「静謐(せいひつ)」の意味は「静かであること」です。今回は「静謐」の正しい意味と使い方を例文付きで解説します。「静寂」との違いや類語、対義語、英語表現も合せて紹介しますのでぜひ参考にしてください。
「静謐」の読み方は「せいひつ」です。 「静」は音読みで「セイ」、「謐」は音読みで「ヒツ」と読みます。
「静謐」の意味は「静かであること」です。 穏やかで落ち着いている様子を言い表します。 また、世の中に戦争などの問題が何もなく穏やかに治まることをいいます。
「静謐」は「静」と「謐」の2つの漢字を組み合わせてできている言葉です。 「静」には「しずか。ひっそりとした」という意味があります。 「謐」には「ひっそりと静かなさま」という意味があります。 「静謐」は同じ意味のある言葉を重ねて使用することで「静かであること」を強調した言葉です。
「静謐」は、穏やかで落ち着いている場所・環境を言い表すときに使用されます。 例えば、余計な雑音などが聞こえないような静かな落ち着いた場所であることを「静謐な○○」という形で言い表すことが可能です。 よく使用される言い回しには
などがあります。 その他にも「静謐を湛える(せいひつをたたえる)」という言い回しがあります。 「静謐を湛える」は「静かさで満ちあふれていること」です。 「湛える」は、「あふれんばかり」という意味で、「静謐を湛える」で「静かであること」をさらに強調する表現になります。 小説などで使われます。
「静謐」の例文
「静謐」は穏やかで落ち着いている様子を言い表す言葉ですが、人の性格に対して使用することはできません。 例えば、「あの人は口数が少ない静謐な人だ」という使い方は誤りです。 静かで穏やかな性格であることを言い表すのであれば「物静かな人」「温和な人」などが適しています。
「静寂」は「せいじゃく」と読みます。 「静寂」の意味は「静かでさびしいこと」です。 物音もせず静まりかえってひっそりとしていることを言い表します。 「静謐」とは「静かであること」を言い表す言葉であるという点で共通しています。 ただし、「静寂」は「静謐」とは異なり、全く音が聞こえないというよりは、「しんとしていてどこか寂しい」というニュアンスがあります。 また、「静寂」は人の心の様子を言い表すこともできます。
「静寂」の例文
「閑静」は「かんせい」と読みます。 「閑静」の意味は「静かで落ち着いていること」です。 「閑静な住宅街」というように、土地や住居などがもの静かな様子を言い表します。 「閑静」も環境について言い表すときに使用する言葉で、「閑静な人」などと人に対して使うことはできません。
「粛然」は「しゅくぜん」と読みます。 「粛然」の意味は
です。 つつしんだ気持ちになって、静まりかえる様子を言い表す言葉です。
「静黙」は「せいもく」と読みます。 「静黙」の意味は「静かにしてだまっていること」です。 静かにして口をきかないこと、またその様子を言い表します。
「しじま」の意味は「物音一つなく、静まりかえっていること」です。 「しじま」は、特に夜の静かさについていう文章語です。 また、「口を閉じて何も言わない」という意味もあります。
「安寧」は「あんねい」と読みます。 「安寧」の意味は「世の中が穏やかで無事なこと」です。 平和で安定していて、異常や不安などがないことをいい表します。 「社会の安寧」「国の安寧」という使い方をします。
「太平」は「たいへい」と読みます。 「太平」の意味は「世の中がしずかに治まること」です。 世の中が穏やかであることを言い表します。 「世の中が何の問題もなく穏やかに治まる」という意味で使う「静謐」と同じ意味です。 「太平」は「泰平」と書くこともできます。
「平時」は「へいじ」と読みます。 「平時」の意味は「平和のとき」です。 戦争や事変のない穏やかなときをいいあらわします。 例えば「平時が続く」は「平和で穏やかなときが続く」という意味です。
「喧騒」は「けんそう」と読みます。 「喧騒」の意味は「物音や人声などでさわがしいこと」です。 話し声や大きな物音が入り混じっていて、ガヤガヤと騒がしい様子を言い表します。 さらに、「喧騒」には「人が多く集まる場所で、話し声や足音などによって生じるざわめき」という意味もあります。 都会や繁華街など比較的大きい場所で、人の声・足音・車のクラクション・店のディスプレイの映像音などが入り混じっていて騒がしいことを表します。
「騒然」は「そうぜん」と読みます。 「騒然」の意味は「騒がしいさま」です。 ガヤガヤと落ち着きがないこと、騒がしくて不穏である様子を言い表します。 例えば、「世界的に有名な歌手がサプライズで登場し、会場が一時騒然となった」と用います。これは「予想していなかった出来事に、ざわめき落ち着かない様子になること」を意味します
「騒音」は「そうおん」と読みます。 「騒音」の意味は「やかましくて、不快に感じる音」です。 例えば、上の階に住んでいる人の生活音など「とてもうるさい」と感じる音のことをいいます。 それを聞いた人がうるさいと思えば「騒音」になり、特に何も思わない場合は「騒音」とはなりません。
「蝉騒」は「せんそう」とよみます。 「蝉騒」の意味は、
です。 元々「蝉騒」は「蛙や蝉などがうるさく鳴いていること」を表していました。 そこから、「蝉が鳴くように、騒がしいだけで何の意味もない」という意味でも使われるようになりました。 「蛙鳴蝉噪(あめいせんそう)」という言葉が使われます。「蛙鳴蝉噪」とは「無駄が多くて内容が薄い議論や文章、意味のない口論」を意味します。
「乱世」は「らんせい」と読みます。 「乱世」の意味は「乱れた世」です。 政治的な統一がなく秩序が乱れていくさなどが絶えない世の中を言い表します。
「緊急事態」は「きんきゅうじたい」と読みます。 「緊急事態」の意味は「重大で、対策を至急に必要とする事態」です。 戦争、内乱、大規模な災害などによって治安や秩序の維持に緊急な危険が生じている状態のことをいいます。 「静謐」は、何事もなく穏やかなことを言い表す言葉なので、「緊急事態」は対義語です。
「騒乱」は「そうらん」と読みます。 「騒乱」の意味は「世の中に騒ぎが起こって乱れること」です。 事変が起こって、社会の秩序が混乱することをいいます。 穏やかな状態とは正反対の状態を言い表す言葉なので「静謐」の対義語です。
「物騒」は「ぶっそう」と読みます。 「物騒」の意味は「世間が騒がしいこと」です。 いつ何が起こるかわからない、危険な様子であることをいいます。 「物騒な世の中」という使い方をします。
「静かな」を意味する最も一般的な英語は「quiet」です。 場所・人どちらに対しても使うことができます。
「silent」は「quiet」を強調した語です。 「物音一つしない」という意味です。 「silent」も場所と人どちらに対しても使うことができます。
「calm」は「落ち着いた。穏やかな」という意味で、精神的な静けさを指します。 「せわしない雰囲気のない」というニュアンスで場所に対して使うこともできます。 「calm」は形容詞・動詞のどちらの品詞としても使うことができます。
「tranquil」は「calm」の同義語です。 少し難しい語なので、書き言葉で使われることが多いです。
「peaceful」も「calm」「tranquil」の類語で「穏やかな」という意味です。 「peaceful」は「平和」を意味する「peace」が語源なので、より温和で安らかな意味合いが強いです。