「仰々しい」は「ぎょうぎょうしい」と読み、「大げさ」を意味します。「仰々しい態度」「仰々しく挨拶する」などの形で誇張された人の言動を非難する時に使います。今回は「仰々しい」の意味と正しい使い方、類語、対義語、英語表現を徹底解説していきます。
「仰々しい」は「ぎょうぎょうしい」と読みます。 「仰」は音読みで「ギョウ」と「コウ」がありますが、「こうごうしい」と読まないように注意してください。 また、「ぎょうぎょうしい」の漢字変換を「行々しい」としないようにも気をつけましょう。
「仰々しい」の意味は「大袈裟(おおげさ)」です。 物事をいかにも立派そうに思わせるさまを表した形容動詞です。 「仰々しい」はあまり聞き慣れたと思いますが、方言ではありません。
「仰々しい」という表記は近世以降に使われるようになった当て字です。 「仰」という漢字には「あお-ぐ」「おお-せ」という意味がありますが、「大げさ」という意味は元々ありません。 「仰」を当て字として使い、「大げさ」という意味を持たせた熟語には他にも「仰山(ぎょうさん)」「大仰(おおぎょう)」などがあります。 「仰々しい」は、元々「業業(げふげふ)」「凝凝(ぎょうぎょう)」「希有希有(げうげう)」などと表記されていました。 これらのうち、どの表記が最古で語源なのは今のところ分かっていません。 また、「ぎょうぎょうしい」という日本語が和語か漢語も不明です。 音読みしているので単純に漢語ということもできますが、音読みする漢字を組み合わせてできた「和語」もありますし、元々は訓読みしていた和語が音便(音声変化)し音読みしているパターンもあります。
「仰々しい」という表現はあまり日常会話で使うことがないので、古語かと思う人がいるかと思いますが違います。 上述の通り「仰々しい」という表記は近世以降になされており、「ぎょうぎょうしい」という言葉自体も中世以前には使われていません。つまり古語ではありません。 「仰々しい」は比較的新しい言葉ということになります。 「仰々しい」を意味する古語には
などがあります。
「仰々しい」という言葉には基本的にネガティブな感情が帯びています。
などの言い回しで使われます。 「〜は仰々しい」と言い切る表現もあります。 「仰々しい」は誇張された人の行動・発言に対して非難する気持ちをもって使います。 例えば、仰々しい挨拶とは丁寧すぎてわざとらしく不快感さえ覚える挨拶を指します。 このように丁寧すぎてかえって失礼になる言い回しを「慇懃無礼(いんぎんぶれい)」といいます。 仰々しいことはビジネスシーンでは印象が悪いので、注意しましょう。
例文
「仰々しい」は「仰々しく」の形で副詞的に使うこともできます。 「仰々しく〜する」と動詞を修飾して、「大げさに〜する」という意味になります。
例文
「仰々しい」の類語には「物々しい」があります。 「物々しい」には、
の3つの意味があります。 「物々しい」は2つ目の意味である「厳重できびしい」という意味で使うことの方が多いので、言い換える際は注意です。 この意味で「物々しいいでたち」「物々しい話し方」「物々しい警戒」などと使います。
「仰々しい」の類語には「大層(たいそう)」もあります。 「大層」には「大げさ」と「非常に」の2つの意味があります。 1つ目の意味では「大層なことを言う」「大層な謝恩会を開く」などと使います。 2つ目の意味では「今日は大層寒い」「早朝から大層な人出だ」などと使います。
「誇大」も「実際より大げさに言ったり見せたりする」という意味があります。 「誇大広告」「誇大妄想」などと使います。 「誇大広告」とは「商品やサービスの長所を過度に表現し、実際よりよく思わせる大げさな広告」のことです。 「誇大妄想」とは「自分が他人より優れていると信じ過大評価すること」です。
「芝居がかった」という表現もあります。 これらは「言動が芝居をしてるかのようにわざとらしい」という意味です。 「芝居じみる」ともいいます。 「芝居がかった口調で話す」などと使います。
「仰々しい」と反対の意味を持つ代表的な言葉には「控えめ」があります。 「控え目」と表記することもあります。 「控えめ」は「目立たないように遠慮して振る舞う」「量や程度が少ない」という意味があります。 「控えめ」の説明で使っている「遠慮」という言葉も「仰々しい」の対義語にあたります。 「控えめな態度」ならば「仰々しい態度」の反対の意味の表現になります。
「慎ましい(つつましい)」も「控えめで物静か」という意味になります。 「慎ましい」には「ぜいたくでなく質素」という意味もあります。
「仰々しい」を意味するカタカナ語に「オーバー」がありますが、これは和製英語です。 「over」単体では「大げさ」という意味にはなりません。 「それオーバーだよ」を「Tha'ts over.」と言ってしまうと「それは終わりだ」という意味になってしまいます。 「overreact」とすれば、「仰々しく反応する」という意味で使うことができます。 名詞は「overreaction」です。
The president accused police of the massive overreaction.
社長は公安の仰々しい対応を非難した。
「おおげさにいう」を意味する英語は「exaggerate」です。 「exaggerate」は他動詞で、「exaggeration」とすると名詞になります。
She exaggerates everything.
彼女は何でも仰々しく言う。
日本語でも「トゥーマッチ」と言いますが、これは英語「too much」からきています。 ネイティブも「too much」を「大げさ」という意味合いで使います。 「make too much of...」で「...に対して大げさに反応しすぎる」という意味になります。 「make a fuss about/over...」で「...に対して大げさに騒ぐ」という意味になります。 この表現も「仰々しい」の英訳として使うことができます。
That's too much.
それは大げさだよ。
She is making too much of this.
彼女はこの件に関して仰々しく考えすぎだ。
Don't make a fuss over nothing.
些細なことに仰々しい騒ぐな。
「仰々しい」の正しい意味と使い方はご理解いただけましたか? 「仰々しい」について最後にまとめておきます。 ✔「仰々しい」の読み方は「ぎょうぎょうしい」 ✔「仰々しい」の意味は「大げさ」 ✔「仰々しい◯◯」「仰々しく〜する」などと使う ✔「仰々しい」の類語は「物々しい」「大層」 ✔「仰々しい」の英語は「exaggerate」