「志向(しこう)」の意味は「意思や思考がある対象に向かうこと」、「指向(しこう)」は「ある一定の方向を目指して進むこと」、「思考(しこう)」は「あれこれと思いをめぐらすこと」、「嗜好(しこう)」は「好んで親しむこと」です。今回は「志向」「指向」「思考」「嗜好」の意味と違いを紹介します。
「志向(しこう)」「指向(しこう)」「思考(しこう)」「嗜好(しこう)」は同音異義語です。
「指向」は、
の3つの意味があります。 一方「志向」の意味は「意思や思考がある対象に向かうこと」です。 「指向」の3つ目の意味と、「志向」の意味は同じです。 しかし、「指向」を「志向」の意味で使うのは本来正しくありません。 1つ目と2つ目の意味の(本来の意味の)「指向」は物理的な向きを表すことができるのに対して、「志向」は心理的な方向を表すという点が違います。 例えば、「指向」は「市場を日本に指向する」「指向性アンテナ」などと使います。「志向」は「健康志向」「本物志向」「上昇志向」「平和国家の建設を志向する」などと使います。
「思考」の意味は、直感・経験・知識などをもとに、あれこれと思いをめぐらすことです。 考えることを言い表す言葉なので、心理的な方向を表す「志向」や、物理的な方向を表す「指向」とは意味が違います。 「嗜好」の意味は、「好んで親しんでいるもの」です。 アルコールやタバコのように、毎日の生活にうるおいとゆとりをもたらすものとして楽しむものを言い表すときに使用する言葉なので、「志向」「指向」「思考」とは意味が違います。 ちなみに、「性的思考」は「性的な考え方」という意味になってしまうので不自然な日本語です。 「性的嗜好」は「性的な好み」という意味で正しい日本語です。
「志向」は「しこう」と読みます。 「志向」の意味は「意思や思考がある対象に向かうこと」です。 「志」には「こころざす。心のめざすところ」という意味があります。 「向」には「むかう。むき。おもむき」という意味があります。 「志向」は、考えや気持ちがある事を実現しようとしてその方へ向かっている様子を表し、心が何かを目指していることを言い表す場合に使います。 例えば、「志向が高い」だったら「より上を目指そうとする考え」という意味です。 「上昇志向」「健康志向」のように「○○志向」の形で使用することも多いです。
「志向」の例文
「指向」は「しこう」と読みます。 「指向」の意味は
です。 「指」には「さす。ゆびさす。指し示す」という意味があります。 「向」は「むかう。むき。おもむき」という意味です。 「指向」は、具体的・物理的な方角を指して使用されます。 例えば、「この飛行機は南国を指向して進んでいる」は、飛行機が南国の方向を目指して進んでいることを言い表しています。 三つ目の「傾向として何かに近づきたい、何かを実現したいという願望」という意味では「志向」と同じ意味です。 「指向性」という形で使用されることも多いです。 「指向性」は「音や電波などの強さが、方向によって異なる性質」という意味です。「指向性マイク」「指向性スピーカー」はこうした性質を持ったものということになります。
「指向」の例文
「思考」は「しこう」と読みます。 「思考」の意味は「直感・経験・知識などをもとに、あれこれと思いをめぐらすこと」です。 「思」には「おもう。考える。おもい。こころ」という意味があります。 「考」には「かんがえる。思いめぐらす」という意味があります。 広い意味では、人間の知的作用の総称です。 狭い意味では、完成や意欲の作用と区別して、概念や判断・対象を理解する能力・理性的な作用のことをいいます。 例えば、相手の行動に対して理由や意味を自分の知識や経験から推理することを「思考する」と言い表すことができます。 主な言い回しには、「思考を巡らす」「思考が停止する」「○○思考」などがあります。
「思考」の例文
「嗜好」は「しこう」と読みます。 「嗜好」の意味は「好んで親しむこと」です。 「嗜」には「たしなむ。好んでしたしむ」という意味があります。 「好」には「このむ。愛する。すく」という意味があります。 「嗜好」は、主に好んでいる飲食物について述べるときに使用します。 例えば、直接食欲を満たすために口にする物ではなく、毎日の生活にうるおいとゆとりをもたらすものとして口にして楽しむものを「嗜好品」といいます。 例えば、ビールなどのアルコールを含むものやタバコが嗜好品にあたります。 主な言い回しには「嗜好がある」「嗜好に合う」「嗜好が変わる」などがあります。
「嗜好」の例文