師走は旧暦(陰暦)12月の異称。師匠である僧侶がお経をあげるために東へ西へと馳せることを意味する「師馳す(しはす)」が転じたもの。他にも年が終わるという意味の「年果つ(としはつ)」が転じたという説や、四季が果てることを表す「四極(しはつ)」が転じたという説もある。
旧暦の月 | 和風月名 | 由来と解説 |
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1月 | 睦月(むつき) | 「親戚が集まり仲睦まじくするから」「元つ月が転じた」「実月が転じた」の3説がある。 |
2月 | 如月(きさらぎ) | 「衣更着(きさらぎ)」とも言い、寒く衣を重ね着する月だから。 |
3月 | 弥生(やよい) | 「木草、弥や生ひ茂る月」を省略したもの。暖かくなり草木が生い茂るから。 |
4月 | 卯月(うづき) | 卯の花が咲くことから「卯の花月」を省略したもの。ただ卯月に咲く花であるため卯の花と呼ぶという説もある。他にも十二支の4番目である「卯(うさぎ)」を当てはめたという説や、稲を植える月であることから「植月」「種月」などが転じた説もある。 |
5月 | 皐月(さつき) | 早苗を植える月であることから早苗月(さなえつき)が早月(さつき)になったというもの。「さ」が「皐」になったのは神に捧げる稲の意味がある。 |
6月 | 水無月(みなづき) | 「無」は「の」を意味し「水の月」であり、田んぼに水を引く月だというもの。ただ「田んぼに水を引いて水が無くなるから」「暑さで水が干上がるから」といった説もある |
7月 | 文月(ふづき、ふみづき) | 「文被月(ふみひろげづき)」が省略されて「文月」になったもの。「文被月」は短冊に歌や願い事を書く七夕の行事にちなんでいると言われている。ただ稲穂が膨らむことから「穂含月」「含月」が転じたという説もある。 |
8月 | 葉月(はづき) | 現代の9月にあたるため、落葉や紅葉が始まる時期であったため「葉落ち月」と呼ばれていたものが「葉月」に転じたもの。 |
9月 | 長月(ながつき) | だんだんと日が短くなり夜が長くなっていくことから「夜長月(よながつき)」と呼ばれていたものが「長月」に転じたもの。 |
10月 | 神無月(かんなづき) | 水無月と同様「無」は「の」を意味し「神の月」であり、神を祀る月だというもの。他にも雷の鳴らない月という意味の「雷無月(かみなしづき)」が転じたという説や、新穀でお酒を醸造することから「醸成月(かみなしづき)」が転じたという説もある。 |
11月 | 霜月(しもつき) | 「霜降月(しもふりつき)」が省略されて「霜月」が転じたもの。他にも満ちた数字の十を上月としそれに対する「下月(しもつき)」が転じたという説や、その年の食物の収穫を感謝する意味の「食物月(をしものつき)」が転じたという説もある。 |
12月 | 師走(しわす) | 師匠である僧侶がお経をあげるために東へ西へと馳せることを意味する「師馳す(しはす)」が転じたもの。他にも年が終わるという意味の「年果つ(としはつ)」が転じたという説や、四季が果てることを表す「四極(しはつ)」が転じたという説もある。 |
「師走」の読み方は「しわす」です。 「しそう」などと読むのは間違いなので注意しましょう。 和風月名の中でも「師走」は現代でもよく使われていますよね。 年末になり忙しくなってくると「師走だな〜」なんて言うことも多いのではないでしょうか?
「師走」は旧暦・陰暦における12月のことです。 また現在でも新暦12月の別名としても用いられています。 現在使われているのは「グレゴリオ暦」で、太陽の動きから作られた暦のため「太陽暦」とも呼ばれます。 太陽の動きに合わせた暦であるため、月日と季節が一致しています。 そのことから現在では「この土地は4月上旬に桜が咲く」「この土地では11月から雪が降る」といったことが分かるわけです。 この太陽暦になる直前に使われていたのが「天保暦」というもので「旧暦」と呼ばれています。 「旧暦」では太陽ではなく月の満ち欠けをもとに日にちを設定していました。 新月になる日を月のはじめとして各月の「1日」となります。 この旧暦において12月の和風月名が「師走」でした。 旧暦は月の満ち欠けで月日を定めたため、1年間が約354日となります。 そのため19年に7回ほどの割合で「閏月(うるうづき)」を設定し1年間13ヶ月にすることがあります。 それで季節と月日のずれをまとめて調整していました。 しかしこの旧暦から現代の暦にうつる際に、日付をそのまま現在の日付に移してしまったことから使う言葉によって季節感のずれを感じてしまうことがあります。 例えばお年賀などでも「新春」と言いますよね。1月は現在では冬ですが「旧暦」では1〜3月が春であったために1年のはじめを「新春」と言っていました。
「師走」は冬の季語となります。 季語は旧暦によって分類されています。 「立春」「立夏」「立秋」「立冬」によって分類され、旧暦では「立冬」は10月の初めにありました。 季語における「冬」は10〜12月となります。
「師走」の語源でよく言われているのが師馳せ月の誤りです。 12月は、各家で師(僧)を迎えて読経などを行いました。 そのため師は東西に忙しく走り回っていたことから「師馳(しは)せ月」といわれていたのを誤って「師走」となったという説があります。
また、「四時(しいじ)の果てる月」が転じたとも言われています。 「四時」とは春夏秋冬の総称のことです。 この4つの季節がすべてめぐり、果てるのが12月です。 そこから「四時が果てる=四極(しはつ)月」となりました。 さらに「つ」と「す」の音通(五十音図の同行または同段の音が転換する現象)により、「しはす」となったと言われています。
師走の異称には「極月」があります。 「年の極まる月」という意味です。「ごくづき」とも読みます。
また「臘月」という異称もあります。 「臘」という字には「つなぎあわせる」といった意味があります。 そこから、旧年と新年の境目となる「12月」のことを「臘月」と読んでいます。
「晩冬」は冬の終わりという意味です。 旧暦では10〜12月が「冬」となるため、12月である師走は冬の終わりとなります。 ちなみに10月は「初冬」、11月は「仲冬」となります。
「三冬月」は冬の3ヶ月の3番目の月という意味です。 陰暦における冬は10〜12月となるため、12月が3番目の冬の月となります。
その他にも師走の別名・異称には
などがあります。
12月は年賀状の準備をしたり、お歳暮やクリスマスプレゼントを送ることがあり、手紙やメールなどを送る機会が多いですよね。 そんな12月に使える時候の挨拶を紹介していきます。
などがあります。
またビジネスシーンでも師走に手紙やメールを送ることってありますよね。 その際に使える時候の挨拶を紹介します。
などがあります。 前半の部分と、後半の部分は様々な組み合わせをすることが出来ます。 その時期や相手に合わせて時候の挨拶を送りましょう。
お詫びやお見舞いの手紙やメールでは、時候の挨拶は不要となります。 というのもお詫びであれば謝罪の気持ち、お見舞いであれば相手の体調を気遣う気持ちが最大の目的であり大切になります。 そのため、すぐに本題に入りましょう。 お詫びの場合は、いかなる場合でも流暢に時候の挨拶を綴っている場合ではありません。 お見舞いの場合は、相手の容態や被害の状況に応じて省略するかどうかを判断しましょう。 退院や完治の目処が立っており、それを知ったうえで連絡する場合は時候の挨拶を入れてもいいですが、状態が分からない場合や災害などで被害に遭っている場合は省略しましょう。