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「渡す」の敬語|ビジネスメールでの使い方、熟語の類語・言い換えを例文つきで解説

「渡す」の謙譲語は「お渡しする」「お渡しいたします」、尊敬語は「お渡しになれる」「渡される」、丁寧語は「お渡しします」です。

「渡す」の謙譲語

敬語の謙譲語とは、自分の動作をへりくだることで相手に敬意を示す敬語のことです。 謙譲語には「謙譲語」と「謙譲語Ⅱ」という二つの種類があります。 「謙譲語Ⅱ」に分類されるのは「丁重語」といわれる敬語です。 「丁重語」は、動作の対象ではなく話を聞いている相手に敬意を示すために使用されます。 例えば「昨日から弟の家で勉強をしております」の「おります」は、弟へ敬意を示しているのではなく話を聞いている人に敬意を示している「丁重語」です。 また、自分以外の動作にも丁重語を使用することもできます。 例えば「寒い日が続いております」など、主語が「寒い日」でも「おります」と丁重語を使用することによって、聞いている相手に敬意を示すことができます。 ただし、「斎藤様がお越しになりました」のように主語が目上の人だった場合、主語に対して敬意を示さなければならないため、丁重語は使用できません。

お渡しする

「お渡しする」は「渡す」に接頭語の「お」をつけた言葉です。 接頭語「お(ご)」の敬語の種類は文脈によって尊敬語・謙譲語・丁寧語のどれにでもなりえます。 目上の人の動作を高めて敬意を示すための接頭語「お」は尊敬語です。 自分の動作をへりくだることで相手に敬意を示す接頭語の「お」は謙譲語です。 言葉を丁寧にいうだけの接頭語「お」は丁寧語です。 「お渡しする」の接頭語「お」は、自分の「渡す」という動作をへりくだって相手に敬意を示しているので謙譲語になります。 丁寧語と組み合わせると「お渡しします」となります。 「お渡しする」でも十分に丁寧な敬語で、上司や取引先など目上の人に対して使うことが可能です。

お渡しいたす

「お渡しいたす」は、謙譲語の接頭語「お」と「する」の丁重語「いたす」を使用した敬語表現です。 丁重語は上述したように謙譲語の一種ではありますが、別の種類の敬語なので「お渡しいたす」は二重敬語ではありません。 二重敬語とは、一つの語に対して同じ種類の敬語を二回以上重ねて使用してしまうことをいいます。 二重敬語は、過剰な敬語表現として相手に不快感を抱かせるため誤用とされています。

お渡し申し上げる

「お渡し申し上げる」は「渡します」をより丁寧に言う敬語表現です。 「お渡し申し上げる」は「渡す」に謙譲語「お」と「申し上げる」を使用しています。 本動詞「申し上げる」は「言う」の謙譲語です。 補助動詞「申し上げる」は「する」という意味です。 「お渡し申し上げる」の「申し上げる」は補助動詞として使用されています。 補助動詞は謙譲語ではないとされ、「お〜申し上げる」は二重敬語ではなく正しい敬語とされています。 たしかに補助動詞では「言う」という意味でない点からも、謙譲語ではないとする理論は納得がいきますし、慣習的に正しい日本語として辞書でも掲載されています。 ただし補助動詞といえど「申し上げる」がもともとは謙譲語であるのは間違いないので、避ける人もいます。

お渡しさせていただきたく

「お渡しさせていただきく」は、

  • 謙譲語の接頭語「お」
  • 「させてもらいたい」の謙譲語「させていただきたく」

を使用した敬語表現です。 「させていただく」を使用するのは

  • 許可が必要なこと
  • 自分に利点があること

に対してです。 許可が必要というのは、許可を得てからではないと使えないという意味ではありません。 相手からの許可が必要なことを自分がするときに使用するということです。 例えば、「日程をさせていただく」などが正しい使い方です。 「お渡しさせていただきたく」のように実際に許可を得ないことに対して使用するのは意味的に不自然になってしまいます。 さらに「お渡しさせていただきたく」は二重敬語なので文法的にも誤用です。

例文

例文

  • 資料は会議当日に皆さんにお渡しする予定です。
  • 会計時にノベライズをお渡しいたしますのでどうぞお楽しみに!
  • 参加していただいた皆様に記念品をお渡し申し上げます。

「渡す」の尊敬語

敬語の尊敬語とは、相手の動作を高めることで相手に敬意を示す敬語のことです。

お渡しになる

「お渡しになる」は尊敬を表す接頭語「お」と助動詞「なる」を使用した敬語表現です。 「お渡しになる」の場合、「渡す」という相手の動作を高めているので接頭語の「お」は尊敬語になります。 助動詞「なる」は動作の主に対する軽い敬意を表しています。

渡される

「渡される」は「渡す」に「する」の未然形+助動詞「れる」をつけた言葉です。 目上の人の「渡す」という動作を高めて敬意を示すために使用される助動詞「れる」は尊敬を表します。 ただし、助動詞「れる」には他にも「自発」「受身」「可能」の意味もあります。 「渡す」を尊敬語にするなら、「お渡しになる」を使用するほうがわかりやすいです。

お渡しくださる(お渡しください)

「お渡しくださる」は「渡す」に「お〜くださる」の尊敬語を使用しています。 「お〜くださる」は動作について、目上の人を高める尊敬語です。 「お渡しくださる」の命令文が「お渡しください」になります。 「お渡しください」は敬語表現ですが、命令形で一方的なニュアンスがあるため目上の人に使用するのは避けるべきです。 依頼をするときは「お渡しくださいませ」とすると丁寧です。 「ませ」を使用することで、丁寧な気持ちを込めて相手に何かを依頼・懇願する表現になります。

例文

例文

  • 当日は社長が退職者にプレゼントをお渡しになるそうです。
  • ○○様から渡されるそうなので、用意だけお願いします。
  • ファンの皆様がお渡しくださるプレゼントは本人にきちんと届きます。
  • 整理券は係のものにお渡しくださいませ。

「渡す」の丁寧語

渡します

「渡します」は「渡す」に丁寧語「ます」をつけた敬語表現です。 丁寧語とは、文末につける「です」「ます」のように文章全体を丁寧にする敬語です。 目上の人に使用する事も可能です。 ただし「丁寧語」は、尊敬語や謙譲語のように相手に敬意を示すことができません。 上司など敬意を示すべき相手に使用するのであれば、尊敬語や謙譲語を使用した敬語表現を使用するほうが望ましいです。

例文

例文

  • プログラムを渡しますので、当日の流れはそちらをご確認ください。
  • 通知表は、終業式の日のホームルームで渡します。

「渡す」物別の例文

お金・謝礼

例文

  • 本日はお忙しい中ご講演を賜りましてありがとうございました。本日のご講演料をお渡し申し上げます。
  • 本日はお手伝いいただきありがとうございました。心ばかりですが謝礼をお渡しいたしますのでどうぞお受け取りください。

請求書

例文

  • 本日ご注文いただきました商品の請求書は後日お渡しいたしますのでよろしくお願い申し上げます。
  • 請求書は経理部の佐藤にお渡しくださいませ。

プレゼント

例文

  • 来場者の皆様には当日にプレゼントをお渡しする予定でございます。
  • 社長から、参加者の皆様にプレゼントをお渡しになるそうです。
  • 可能であれば出演者の方にプレゼントをお渡ししたいのですがよろしいでしょうか。

香典

香典を渡す場合は、「香典をお渡しいたします」など伝えることはありません。 香典を渡す場面では、「この度はご愁傷さまでございます」「ご冥福をお祈り申し上げます」などお悔やみの言葉を述べます。

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「渡す」の類語・言い換え(熟語)

提出

「提出」の意味は「書類や資料を差し出すこと」です。 求めに応じて何かを差し出すという場合には「渡す」を「提出する」に言い換えることができます。 「提出」を敬語表現にするには接頭語の「ご」をつけます。 目上の人が提出することを高めて敬意を示すなら、接頭語の「ご」は尊敬語 自分が提出することをへりくだって相手に敬意を示すなら接頭語の「ご」は謙譲語になります。

郵送

「郵送」の意味は「郵便で送ること」です。 相手に郵便で何かを送って渡すという場合には「郵送する」と言い換えることが可能です。 ただし「郵送」は、郵便で送るという場合にのみ使用できる言葉なので郵送をせずに手渡しをするという場合には「郵送」と言い換えることはできないので注意してください。 「郵送」を敬語表現にするには接頭語の「ご」をつけます。 相手が郵送をすることを高めて敬意を示すなら接頭語の「ご」は尊敬語 自分が郵送することをへりくだって敬意を示すなら接頭語の「ご」は謙譲語になります。

「渡す」を含む語

渡し済み

「渡し済み」は「わたしずみ」と読みます。 「渡し済み」は「渡す」と「済み」を組み合わせた言葉です。 「済み」は「物事が終わっていること」「完了していること」という意味です。 したがって、「渡し済み」で「渡し終わっている」という意味になります。 ビジネスシーンなどかしこまった場面でも「資料はすでにお渡し済みです」「お客様に請求書はお渡し済みでしょうか?」というように使用することができます。

受け渡す

「受け渡す」は「うけわたす」と読みます。 「受け渡す」は「受ける」と「渡す」という二つの言葉を組み合わせた言葉です。 この場合の「受ける」は、「受け取る」という意味で使用されています。 「受け渡す」は「一方から他方へ受け渡しを行うこと」という意味で、荷物や所有物を対象として使用されます。 「受け渡し」という名詞の形でもよく使用されます。

引き渡す

「引き渡す」は「ひきわたす」と読みます。 「引き渡す」の意味は「自分の所にいる者や手もとにある者を他人の手に渡すこと」です。 荷物などを他の人に渡すことを引き渡す」といいます。 また、保育園や学校にいる子供を親へ渡すという場合など、物以外でも「引き渡す」を使用することができます。

譲り渡す(譲渡)

「譲り渡す」は「ゆずりわたす」と読みます。 「譲る」には、自分の所有物や地位、権利を無償に人に与えるという意味があります。 「譲り渡す」で、「自分のものを他人にわたすこと」という意味になります。 「譲り渡す」は「譲渡(じょうと)」とも言われます。 例えば、「チケットをAさんに譲渡する」というような使い方をします。

明け渡す

「明け渡す」は「あけわたす」と読みます。 「明け渡す」の意味は「立ち退いて、その場を他人に渡すこと」です。 例えば、引っ越しをするなど住み慣れた家を立ち退くことを「家を明け渡した」などと言い表すことができます。 また、「リーダーの座を明け渡す」というように地位や立場を渡すという意味で使用されることもあります。

手渡す

「手渡す」は「てわたす」と読みます。 「手渡す」の意味は「手から手へと渡す」ということです。 例えば、手紙や荷物のように郵送して渡すのではなく、第三者の手を通らずじかに渡すことを「手渡す」といいます。 ビジネスシーンでも、トラブル防止のために直接書類を渡してほしいというような場面で「必ず手渡しでお願いいたします。」と依頼をすることがあります。

まとめ

自分が目上の人に渡す時に使う「渡す」の謙譲語は「お渡しする」「お渡しいたす」「お渡し申し上げる」「お渡しさせていただきたく」です。

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