「そぐわない」の意味は、「ふさわしくない」または「釣り合わない」です。「ご意向にそぐわない〜」などビジネスシーンでも耳にする言葉ですよね。今回は「そぐわない」の正しい意味や使い方を例文付きで解説します。類語や対義語、英語表現も合わせて紹介しますのでぜひ参考にしてください。
「そぐわない」の意味は「ふさわしくない」または「釣り合わない」です。 状態を見る限り、違和感を与える様子を言い表します。 動詞「そぐう」の未然形+打消しの助動詞「ない」をつけた言葉です。 「そぐわない」の文語は「そぐわぬ」です。 「文語」とは言葉に対し、文章を書く時に使う言葉のことで、小説などでよく使用されます。
「そぐわない」の漢字はありません。 古くから平仮名で使用されていました。 「そぐう」の語源は不明ですが、古語では「そぐふ」と表記します。 語法は現代と同じで、多くは打ち消しを伴い「そぐはず」「そぐはぬ」という形で使用されていました。
「そぐわない」は、「ふさわしくない」「つりあわない」と否定をするときに使用します。 多くは「○○にそぐわない」という言い回しで使用されます。 例えば、「ルールにそぐわない」は、ルールを破るような行為を指します。 「時代にそぐわない」は、考え方や性質が現代に状態に合わない・ふさわしくないということを言い表します。
例文
「そぐわない」は敬語ではありません。 「そぐわない」をビジネスシーンで使用する場合は敬語表現にする必要があります。 「そぐわない」を文末で使用する場合は、丁寧語「ます」の未然形「ませ」に打ち消しの「ぬ(ん)」をつけて「そぐいません」にすることで敬語表現になります。 「そぐわない○○」ならば、他の表現を敬語にする必要があります。 例えば「そぐわない服装のように感じます」というように、後ろに続く言葉を敬語表現にします。 また、「ご意向にそぐわない〜」「ご希望にそぐわない〜」の形で、謝罪したり事前に断りを入れるときに使用することも多いです。
例文
「意にそぐわない」は誤用です。 「そぐわない」は「ふわさしくない」「釣り合わない」という意味なので、「意にそぐわない」だと「考えや気持ちに釣り合わない・ふさわしくない」という意味になるため不自然です。 正しくは「意に沿わない」です。 「意に沿わない」で「考えから外れた状態を保つ」という意味になります。 また、「そぐわない気持ち」「期待にそぐわない」も不適切です。 「気持ちに沿えない」「期待に沿えない」が正しいです。 「そぐわない」と「沿わない」は似ているため混合されやすいので注意しましょう。
上述したように「そぐわない」は、動詞「そぐう」の未然形+打消しの助動詞「ない」をつけた言葉です。 「そぐう」に「よく似合う」「釣り合う」という意味があります。 ただし、「そぐう」の形では使用しないので注意してください。 例えば、「時代にそぐう考え方」という使い方をすることはできません。
「似つかわしくない」の意味は「似ていない」「ふさわしくない」です。 「似つかわしくない」も「そぐわない」と同義です。 「似つかわしくない」は「似つかわしげに〜」という使い方をすることもできます。
「似気ない」の意味は「ふさわしくない」「釣り合わない」です。 「あんなことをするとは意外だ」と思われるほど、その人の言動が日常とは違う様子をいいあらわします。 「似気ない」と「そぐわない」は同義です。 「似気なさそうだ」や「似気なさすぎる」という使い方をすることも可能です。
「不適当」の意味は「うまく当てはまらないこと」です。 その場の状況や望まれる条件に適当でないととらえられる様子です。
「不穏当」の意味は「おだやかでないこと」です。 差し障りがあって、その場にふさわしくないことをいいます。 例えば、その場の空気を凍らせてしまうような発言を「不穏当な発言」などといいます。
「不相応」の意味は「ふさわしくないこと」「釣り合いがとれていないこと」です。
「場違い」の意味は、「その場にふさわしくないこと」です。 「ふさわしくない」という意味では「そぐわない」と同義ですが、「場違い」のほうが意味が狭いです。
「不釣り合い」の意味は「ふわさしくないこと」です。 例えば、お給料は安いのに過酷な労働をするというようなことをいいます。
「似つかわしい」は「につかわしい」と読みます。 「似つかわしい」の意味は「よく似合っているさま」「ふさわしい」です。 その人の性格や日頃の言動などから、いかにももっともだと考えられる様子をいいます。 「そぐわない」は、「似合わないこと」「ふさわしくないこと」を言い表す言葉なので、「似つかしい」は対義語であるといえます。
「釣り合う」は「つりあう」と読みます。 「釣り合う」の意味は「相応する。ふさわしい状態になる」です。 「そぐわない」は「釣り合わないこと」を言い表す言葉なので、「釣り合う」は対義語であるといえます。
「そぐわない」の英語は「inappropriate」です。 「inappropriate」は「時間・場所・状況に合っていない」という意味です。
Her casual clothes were inappropriate for such a formal occasion.
彼女のカジュアルな服装はフォーマルな場面にそぐわない。
「unsuitable」も「そぐわない」という意味で使えます。 「unsuitable for children(子供にそぐわない)」の形でよく使われます。
This content is unsuitable for children.
このコンテンツは子供にはそぐわない。