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「刹那的」の意味と使い方、類語・言い換え、対義語、英語を例文つきで解説

「刹那的(せつなてき)」の意味は「今のことしか考えないさま」です。先々のことを顧みず、今この一瞬のことだけしか考えない主義の人を「刹那的主義」などといいます。「刹那」の語源は仏教用語で、仏教用語で「刹那」は「きわめて短い時間」という意味です。

「刹那的」とは

「刹那的」の読み方は「せつなてき」

「刹那的」の読み方は「せつなてき」です。 「刹」は音読みで「セツ」、「那」は音読みで「ナ」、「的」は音読みで「テキ」と読みます。

「刹那的」の意味は「今のことしか考えないさま」

「刹那的」の意味は「今のことしか考えないさま」です。 先々のことを顧みず、今この一瞬のことだけしか考えないことをいいます。 この「刹那的」はポジティブに捉える場合もネガティブに捉える場合もあります。 よい意味なら、先のことばかりを考えずに「今この瞬間を大切にすることができる」「行動力がある」です。 悪い意味なら、今だけのことしか考えず先のことを考えないので「計画性がない」「危険をかえりみない」という意味合いです。 「刹那」は「極めて短い時間」という意味で、「刹那的」を単に「時間が短いようす」という意味で使う場合もあります。 「刹那主義」は「過去も未来もどうでもよく、今この瞬間だけ良ければよい」という考え方のことです。

「刹那」の語源は仏教用語

「刹那」の語源は「仏教用語」です。 「刹那」は仏語で時間の最小単位のことです。 時間の長さについては、指を一回弾く時間の六十五分の一を「一刹那」とする説や、75分の1秒を「一刹那」とするなど諸説あります。 日本では古くから和文において、「に」を伴って副詞的に使用されています。 仏教哲学で「刹那」は、物質的とくに精神的な現象の瞬間的生滅を説明するときに使用されます。 今日の「刹那主義」という言葉の概念は仏教のものではありません。

「刹那的」の使い方と例文

「刹那的に生きる」「刹那的な人」

「刹那的」は、「刹那的に生きる」「刹那的な人」という使い方をします。 「刹那的に生きる」は「将来を考えず、今目の前のことだけを考えて生活していく」ということです。 カッコいい感じがしますが、人生全体が充実する生き方ではありません。 その一瞬は満足をすることができても、将来的に何も残らないなど虚しい生き方であるともいえます。 一方で「未来の無駄な心配をせずに、今この瞬間に集中すること」は必ずしも悪いことではありません。 禅などではこのような生き方が推奨されています。 「刹那的」のニュアンスは話者や文脈で判断するしかありません。 「刹那に生きる」ともいいます。 「刹那に生きる」は「刹那的に生きる」と意味は同じです。 「刹那的な人」は、目先のことだけを考えて生きている人を指し、「何も考えない人」を批判をする時に多く使います。 繰り返しになりますが、必ずしも否定的な意味とは限りません。

例文

  • 彼女の生き方はあまりにもに刹那的である。
  • 刹那的な人と将来を共に歩む勇気はない。
  • 最近は未来に対する不安から、刹那主義の若者が増加している

「刹那的な恋愛」「刹那的な関係」

「刹那的な恋愛」「刹那的な関係」という使い方をすることもあります。 「刹那的な恋愛」は、結婚を視野に入れているようなお付き合いではなく、一瞬で終わってしまうような恋愛のことをいいます。 例えば不倫関係のように将来的な幸せが望めないような、お互いにその場の欲を満たすだけの恋愛です。 「刹那的な関係」は、その場だけの関わりしかない関係のことです。 「刹那的快楽」「刹那の快楽」などもよく使われる表現です。 これらの使い方は基本的にネガティブなニュアンスを伴います。 恋愛や関係は本来は長く続くことを望むものだからです。

「刹那的思考」「刹那的な感情」

「刹那的思考」は、後先考えずに今この瞬間を大事にしようという思考のことをいいます。 上述したように、「計画性がない」などネガティブにとらえられることもありますが、戻れない過去に囚われたり、どうなるかわからない未来のために「今」を犠牲にするのではなく「今その時を大切にすることが重要だ」というポジティブな思考でもあります。 「刹那的感情」は、「今その一瞬の感情」のことです。 長くは続かない一時的な感情をいいます。

例文

  • 彼は刹那的思考の持ち主である。
  • 刹那的な感情で行動に移したことを後悔している。

「一刹那」は「刹那」の強調

「一刹那」は「いっせつな」と読みます。 「いちせつな」とも読みます。 「一刹那」の意味は「ほんの一瞬」です。 「きわめて短い時間」という意味のある「刹那」に「一」をつけることで、さらに一瞬であることを強調しています。

例文

  • それはほんの一刹那の出来事で見逃してしまった人がほとんどだった。
  • 子供は一刹那でも目を離してはいけない。

「刹那的」の類語

瞬間・一瞬・瞬時

「瞬間」は「しゅんかん」と読みます。 「瞬間」の意味は「またたきをする間」で、「きわめて短い時間」を言い表す言葉です。 「瞬間」は、「手にとったその瞬間」というように、連帯修飾語をうけて「ちょうどその時」という意味で使用されることが多いです。 「一瞬」は「いっしゅん」と読みます。 「一瞬」の意味は「一回またたきする間」で、「きわめてわずかの間」を言い表す言葉です。 「ごくわずかの時間」という意味で「刹那」と同義です。 「瞬時」は「しゅんじ」と読みます。 「瞬時」の意味は「またたく間」で、「きわめてわずかな時間」を言い表します。 「瞬時」は「瞬時のうちに」というように、ある程度長さがある時間として用いられることもあります。 また、「瞬時」は書き言葉として使用されることが多いです。

享楽的・即物的・エピキュリアン

「享楽的」は「きょうらくてき」と読みます。 「享楽的」の意味は「快楽を好む傾向にあるさま」です。 「刹那的」も瞬時の享楽を追い求める傾向にあるので「享楽的」は類語であるといえます。 「即物的」は「そくぶつてき」と読みます。 「即物的」の意味は「頭の中で考えるのではなく、実際に物に即してかんがえたり、したりするさま」です。 思慮深く頭で考えるのではなく、実際に行動に移すような人のことをいいます。 「エピキュリアン」は、「エピクロス学派の人々」を指す言葉です。 俗に、官能的・刹那的な快楽を追い求める人々のことをいいます。

快楽主義

「快楽主義」は「かいらくしゅぎ」と読みます。 「快楽主義」は、快楽を唯一の善または人生の目的とし、快を求め苦を避けることを行動の原理とする考え方のことです。 後先のことは考えず、今この一瞬のことだけを考えている「刹那的」と同じ考えであるといえます。

「刹那的」の対義語

永劫・億劫

「永劫」は「えいごう」と読みます。 「永劫」の意味は「限りなく長い年月」です。 非常に長い年月、未来にわたる長い時間のことをいいます。 「劫」は仏語で「きわめて長い時間」を意味します。 「億劫」は「おっくう」と読みます。 「億劫」は、仏語で「きわめて長い時間」という意味があります。 転じて現代は「めんどうで気が進まない」という意味で使用されています。 「刹那」は「きわめて短い時間」なので、「きわめて長い時間」を意味する「永劫」と「億劫」は対義語です。

「億劫」の意味と使い方、語源、「面倒臭い」との違い

WURK

禁欲的

「禁欲的」は「きんよくてき」と読みます。 「禁欲的」の意味は「完成的欲望をおさえるさま」です。 「刹那的」は、目の前の快楽を求め後先を考えないことを言い表す言葉なので、「欲望を抑える」という意味の「禁欲的」は対義語になります。

「刹那的」の英語

ephemeral

「刹那」を和英辞典で引くと「ephemeral」がよく出てきますが、これは文語であり、ネイティブも日常会話ではほぼ使いません。 小説や新聞などでたまにみかける程度です。

Glory in the world of technology is ephemeral.

テクノロジー産業の栄光は刹那的だ。

live in the moment

「刹那的に生きる」の英語は「live in the moment」または「live for the moment」といいます。 これらの表現をポジティブに捉えるか、ネガティブに捉えるかは日本語と同じく話者次第です。 「今生きる」を意味するスラングには「YOLO(ヨーロー)」があります。 これは「You Only Live Once.」の頭文字を取ったものです。

I hate routine and like to live for the moment.

ルーティンは大嫌いで、刹那的に生きたい。

まとめ

「刹那的」には二つの意味があります。一つ目は「時間的に短い」で、二つ目は「今のことしか考えないさま」です。二つ目の意味は「今この瞬間を大事にすることができる」と捉えるとポジティブな意味になりますが、「目先のことだけで後先のことを何も考えない」と捉えるとネガティブな意味になります。「刹那的に生きる」が最もよく使われる表現ですが、これも正負のどちらのニュアンスがあります。

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