」です。 「次善」は「最善とは言えないものの、他のものと比較すると最善に次いで良いこと」です。 物事を進めていくときに、もっとも良いものではないけれど最善に次に納得できるものであることを表す場合に「次善」を使います。別名「セカンドベスト」とも言います。

「善後策」と「次善策」の意味の違いと使い分け

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「苦肉の策」の対義語

善後策

「善後策」は「ぜんごさく」と読みます。 「善後策」の意味は「問題や事件などのあとを上手く片付けるための方策、後始末の方法」です。 「善後」は「これからのために良いようにすること」 悪い出来事が起きた場合にうろたえないように策を考える、何か問題があるものを改善するための手段を「善後策」といいます。

妙策

「妙策」は「みょうさく」と読みます。 「妙策」の意味は「すぐれた策略」です。 これ以上はないという巧妙なはかりごとをいいます。 「苦肉の策」は、「苦し紛れにだした方法」なので「妙策」は対義語です。

「苦肉の策」の英語

last resort

「苦肉の策」の英語には「resort」があります。 「resort」には「リゾート(地)」という意味もありますが、この「resort」は「(最終手段として)頼ること」という意味です。 「as a last resort」で「苦渋の策として」という意味になります。 動詞では「resort to 名詞」の形で、「〜に(最終手段として)頼る」の意味で使います。

As a last resort, she decided to sell her company.

苦渋の策として、彼女は自分の会社を売却することにした。

He got it legally without resort to violence.

暴力に訴えることなく、彼はそれを合法的に手に入れた。

まとめ

「苦肉の策(くにくのさく)」は「苦労して考えた末に出した策」という意味の慣用句です。 「苦肉の策として」「苦肉の策を講じる」などと使います。 語源は『三国志』の「苦肉計」です。 本来は「人を騙すために自分を苦しめ方法」という意味ですが、現代ではこの意味で使用されることはありません。 「苦に苦の策」は誤りです。

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