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「輪をかけて」の意味と語源、誤用、使い方、類語、英語を例文つきで解説

「輪をかけて」の意味は「程度をさらにはなはだしくする」です。「輪をかけて」は「輪をかける」の連用形で、他人と比較して性格や特徴を表したり、さらに悪化する原因を述べるときに使います。比較の意なら「一段と」「よりも」が類語。

「輪をかけて」とは

「輪をかけて」の読み方は「わをかけて」

「輪をかけて」は「わをかけて」と読みます。 「輪」は訓読みで「わ」と読みます。 「輪をかけて」を漢字にすると「輪を掛けて」となります。 ただし、一般的に「掛けて」は平仮名で表記されます。

「輪をかけて」の意味は「程度をさらにはなはだしくして」

「輪をかけて」の意味は「程度をさらにはなはだしくする」です。 人の性格や物事の状態に対して「より一層」「さらに大げさに」という意味で使用されます。 「輪をかけて」は「輪をかける」の連用形で、副詞的に使います。 ネガティブなことに対して使うことがほとんどで「輪をかけて素晴らしい」などとポジティブに使うことはほとんどありません。 また、「輪をかけて」は敬語ではないので、目上の人に使うときは他の表現を敬語にする必要があります。

「輪をかけて」の語源は「弓道」「樽(たる)」

「輪をかけて」の語源には二つの説があります。 一つ目は、弓道で使う弓に弦(つる)を張るときに、弦輪(つるわ)をかけることでピンを弦を張り、勢いよく弓を飛ばしていたことから「勢いをつける」という意味で「輪をかけて」という言葉が使われるようになり、程度が甚だしいことを言い表す慣用句になったという説です。 二つ目は、板で作った樽や桶がバラバラにならないように止めていた竹の輪が、樽や桶の寸法より大きい円形になるように作られていることから、「程度がさらに大きい」という意味で「輪をかける」と言われるようになったのではないかという説です。

「輪をかけて」の誤用に注意

「輪がかかって」は誤用

「輪がかかって」という使い方は、誤用です。 「輪をかけて」の元は「輪をかける」という慣用句です。 「輪がかける」とはいわないので「輪がかかって」という使い方をすることはできません。

「輪に輪をかけて」は強調表現

「輪に輪をかけて」は、「輪にかけて」の強調表現です。 「輪に輪をかけて」は同じ言葉を重ねて使用していますが、二重表現ではありません。 二重表現とは同じ意味のある言葉を重ねて使用することをいい、「頭痛が痛い」などが二重表現にあたり誤用とされています。 ただし、「輪に輪をかけて」のように意味を強調するためや、語呂をよくするためにあえて同じ意味のある言葉を重ねている場合は誤用になりません。

「輪をかけて」の使い方と例文

他人と比較して性格や特徴を表す

「輪をかけて」は、他人と比較して性格や特徴を言い表すときに使用します。 例えば「AはBに輪をかけて〜だ」という使い方で、「AはB以上に〜」「AはBよりもさらに〜」という意味になります。 「〜」の箇所に名詞が一つだけ入る場合は、「輪をかけ○○だ」と表現することも可能です。 比較される人(B)に配慮が必要です。 例えば、「AはBに輪をかけて優秀です」と言った場合、Bも優秀であるが更にAのほうが優秀だと言っているのでBに対して失礼です。 直接的にいうのを避けるために「輪をかけたような」と比喩表現を使う場合もあります。 「輪をかけて」は、他人と比較することが普通で、「普段に輪をかけて今日は〜」などと同じ人の違う時を比較することはあまりしません。

例文

  • 祖父は父に輪をかけて頑固だ。
  • 息子は父親に輪をかけた酒豪だ。
  • 彼は山田さんに輪をかけたようなアメリカ嫌いだ。

さらに悪化する原因を述べる

「輪をかけて」は、さらに悪化する要因を述べるときに使用することもできます。 「○○が〜に輪をかけた」 「○○によって、〜が輪をかけて・・・」 という言い回しで使用し、○○に悪化する原因となるものを入れます。 原因を述べずに、「〜が輪をかけて悪化する」などと使うことも可能です。

例文

  • 違法駐車の増加が交通渋滞に輪をかけて、街の人の生活の質が低下している。
  • 高層ビルの建設ラッシュが自然破壊に輪をかけている。
  • 感染症の爆発的な拡大によって、不況が輪に輪をかけて深刻になった。
  • 彼女の離婚騒動が輪に輪をかけて大きくなる。

単に「大げさに」という意味でも使う

「輪をかけて言う」「輪をかけて表現する」ならば、単に「大げさに言う」などの意味になります。 例えば、チラっと目があっただけなのに「ずっと見られてた」と話すなど、実際よりも程度を増して話すことを言い表すときに使用します。 「話に輪をかける」などと表現することも可能です。

例文

  • 危機感をもってもらうために輪をかけて言った。
  • 彼が輪をかけて表現をしたせいで混乱を招いた。
  • 同情をしてもらうために話に輪をかける。

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「輪をかけて」の類語

比較の意なら「一段と」「よりも」

比較の意味で使用する「輪をかけて」の類語は「一段と」「よりも」「特段」「一層」「尚更」です。 「一段と」は「いちだんと」と読みます。 「一段と」の意味は「今までよりもさらに」「ひときわ」という意味です。 「よりも」は、格助詞「より」に係助詞「も」がついた言葉です。 「よりも」は、比較の基準を示します。 「特段」は「とくだん」と読みます。 「特段」の意味は「特別。格別」です。 他のものとの差があることを言い表すことができます。 「一層」は「いっそう」と読みます。 「一層」の意味は「程度がさらに一段進むさま」です。 副詞で使用することで「さらに」「ひときわ」「一段と」という意味になります。 「尚更」は「なおさら」と読みます。 「尚更」の意味は「物事の程度が以前または他の場合より進むさま」です。 「なお」の口語的な強調表現です。

「さらに悪化」の意なら「拍車をかける」

「さらに悪化」の意味なら「拍車をかける」が類語になります。 「拍車をかける」は「はくしゃをかける」と読みます。 「拍車をかける」の意味は「物事の進行をいっそう早める」です。 「拍車」は、乗馬靴のかかとに取り付ける金具のことです。 馬の腹部に拍車を当てて馬を早く走らせたことから、「いっそう進める」という意味で「拍車をかける」というようになりました。

「大げさ」の意なら「尾ひれを付けて」「大風呂敷」「誇張」

「大げさ」という意味なら「尾ひれを付けて」「大風呂敷」「誇張」が類語になります。 「尾ひれを付けて」は「おひれをつけて」と読みます。 「尾ひれを付けて」の意味は「事実を誇張する」です。 「尾ひれ」は「魚の尾とひれ」のことで、転じて「本体に対する付属」という意味です。 そこから、「ありもしないことを付け足す」という意味で「尾ひれを付けて」といわれるようになりました。 「大風呂敷」は「おおぶろしき」と読みます。 「大風呂敷」の意味は「実現しそうもないことを言ったり、計画すること」です。 現実の状況に釣り合わないような誇大したことをいうことをいいます。 大きな風呂敷を広げても、その中に包む物がないことに喩えたことわざです。 「大風呂敷を広げる」という使い方をします。 「大風呂敷を叩く」は誤用です。 「誇張」は「こちょう」と読みます。 「誇張」の意味は「実際よりもおおげさに表現すること」です。

「輪をかけて」の英語

far more

他人と比較して使うときは「far more」「much more」が使えます。 比較級を強調する副詞は「far」「much」で、「very」「so」などは使えないので注意してください。

He is far more stubborn than his father.

彼は父に輪をかけて頑固だ。

make worse

「...をより悪化させる」という意味なら「make ... worse」となります。 「worse」は「bad」の比較級です。 「much worse」「far worse」としてもよいでしょう。

Her failure made things much worse.

彼女の失敗が状況の悪化に輪をかけた。

exaggerate

「exaggerate」は「〜を誇張する」という意味です。

The salesman has exaggerated the new product.

その営業マンは新商品を輪をかけて宣伝した。

まとめ

「輪をかけて」の意味は「程度をさらにはなはだしくする」です。 「輪をかけて」は「輪をかける」の連用形で、副詞的に使い、人の性格や物事の状態に対して「より一層」「さらに大げさに」という意味で使用されます。

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