「灯台もと暗し」とは「身近な事情はかえって気づきにくいこと」を指します。実は、岬にある灯台のすぐ下が暗いことが語源ではありません。この「灯台」とは、昔の室内の照明器具で、その真下が暗いことが由来です。
「灯台もと暗し」の読み方は「とうだいもとくらし」です。 「灯台もと暗し」は「身近な状況はかえって気づきにくいこと」を言い表す慣用句です。
「灯台もと暗し」の語源は、海に建てられている航路標識の一つである「灯台」ではありません。 「灯台もと暗し」の語源は、油を灯してあかりとする室内照明器具です。 上に油を入れた皿をのせ、灯心を立てて火を灯す台を「灯明台(とうみょうだい)」といい、この灯明台は周りを明るく照らすことができるが、真下は影となって暗いままでした。 そこから、「身近なことはかえってわかりにくい」という意味で「灯台もと暗し」という言葉が使われるようになりました。
「灯台もと暗し」の漢字は、「灯台下暗し」です。 「灯台元暗し」は誤用なので注意しましょう。 「灯台」は旧字で「橙台」と書きますが、現代では「灯台」と書くのが一般的です。 「元」は「もと・本源」「はじめ」、「第一」という意味があります。 「元はと言えば」「火元」などのように、物事の初めや原因、それ以前の状態を言い表す場合に使用される漢字です。 「下」は「した」「あと・うしろ」「身分や等級が低いこと」という意味です。 「灯台下暗し」は、「灯台の下が暗い」という意味なので「下」を使用するのが正しいです。 ただし、「灯台もと暗し」の「もと」は平仮名で表記されることがほとんどです。
「灯台下暗し」は、日常会話で「身近にある物事に気がつかなかった」という場面で使用されます。 例えば、メガネをかけているのに「メガネがない」と探しているような状態です。 そういった場面で「灯台下暗しだったね」などと使用されます。
ビジネスシーンでも「それは灯台もと暗しでしたね」というように丁寧な言い回しにして使用することがあります。 例えば、「探していた人材が意外と近くにいた」といった場面などです。 ビジネスシーンでも日常会話でも意味は変わりません。 ただ、目上の人に対して「灯台もと暗しだね」とはいいません。 丁寧語の「です」を使用して「灯台もと暗しですね」とするなど、失礼のない敬語表現に言い換える必要があります。
例文
「傍目八目」は「おかめはちもく」と読みます。 「傍目八目」の意味は「当事者よりも第三者のほうが物事の是非をよく見極められる」という意味です。 囲碁をうっている本人達よりも、側で見ている者のほうが冷静に八目先の手を読むことができるということから「傍目八目」と言われるようになりました。 当事者であったり、身近な存在だからこそわからないこともあるという意味で「灯台もと暗し」の類語であるといえます。
「自分のまつ毛は見えない」は「じぶんのまつげはみえない」と読みます。 「目」で周りの景色など何でも見ることができますが、目で自分のまつ毛を見ることはできませんよね。そこから「他人の欠点に気がついても自分の欠点に気がつくことができない」という意味で、「自分のまつげは見えない」が使用されるようになりました。 自分自身という身近な存在だからこそ、気づくことがでいないという点で「灯台もと暗し」の類語であるといえます。
「足元の鳥は逃げる」は「あしもとのとりはにげる」と読みます。 「自分のものだと思っていた足元にいる鳥が逃げる」ということを言い表していて、「手近なことにはついつい気をぬいてしまう」という意味で使用されます。
岬にある「灯台」の英語は「lighthouse」です。 しかし上述した通り、「灯台もと暗し」の「灯台」はこの意ではありません。 なので直訳すると下記のようになります。
At the foot of the candle, it is dark.
The darkest place is under the candlestick.
ただし、このように表現してもネイティブは「?」という感じだと思います。
「灯台もと暗し」を英語で表示するには、下記のように表現すればよいでしょう。
Sometimes you can't see what is right under you nose.
すごく近くにあるものが見えないときってあるよね。