1. TOP
  2. 日本語
  3. ことわざ・慣用句
  4. 「にべもない」の意味と使い方、語源、類語、対義語、英語を例文つきで解説

「にべもない」の意味と使い方、語源、類語、対義語、英語を例文つきで解説

「にべもない」の意味は「愛想がなくそっけない」です。言葉に心がこもっていなかったり、相手に対して思いやりやあたたかさがなく、とりつきようがない様子を言い表した慣用句です。人間関係を保とうする粘り気がないことに対して使います。

「にべもない」とは

「にべもない」の意味は「愛想がなくそっけない」

「にべもない」の意味は「愛想がなくそっけない」です。 言葉に心がこもっていなかったり、相手に対して思いやりやあたたかさがなく、とりつきようがない様子を言い表した慣用句です。

「にべもない」の品詞分解

「にべもない」を品詞分解すると「にべ」+「も」+「ない」です。 「にべ」は、「人間関係を保とする粘り気」という意味です。 「も」は助詞です。 「にべもない」の「も」は、最も実現しやすい、状況として最低なものを示す言葉です。 例えば、「ぐうの音も出ない」などの「も」と同じです。 「ない」は否定を表します。 「にべもない」で「人間関係を保とうする親密度がない」ということを言い表し、転じて「愛想がない」「そっけない」という意味で使用されるようになりました。

「にべもない」の漢字は「鰾膠も無い」

「にべもない」は漢字表記にすると「鰾膠も無い」です。 「鰾膠(にべ)」は当て字であり、読める人も少ないため、「にべもない」と平仮名で表記するのが一般的です。

「にべもない」の語源は魚の油

「にべもない」の「にべ」は、ススギ目ニベ科の魚の名前です。 「にべ」の浮き袋には、強い粘着力があり「膠(にかわ)」という接着剤の原材料として使われていました。 「にかわ」は非常に粘着力が強く、次第に当て字で「膠」を「にべ」と呼ぶようになりました。 そして、その粘着力の強さを人との親密度に喩えて「にべもない」と言い表すようになったといわれています。 「にべ」に「鰾膠」という漢字を当てたのは、「膠(にかわ)」が、にべの浮き袋から原料になっていることから「鰾(うきぶくろ)」という漢字と合わせて「鰾膠」としたといわれています。

「にべもない」と似た表現

「にべもしゃしゃりもない」は強調語

「にべもしゃしゃりもない」の「しゃしゃり」の意味は「あっさりしていてわだかまりがないこと」「さっぱりしていること」です。 よって、「にべもない」と合わせて「にべもしゃしゃりもない」とすることで「そっけない」という態度をさらに強調する「強調語」になります。 ただ返事がそっけないなど「愛想がない」と感じるというよりは、なんとなくそっけない態度が鼻につくなど、相手が冷たいことで不快な気持ちになったときには「にべもしゃしゃりもない」と表現します。

「むべもない」は誤りで正しくは「むべなるかな」

「むべもない」は誤用で正しくは「むべなるかな」です。 「むべなるかな」は、肯定の意味の「むべ」に助動詞「なり」と助詞「かな」がついた語です。 意味は、「いかにももっともなことである」です。 例えば、「全くその通りだ」と感じることを相手が発言したのなら、「彼がそう言うのもむべなるかな」と言い表すことができます。 漢字で表記は「宜なるかな」です。

「よるべない」は身を寄せるあてがない

「にべもない」と似た表現に「よるべない」という言葉があります。 加藤シゲアキ著書『傘をもたない蟻たちは』の中に「にべもなく、よるべもなく」というタイトルの作品が収録されています。 「よるべない」は「身を寄せるあてがない」という意味です。 周囲に頼りにできる人物がなく孤独で不安な気持ちを「よるべない気持ち」などと言い表すことができます。 「よるべない」の漢字表記は「寄る辺ない」です。

「にべもない」の使い方と例文

人間関係を保とうする粘り気がないことに対して使う

「にべもない」はそっけない態度をとられるなど、人間関係を保とうとする粘り気がないことを言い表すときに使用します。 「〜でにべもない。」「にべもない◯◯」という言い回しで、主に口語で使うことが多いです。 また、「にべもなく」と副詞的に使うこともできます。 例えば、何かに相手を誘ったときに冷たく断られたということ「にべもなく断られる」などと言い表すことが可能です。

「にべもない」の例文

  • 何を言ってもだめだと言うばかりでにべもない。
  • にべもない返事でがっかりした。
  • 気を持たせないためににべもない態度で応じることにした。
  • 思い切って食事に誘ってみたがにべもなく断られる。
  • 「Wデートの件彼女に聞いてみた?」「にべもなく嫌だと言われたよ」

すぐに諦めてしまうことに対して使うのは誤り

「にべもない」は「粘り気がない」という意味ですが、すぐに諦めてしまうことに対して使うのは誤りです。 例えば、「一度試験に落ちただけで諦めるなんてにべもない」という使い方はできません。 「にべもなく」の「粘り強さがない」とは、あくまでも「人間関係を保とうする粘り気がない」という意味なので注意しましょう。

「にべもない」の類語・言い換え

取り付く島もない

「取り付く島もない」の読み方は「とりつくしまもない」です。 「取り付く島もない」の意味は「たよりとしてすがる手がかりもない」です。 頼み事や相談をしようとしても、相手の態度が冷淡で話をすすめるきっかけがつかめないことを言い表します。 「取り付く島」は「頼りとしてすがる」という意味があります。 「取り付く暇もない」はよくある誤用なので注意しましょう。 「取り付く暇もない」という言葉はありません。 「取り付く島もない」も、そっけない態度や反応をされてしまうことなので「にべもない」の類語になります。

けんもほろろ

「けんもほろろ」の意味は「冷淡で取り付く島もないさま」です。 無愛想に人の相談などを拒絶する様子をいいあらわす言葉です。 「けん」も「ほろろ」もキジの鳴き声のことです。 キジの鳴き声が無愛想に聞こえるため、「けんもほろろ」と喩えて言われるようになったといわれています。 「剣もほろろ」や「けんもほろほろ」は誤用です。

木で鼻を括る

「木で鼻を括る」は「きではなをくくる」と読みます。 「木で鼻を括る」の意味は「無愛想にふるまう」です。 冷淡に人をあしらうことをいいます。 「木で鼻をくくる」は「木で鼻をこくる」ともいいます。 元々は「こくる」で、「くくる」と誤用されていたのが慣用化されて「木で鼻をくくる」といわれるようになりました。 「こくる」は「こする」という意味です。 つまり「木で鼻をこくる」は、「木で鼻をこする」という意味になります。 ティッシュが存在しなかった時代では、鼻水が出たときに木で鼻をかんでいて、これが心地よくなかったために「木で鼻をこくる」=「不愉快な気持ちになる対応」という意味で使用されるようになりました。

つんけんした

「つんけんした」の意味は「話し方や態度が無愛想で、とげとげしいさま」です。 応対の態度にとげとげしさが感じられることをいいます。 「にべもない」は冷たい態度をとられることですが、「つんけんした」には、さらに不機嫌さが露骨に表れている様子を言い表しています。 微妙にニュアンスが異なるので、必ずしも言い換えられるとは限りません。

ぶっきらぼう

「ぶっきらぼう」の意味は「物の言い方や態度に愛想がないこと」です。 言動に愛嬌や丁重さのないようすをいいあらわします。 煮詰めた水飴を引き伸ばして切っただけの「打っ切り飴」を「打っ切り棒」といい、転じて「ぶっきらぼう」といわれるようになったのが語源であると言われています。

仏頂面

「仏頂面」は「ぶっちょうづら」と読みます。 「仏頂面」の意味は「無愛想な顔つき」です。 不機嫌なふくれっ面をいいあらわします。 仏の頭頂に宿り、仏の知恵を示す「仏頂尊」が恐ろしい顔をしているからという、また嫌そうな顔をいう「不承面(ふちょうづら)」から転じて「仏頂面」といわれるようになりました。 無愛想であることを言い表す言葉なので「にべもない」の類語になります。 ただし、「にべもない」は「無愛想な態度」のことで「仏頂面」は「無愛想な顔つき」という点で異なります。

「仏頂面」の意味と使い方、類語、「笑顔」との違い、英語表現

WURK

「にべもない」の対義語

如才ない

「如才ない」は「じょさいない」と読みます。 「如才ない」の意味は「愛想がよくて人をそらさないさま」です。 相手の気持ち・立場などを敏感に察し、相手に好意をいだかせる対応ができる様子をいいあらわします。

「にべもない」の英語

unfriendly

「にべもない」の英語は「unfriendly」です。 「友情のない」「不親切」という意味です。

He is such an unfriendly person.

彼はにべもない奴だ。

まとめ

「にべもない」の意味は「愛想がなくそっけない」です。 「にべもない」の「にべ」は、ススギ目ニベ科の魚の名前です。 「にべ」の浮き袋には、強い粘着力があり「膠(にかわ)」という接着剤の原材料として使われていました。 「にかわ」は非常に粘着力が強く、次第に当て字で「膠」を「にべ」と呼ぶようになりました。そして、その粘着力の強さを人との親密度に喩えて「にべもない」と言い表すようになったのが由来です。

トレンド

カテゴリーランキング

  1. TOP
  2. 日本語
  3. ことわざ・慣用句
  4. 「にべもない」の意味と使い方、語源、類語、対義語、英語を例文つきで解説