「悋気(りんき)」の意味は「恋愛で特に女性がねたむこと」です。今回は「悋気」の正しい意味や使い方を例文付きで紹介します。「悋気」を含むことわざ・熟語・慣用句や類語、英語表現も合わせて紹介しますのでぜひ参考にしてください。
「悋気」の読み方は「りんき」です。 「悋」は音読みで「リン」、「気」は音読みで「キ」と読みます。
「悋気」の意味は「ねたむこと」です。 特に男女間の恋愛において女性が嫉妬をしたり、やきもちをやくことをいいます。 例えば、自分の恋人が自分以外の異性と必要以上に親しくしているところを見たりして「自分以外の異性と親しくしないで...!」という嫌な気持ちになることが「悋気」です。 「悋」には「ねたむ・嫉妬する」という意味があります。 「気」は「心のはたらき」という意味です。
「嫉妬」は「しっと」と読みます。 「嫉妬」の意味は「自分が愛している人や心を引かれる人の愛情が他の人に向けられることを恨み憎むこと」です。 「悋気」と「嫉妬」は同義であるといえます。 「嫉妬」の古い言い方が「悋気」です。 「悋気」は古語辞典にも載っている古い言葉です。 現代では「悋気」よりも「嫉妬」を使用することのほうが多いです。
「嫉妬」は、恋愛事情における妬みやヤキモチを言い表す言葉であるという点では「悋気」と同義であるといえます。 ただし、「嫉妬」には「自分よりすぐれている人や恵まれている人をうらみねたむこと」という意味もあるという点で「悋気」とは異なります。 例えば、「自分より先に出世した同期を妬むこと」は「嫉妬」とはいえますが「悋気」とはいえません。 「嫉妬」のほうが「悋気」より意味が広いといえます。
「悋気」は、自分が好意を抱いている相手の感情が自分以外の人に向いているような場面を見て、やきもちをやくことを言い表すときに使用されます。 よく使用される言い回しは、
です。 「悋気する」は、「嫉妬をする」「ねたむ」という意味です。 「悋気を起こす」は、「嫉妬心を感じること」という意味です。 「悋気深い」は「ねたみやすい」という意味で使用される言い回しです。
「悋気」の例文
昔は「悋気は女の慎むところ、疝気(せんき)は男の苦しむところ」とよく言われていて、「やきもちは女性の慎むもの、疝気(腹・腰の痛む病気)は男性が苦しむもの」とされていて、「落語」には、「悋気」を扱うものが多く存在します。 「落語」とは、寄席演芸の一つで、1人の演者が滑稽(こっけい)主とした話を身振り手振りを交えて語り、最後に落ちをつけてまとめる話芸のことです。 「悋気」を扱かった噺(はなし)には「陰気の火の玉」「悋気の独楽」「ひとつ穴」「権助提灯(ごんすけちょうちん)」などがあります。
「悋気は恋の命」は「りんきはこいのいのち」と読みます。 「悋気は恋の命」の意味は「やきもちを焼かれなくなったら恋はおしまいだ」です。 悋気を起こすということは、相手に対して恋愛感情があるということになります。 悋気を起こさないということは、相手に対して何の感情も抱いていないということになるので、悋気が「恋をしている証拠」であるとして、「悋気は恋の命」といいます。
「悋気せぬ女ははずまぬ鞠」は「りんきせぬおんなははずまぬまり」と読みます。 「悋気せぬ女ははずまぬ鞠」の意味は「嫉妬をしない女はつまらない」です。 「鞠(まり)」は、遊びや運動に用いる球のことで、蹴ったり地面に弾ませたりして使用します。 「悋気せぬ女ははずまぬ鞠」は、嫉妬心のない女性は恋愛をしていく上で刺激がなくつまらないということを、弾まない鞠にたとえたことわざです。
「悋気は女の七つ道具」の意味は「りんきはおんなのななつどうぐ」と読みます。 「悋気は女の七つ道具」の意味は「嫉妬は女の武器である」です。 恋愛をするうえで、女性の嫉妬は相手の気持ちを自分に向けかせるための重要な武器の一つであるということを言い表した言葉です。 「七つ道具」というのは、もともと武士が用いた7つの武具のことをいいます。
「悋気嫉妬は女の常」は「りんきしっとはおんなのつね」と読みます。 「悋気嫉妬は女の常」の意味は「女が嫉妬をするのは当たり前である」です。 「常」とは「いつもそうであること」です。 「悋気嫉妬は女性にとっては当たり前・いつものことである」ということを言い表しています。 「悋気嫉妬」を使用したことわざには、「悋気嫉妬は女房の役目」もあります。 「悋気嫉妬は女房の役目」は「りんきしっとはにょうぼうのやくめ」と読みます。 「悋気嫉妬は女房の役目」の意味は「妻もたまには焼きもちをやいたほうがよい」です。
「法界悋気」は「ほうかいりんき」と読みます。 「法界悋気」の意味は「自分に関係のないことに嫉妬する」という意味です。 また、他人の恋を妬むことです。 仏教用語で「意識・思考の対象となるすべてのもの。縁故のない人」という意味の「法界(仏教用語ではほっかいと読む)」と、「やきもち・嫉妬」という意味の「陰気」を組み合わせた四字熟語です。
「徒の悋気」は「あだのりんき」と読みます。 「徒の悋気」の意味は「自分に関係のない他人を見て起す、むだなやきもち」です。 上述した「法界悋気」と同義です。
「悋気諍い」は「りんきいさかい」と読みます。 「悋気諍い」の意味は「嫉妬から起こる争い」です。 やきもちをやいて喧嘩をしてしまうことを言い表します。 「諍い(いさかい)」は「言い争い」または日常茶飯事のように繰り広げられる、ちょっとした喧嘩のことです。
「悋気講」は」「りんきこう」と読みます。 「悋気講」の意味は「妻女たちが寄り合って作る無尽講」です。 夫やその情婦をののしって悋気をはらす集まりのことをいいます。 江戸時代にも、庶民の妻たちが集まって設けた「悋気講」がありました。
「悋気者」は「りんきしゃ」と読みます。 「悋気者」の意味は「嫉妬深い人」です。 些細なことで嫉妬心を抱いてしまうような人を言い表します。
「ねたみ」は、動詞「ねたむ(妬)」の連用形を名詞化したものです。 「ねたみ」の意味は「うらやましく憎く思うこと」です。 また、くやしく残念に思うことをいいます。 「ねたみ」は「悋気」と同義です。 ただし、「ねたみ」は恋愛以外に対しても使用できる言葉です。 「ねたみ」のほうが意味が広いといえます。
「そねみ」は動詞「そねむ」の連用形を名詞にしたものです。 「そねみ」の意味は、「相手の長所や幸福などをよしとせず、相手を悪く思ったり憎んだりする気持ち」です。 「そねみ」は「ねたみ」と同義ですが、「ねたみ」とは異なり独立して使われることは少ないです。 「ねたみそねみ」の形で使われます。 「そねみ」も「悋気」より意味が広いです。
「やきもち」の意味は「嫉妬。ねたみ」です。 「嫉妬をする」という意味の「焼く」に「もち」を添えた言葉です。 嫉妬をすることを「やきもちを妬(や)く」といいます。 「焼き餅」にしてしまうと「焼いた餅」という意味になってしまうので注意しましょう。
「おか焼き」は「おかやき」と読みます。 「おか焼き」の意味は「自分とはかかわりがないのに、恋人同士が仲良くしてるのをねたむこと」です。 「おか焼き」は、「おか焼き餅」の略です。 自分には関係ないのにやきもちをやくことを、傍(はた)で焼き餅をやく「おか焼き」にたとえています。 「おか焼き」は、上述した「法界悋気」「徒の悋気」と同義語です。
「緑色の目をした怪物」は「みどりいろのめをしたかいぶつ」と読みます。 「緑色の目をした怪物」は「嫉妬深い人」を意味する慣用句です。 語源は、シェイクスピアの「オセロー」のセリフです。 「お気をつけなさい将軍。嫉妬というやつに。 こいつは緑色の目をした怪物で人のことを餌食とし、それをもてあそぶのです」というセリフが語源となって、嫉妬深い人を「緑色の目をした怪物」というようになりました。
「ジェラシー」は「嫉妬」という意味のカタカナ語です。 「嫉妬」と「ジェラシー」は同義です。 そのため「悋気」より「ジェラシー」のほうが意味が広いです。 「ジェラシーを感じる」という使い方をします。
「悋気」の英語は「jealousy」です。 形容詞「jealous」で、「feel jealous」で「悋気する」という意味になります。
Ann is such a jealous wife.
アンは悋気深い妻である。
She feels jealous every time another girl looks at her boyfriend.
彼女は他の女子が自分の彼氏を見るたびに悋気を起こす。