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「草葉の陰」は誤用に注意!意味と使い方、語源、類語、対義語、英語を例文つきで解説

「草葉の陰(くさばのかげ)」の意味は「墓の下。あの世」です。「草葉の陰から見守る」など耳にしたことがある人は多いのではないでしょうか。今回は「草葉の陰」の意味と使い方を例文つきで紹介します。「草葉の陰」の類語なども合わせて紹介しますのでぜひ参考にしてください。

「草葉の陰」とは

「草葉の陰」は意味は「あの世」

「草葉の陰」は「くさばのかげ」と読みます。 「草葉の陰」の意味は「墓の下。あの世」です。 亡くなった人がいる場所を喩えた言葉です。 「草葉の露(つゆ)」は、草の葉に置く露がすぐに消えることから、人の命がはかないことを言い表した言葉です。

「草場の影」は誤り

「草場の影」は誤記です。 「草場」とは、「飼料や肥料として刈り取るために草を生やしている場所」のことをいいます。 「草葉の陰」は「草の葉の陰」という意味なので、「草場」ではありません。 また、「草葉の陰」の「陰」は、日の当たらない「日陰」のことです。 「影」は「光がさえぎられてできる黒いかげ」のことなので、「陰」を「影」と書くのも誤りになります。

「草葉の陰」の語源

「草葉の陰」の語源は、亡くなった人の埋葬方法にあります。 昔の亡くなった人を棺桶に入れ土の中に入れ埋葬していました。 棺桶を埋めた土の上にはしばらくすると草が生い茂り、やがて埋める前と変わらない自然の風景に戻っていきます。 つまり、「草葉」とは亡くなった人が埋葬されている土の上に生えた草のことで、昔の人にとって亡くなった人がいる場所というのは「草葉の陰」だったということです。 埋葬方法が変わった現代で「草葉の陰」は「墓の下」になります。

「草葉の陰」の使い方と例文

「草葉の陰から見守る」「草葉の陰で喜んでいる」などと使う

「草葉の陰」は、

  • 草葉の陰から見守る
  • 草葉の陰から応援
  • 草葉の陰で泣く

という言い回しで使用されることが多いです。 「草葉の陰から〜」は、「あの世から〜」という意味です。 側にいることはできなくても、あの世から見守っていてくれたり、応援してくれているはず...という励ましの言葉として使用されることが多いです。 「草葉の陰で泣く」は、「そんなことをしたらあの世できっと悲しむよ」という意味や、反対に「嬉しくて涙を流しているかもしれないねという」意味で使用されます。

例文

  • 母も草葉の陰から見守ってくれていると思うので心強いです。
  • 祖母も私の結婚を草葉の陰でさぞ喜んでくれていることだろう。
  • 父が草葉の陰で泣くようなことだけは絶対にしたくない、
  • もしものことがあったら、そのときは草葉の陰から応援しています。

「陰ながら」の意で生きている人に使うのは間違い

「表だたないように、ひそかに」「人知れず」という意味の「陰ながら」と混合して、「草葉の陰から」を生きている人に対して使用してしまう人が多いですが、これは誤用です。 「草葉の陰」は、「墓の下。あの世。」なので生きている人対しては使用できません。 ビジネスシーンなどでは特に間違った使い方をすることのないように注意してください、 ブラックジョークとして使うにもブラックすぎてアウトです。 例えば、自分を支持してくれている人に対して「草葉の陰から見守っていてください」などと言わないように注意しましょう。

「草葉の陰」は弔辞で使うのは避ける

「草葉の陰」は弔辞では使用を避けたほうが良いです。 特に日本の浄土真宗の教えでは、仏様はお浄土へと生まれ往き悟りの身となられて、われわれを真実の世界へと導くために働いてくださるといわれています。 そのため、死後も仏様が「草葉の陰」にいるということは、成仏することができていないということを意味してしまうので「草葉の陰」という言葉を使用するのは避けたほうがよいです。 ちなみに「安らかにお眠りください」も同じ理由から、避けるべきだといわれています。 「お浄土よりお導きください」という言葉を使用するのが適切です。

「草葉の陰」の類語

「死」を意味する比喩表現を紹介します。

お陀仏

「お陀仏」は「おだぶつ」と読みます。 「お陀仏」は「阿弥陀仏」を往生することという意味です。 「死ぬこと」また、「物事がだめになること」を意味する俗語として使用されます。

冥界・冥土・冥府

「冥界」は「めいかい」と読みます。 「冥界」の意味は「死後の世界」です。 「冥土」は「めいど」と読みます。 「冥土」は、仏教用語で「死後、死者の霊魂がだどっていく道」のことです。 「冥府」は「めいふ」と読みます。 「冥府」は「死後の世界」のことです。 「冥府」が指すのは特に「地獄」、閻魔(えんま)の庁です。

天国

「天国」は「神や天使が住むという天上の理想の世界」です。 キリスト教・イスラム教では、信者の死後の霊が神から永遠の祝福を受けて迎えられているところです。 「草葉の陰」と同じく亡くなった人がいる「場所」を意味する言葉で、「草葉の陰」と「天国」は言い換えることが可能です。 例えば、「天国から見守っていてください」などと使用することができます。

土に帰る

「土に帰る」は「死ぬ」の婉曲的表現です。 「草葉の陰」の語源からもわかるように、昔の亡くなった人を土に埋めるという埋葬方法から「土に帰る」は現代でも「死ぬこと」という意味で使用されている表現です。

「草葉の陰」の対義語

俗世(ぞくせ)

「俗世」の意味は「世の中、世間一般、この世」です。 一般の人々が生活をしているこの世、住んでいるこの世界を表します。 「俗世」と言う以外にも、「俗世間」「俗世界」と表すこともできます。

「俗世(ぞくせ)」「世俗(せぞく)」「浮世(ふせい)」の違いと使い分け

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娑婆(しゃば)

「娑婆」は、仏教で釈迦が衆生(しゅじょう)を教化するこの世界を指します。 つまり、煩悩や苦しみに満ちた人間の世界です。 「娑婆」は「現世」を指す言葉なので、あの世を指す「草葉の陰」の対義語であるといえます。 「娑婆」は刑務所が出所したときによく使われます。

「草葉の陰」の英語

heaven・hell

「草葉の陰」の英語には「heaven」「hell」などがあります。 「heaven」は「天国」、「hell」は「地獄」を意味し、どちらもあの世を指します。

She must be watching you from heaven.

彼女は草葉の陰からあなたを見守っているに違いない。

grave

「墓」を意味する「grave」を使うことも可能です。 「草葉の陰で」は「in the grave」です。

I wish she were glad about my success in the grave.

私の成功を草葉の陰で彼女が喜んでいることを願います。

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