「お教えください」は、自分の知らない知識や技術、教訓など告げ知らせてほしいとお願いをする敬語表現です。ビジネスシーンでもよく使用される表現ですよね。今回は「お教えください」の意味や使い方、「お教えください」より丁寧な敬語表現を紹介します。
「お教えください」は「おおしえください」と読みます。 「お教えください」の意味は「教えてほしい」です。 自分の知らない知識や技術、教訓など告げ知らせてほしいとお願いをする表現です。
「お教えください」は「教える」に接頭辞「お」と「ください」をつけた敬語表現です。 接頭辞の「お(ご)」の敬語の種類は文脈によって尊敬語・謙譲語・丁寧語のどれにでもなります。 目上の動作を高めて相手に敬意を示すためにつける接頭辞は尊敬語です。 自分の動作をへりくだり相手に敬意を示すためにつける接頭辞は謙譲語です。 言葉をただ丁寧にいうためにつける接頭辞は丁寧語(美化語)です。 「お教えください」の接頭辞は、相手の「教える」という動作を高めるためにつけているので尊敬語になります。 「ください」は命令形「くれ」の尊敬語です。 「お(ご)〜ください」で、相手に〜してほしいと懇願・要望することについて、相手を高めることができます。
「お教えください」は、上述したように尊敬を表す接頭辞「お」と丁寧語を使用しているので目上の人に対して使用することができる正しい敬語表現です。 しかし、命令文なのでやや上から目線で、目下の人や同等の立場の人に対して使うのは問題ありませんが、親しくない上司や社外の人に対して使うのは避けた方がよいでしょう。
「お教えください」の例文
「お教えくださいませ」は、「教える」に尊敬を表す接頭辞「お」と丁寧語「ください」に「ませ」をつけた表現です。 「ませ」は、「丁寧な気持ちを込めて、相手にある動作を要求する意」を表します。 「くださいませ」とすることで、「くれ」を丁寧にするだけでなく柔らかい印象を与えることができます。 「ませ」をつけることで、女性的な柔らかい響きになるので男性は使えないと認識している人も多いですが、男性も使うことができます。
「お教え願います」は、「教える」に尊敬を表す接頭辞「お」をつけて「願う」に丁寧語「ます」をつけた敬語表現です。 「願います」は「〜してほしい」と依頼をする表現です。 「お教え願います」も正しい敬語表現ではありますが、「願います」が「願う」という言葉の丁寧語であるという点で丁寧さに欠ける(謙虚な態度が感じられない)表現であるため、親しくない上司や社外の人に対して使うは避けた方が無難です。 「願います」を使用するのであれば「お教え願えませんか」のほうが丁寧です。 「お教え願えませんか」は、「教える」に尊敬を表す接頭辞「お」と「願う」に丁寧語「ます」の未然形「ませ」に打ち消しの「ぬ(ん)」と疑問の助詞「か」を使用した敬語表現です。
「お教えいただけますか」「教えていただけませんか」と疑問文にしても丁寧です。 「お教えいただけますか」は、「教える」に尊敬を表す接頭辞「お」をつけて、「もらう」の謙譲語「いただく」と丁寧語「ます」と疑問の助詞「か」をつけた敬語表現です。 「もらう」の謙譲語「いただく」を使用することで「教えてもらう」という自分の動作をへりくだり相手に敬意を示すことができます。 「お教えいただけませんか」は、「教える」に尊敬を表す接頭辞「お」と、「もらう」の謙譲語「いただく」に丁寧語「ます」の未然形「ませ」に打ち消しの「ぬ(ん)」と疑問の助詞「か」をつけた敬語表現です。
「お教えいただきたく存じます」は「教えてもらいたいと思う」という意味です。 「お教えいただきたく存じます」は、尊敬を表す接頭辞「お」と謙譲語「いただく」と丁重語「存ずる」に丁寧語「ます」を使用した敬語表現です。 「丁重語」とは、動作の対象ではなく話を聞いている相手に敬意を示す敬語表現です。 丁重語は、自分の動作をへりくだることで相手に敬意を示す謙譲語と同じ種類の敬語表現で「謙譲語Ⅱ」ともいわれますが、厳密には別の種類の敬語です。
「お教えいただければ幸いです」は、「教えてもらえたら嬉しい」という意味です。 「お教えいただければ幸いです」は、「教える」に尊敬を表す接頭語の「ご」をつけて、謙譲語の「いただく」、仮定形の「れば」と「幸い」に丁寧語の「ます」をつけた敬語表現です。 「いただく」に仮定形「れば」をつけた「〜いただければ」は、「〜してもらえたら」と願望を表す丁寧な言い回しです。 「幸い」は「こうしてくれると嬉しい・ありがたいこと」を表す言葉です。 「幸いです」で、「自分にとって嬉しいことです」「〜であれば幸せになります」という意味になります。
「お教えいただけましたら幸甚に存じます」で「教えてもらえたら非常にありがたく、幸せに思う」という意味です。 「お教えいただけましたら幸甚に存じます」は、「教える」に接頭辞「お」と謙譲語「いただく」と丁寧語「ます」と仮定の接続助詞「たら」と、「幸甚」に「思う」の丁重語「存ずる」に丁寧語「ます」をつけた敬語表現です。 「いただけましたら」は「〜してもらえたら」という意味で、願望を表す丁寧な言い回しです。 「幸甚(こうじん)」は「何よりの幸せ」「非常にありがたく、幸せに思うこと」を意味で、「幸いです」よりも丁寧な表現です。
「お教えくださいますようお願い申し上げます」は、「教えてくれるようお願いする」という意味です。 「くださいますよう」は、「くれるよう」という意味で、「くれ」の尊敬語「ください」に、丁寧語の「ます」と婉曲表現の「よう」をつけた敬語表現です。 「お願い申し上げます」は「お願いする」の謙譲語「お願い申し上げる」に丁寧語「ます」をつけた敬語表現です。 「お〜申し上げる」で、動作対象を敬う謙譲表現になります。 「申し上げる」は本来「言う」の謙譲語ですが、この表現では「する」という意味の補助動詞です。 「申し上げる」も補助動詞なので、「お願いもうしあげます」とひらがなにするのが正しいです。 しかし、慣例的に「お願い申し上げます」と漢字にすることが圧倒的に多いです。 「お教えくださいますようお願いいたします」とすることもできます。 「お願いいたします」は、「お願いする」の謙譲語+丁重語+丁寧語です。 「お」は謙譲語で、動作の対象を敬う接頭辞です。 「いたす」は丁重語で、聞き手・読み手を敬う補助動詞です。 「ます」は丁寧語です。 「いたす」も補助動詞なので、平仮名で書くのが正しいです。 「お願いいたします」と「お願い申し上げます」の丁寧の度合いはどちらも同じですが、「お願い申し上げます」の方が意味的に謙虚で、やや丁寧です。 そのため、ビジネスシーンなどでは「お願い申し上げます」が使われる傾向があります。
「ご教示」は、「ごきょうじ」と読みます。 「ご教示ください」は尊敬を表す接頭辞「ご」に、丁寧語「ください」をつけた敬語表現です。 「教示」は「知識や方法などを教え示すこと」を意味しています。 例えば、ビジネスシーンなどのかしこまった場面で、やり方がわからないというときに質問したり、対処の方法について尋ねる場合など「知識や方法などを教えてください」という意味で使われます。 また、「ご教示」は「指示を仰ぎたい」というようなアドバイスを求める場合にも使えます。
「ご教授」は、「ごきょうじゅ」と読みます。 「ご教授ください」は、「教授」に尊敬を表す接頭辞の「ご」をつけて丁寧語「ください」をつけた敬語表現です。 「教授」の意味は、「学術、技芸などを教えること。養護、訓練とならぶ教育上の基本的な活動、作用」です。 「ご教授」は、「教え授ける」という漢字からできている通り、「指し示す」という意味の「教える」ではなく、「専門的な知識や技術を教え授けてください」というような意味で使用され、専門的な知識や技術をある程度の期間、継続的に教えてほしい場合に使えます。
「ご指南ください」は「ごしなんください」と読みます。 「ご指南ください」は、「指南」に尊敬を表す接頭辞「ご」と丁寧語「ください」を使用した敬語表現です。 「指南」の意味は「教えること。教え示すこと」です。 ただし、「指南」はただ「教える」ということではなく、剣道や華道などといった武術や芸能を教え示すことを意味しています。 使用できる場面が限られているので注意しましょう。
「ご指導ご鞭撻」は「ごしどうごべんたつ」と読みます。 「ご指導ご鞭撻」の意味は、目上の相手からの自分に対する教育や指導のことを敬っていう表現です。 「ご指導」も「ご鞭撻」のどちらも、「ご指導お願い申し上げます」や「ご鞭撻の程、よろしくお願いします」のように、単独でも用いられていますが「ご指導ご鞭撻」と合わせて用いられることが多いです。 ただし、「ご指導ご鞭撻」は挨拶やスピーチの「結びの言葉」「締めの言葉」として使う言葉なので必ずしも「お教えください」と言い換えられるわけではないので注意しましょう。