「お受け取りくださりありがとうございます」は「受け取ってくれてありがとう」という意味の敬語表現です。今回は「お受け取りくださりありがとうございます」の意味や敬語、使い方、類似表現との違いなどを解説します。
「お受け取りくださりありがとうございます」は「おうけとりくださりありがとうございます」と読みます。 「お受け取りくださりありがとうございます」の意味は「受け取ってくれてありがとう」です。 「お受け取り」には「手渡されるものなどを手にとって収める」という意味があります。 「くださり」は「くれる」という意味です。 「ありがとうございます」は感謝の気持ちを表す敬語表現です。
「お受け取りくださりありがとうございます」は、品詞分解すると「お」+「受け取る」+「くださる」+「ありがとう」+「ござい」+「ます」です。 「受け取る」についている「お」は、尊敬を表す接頭辞です。 接頭辞の「お(ご)」は、尊敬語・謙譲語・丁寧語のどれにもなります。 この場合の接頭辞は、相手の動作を高めて敬意を示すためにつけているので尊敬語です。 「くださる」は尊敬語です。 「お(ご)~くださる」の形で、相手が~してくれるという動作について相手を高めることができます。 「ござる」は「ある」の丁重語です。 丁重語とは、謙譲語Ⅱともいわれ自分をへりくだることで相手に敬意を示す点で謙譲語と同じですが、通常の謙譲語とは違い聞き手・読み手に敬意を示す敬語です。 「ます」は丁寧語です。 「お受け取りくださりありがとうございます」は、接頭辞「お」と「くださる」で尊敬語を2つ使用してますが、二重敬語ではありません。 二重敬語とは一つの言葉に対して同じ種類の敬語を2つ以上重ねて使用してしまうことをいいます。 「お受け取りくださりありがとうございます」の場合は「お〜くださる」で一つの尊敬語と解釈できるため、二重敬語ではなく正しい敬語表現です。
「お受け取りくださりありがとうございます」は、「お受け取りくださいましてありがとうございます」とすることもできます。 「お受け取りくださいましてありがとうございます」の「お受け取りくださいまして」は、「受け取る」に尊敬を表す接頭辞「お」をつけて、「くれ」の尊敬語「ください」と丁寧語の「ます」をつけた敬語表現です。 「お受け取りくださる」に、さらに丁寧語「ます」をつけて「お受け取りくださいまして」とすると、より丁寧な敬語表現になります。
「お受け取りいただきありがとうございます」の「お受け取りいただき」は、「受け取る」に尊敬を表す接頭辞「お」をつけて「もらう」の謙譲語「いただく」をつけた敬語表現です。 「お受取りいただき」で「受け取ってもらい」という意味になります。 「お受け取りいただき」は謙譲語、「お受け取りくださり」は尊敬語という違いがありますが、敬意の度合いはどちらも同じです。 相手の動作に対してなら尊敬語を、自分の動作に対してなら謙譲語を使います。 また、「いただき」が「もらい」、「くださり」が「くれる」という意味の違いもありますが、これもどちらが丁寧ということはありません。 しかし、「くださり」が命令形「くれ」の尊敬語であるため「いただき」のほうが謙虚な響きがあります。
上述した「お受け取りいただきありがとうございます」は、「お受け取りいただきましてありがとうございます」とすると、より丁寧になります。 「お受け取りいただきましてありがとうございます」の「お受け取りいただきまして」は、「受け取る」に尊敬を表す接頭辞「お」をつけて、「もらう」の謙譲語「いただく」と丁寧語の「ます」をつけた敬語表現です。
「お受け取りありがとうございます」も正しい敬語表現です。 「お受け取りありがとうございます」は、「受け取る」に尊敬を表す接頭辞「お」をつけた「お受け取り」に「ありがとう」と丁重語「ござる」、丁寧語「ます」をつけた敬語表現です。 十分丁寧な敬語表現ですが、社外の人に対してやビジネスメールなどでは「お受け取りいただきありがとうございます」など、より丁寧な敬語表現が使われることが多いです。
「お受け取りくださりありがとうございます」は、相手何かを受け取ってもらったことに対するお礼を伝えるときに使います。 例えば、書類などを郵送した後に相手から受け取ったと報告の連絡がきたときの返信などです。 「受け取る」は、ビジネスシーンでは「ご査収」など、より堅い言葉に言い換えることも多いです。
【件名】 Re:契約書ご送付のお礼 【本文】 ABC株式会社 営業部 宮田様 平素よりお世話になっております。 株式会社XYZの加藤でございます。 「○○ご利用に関する誓約書」をお受け取くださりありがとうございます。 迅速に対応していただき感謝申し上げます。 契約書をご一読の上、ご捺印をお願いしたく存じます。 ご捺印いただけましたら、お手数をおかけしますが、ご返送いただければ幸いです。 引き続き、よろしくお願い申し上げます。 加藤
【件名】 企画書について 【本文】 営業部 高橋部長 お疲れ様です。営業1課の小林です。 企画書をお受取りくださりありがとうございます。 ご指摘いただいた点につきましては、今週中に訂正し再度提出いたします。 お手数をおかけしますがよろしくお願い申し上げます。 小林
「ありがとうございます」は、「感謝申し上げます」または「お礼申し上げます」とするとより丁寧になります。 「感謝申し上げます」は、「感謝」に「する」の謙譲語「申し上げる」と丁寧語「ます」をつけた敬語表現です。 「申し上げる」は、本来「言う」の謙譲語ですがこの場合は「する」という意味の補助動詞として使われています。 「感謝」は、ありがたく感じている謝意を表す言葉です。 「感謝申し上げます」で、「感謝します」という意味になり丁寧に感謝の気持ちを伝えることができます。 「お礼申し上げます」は、「礼」を丁寧に言い表すためにつける美化語「お」をつけて、「する」の謙譲表現「申し上げる」と丁寧語「ます」をつけた敬語表現です。 「お礼」は、感謝の気持ちを表す言葉や金品を指す言葉です。 「お礼を申し上げます」で、「感謝します」という意味になり丁寧に感謝の気持ちを伝えることができます。 ちなみに、補助動詞は平仮名で表記するという決まりがあるので、本来は「もうしあげます」と表記するのが正しいですが、慣例的に「申し上げます」と漢字で表記されることが多いです。 感謝の気持ちを伝える表現には「拝謝いたします」もあります。 「拝謝」は「礼を述べること」の謙譲語です。 「拝謝」はお礼状や手紙など書き言葉として使われることがほとんどで、話し言葉としては使いません。 ちなみに「拝謝申し上げます」は謙譲語の「拝謝」に、さらに「する」の謙譲表現「申し上げる」をつけているので二重敬語で誤用です。
「ありがとうございます」を、「恐縮です」「恐れ入ります」に変えるとお詫びのニュアンスになります。 「恐縮です」は、「恐縮」に丁寧語「です」をつけた敬語表現です。 「恐縮」は、相手からの厚意に対して恐れ多い感謝の気持ちや迷惑をかけたときの謝罪の気持ちを表します。 「恐れ入ります」は、「恐れ入る」に丁寧語「ます」をつけた敬語表現です。 「恐れ入る」は、相手の厚意に対して恐縮するという意味で、相手の厚意に対して恐縮する気持ちを表します。 自分の事情で相手に迷惑をかけてしまった場合には、「ありがとうございます」よりも「恐縮です」「恐れ入ります」のほうが適しています。
「ありがとうございます」の前に「誠に」「大変」などをつけることで、感謝の気持ちを強調することができます。 「誠に」は「本当に」という意味です。 本心からそう思う様子を表す副詞として使われます。 「本当に」ということもありますが、ビジネスシーンではより堅い表現である「誠に」を使う事が多いです。 「大変」は「非常に」「とても」という意味です。 程度のはなはだしいことを表します。
「お受け取りくださりありがとうございます」と併用できるクッション言葉
「ご検収」は「ごけんしゅう」と読みます。 「ご検収」の意味は「納品された品の数量・品質などを確認して受け取ること」です。 注文された品物を納品したときに「商品に間違いがないかご検収ください」などと使います。 「検収」についている「ご」は尊敬を表す接頭辞です。
「ご検収」は「ごけんしゅう」と読みます。 「ご検収」の意味は「納品された品の数量・品質などを確認して受け取ること」です。 注文された品物を納品したときに「商品に間違いがないかご検収ください」などと使います。 「検収」についている「ご」は尊敬を表す接頭辞です。
「ご笑納」は「ごしょうのう」と読みます。 「ご笑納」は、贈り物をする際に「つまらない物ですが笑って納めてください」という気持ちを込め用いる語です。 比較的冗談を言い合える相手に対して使う言葉であるため、上司や社外の人に使うと軽々しい印象を与えてしまうことがあります。 「笑納」についている「ご」は尊敬を表す接頭辞です。