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「やり過ごす」の意味と使い方、類語・言い換え、英語を例文つきで解説

「やり過ごす」には「あとから来たものを先に行かせる」、「ながすままにさせて、かかわりを持たないようにする」、「限度を超えてする」という3つの意味があります。今回は「やり過ごす」の意味と使い方を例文付きで紹介します。また、類語や対義語、英語表現も合わせて紹介しますのでぜひ参考にしてください。

「やり過ごす」の意味と使い方

「やり過ごす」の意味は「関わりを持たない」

「やり過ごす」には、

  1. あとから来たものを先に行かせる
  2. ながすままにさせて、かかわりを持たないようにする
  3. 限度を超えてする

という3つの意味があります。 1つ目は、車や電車など自分が動かずに「先に行かせる」「先に通らせる」という場合に使用します。 乗り物だけではなく、「人を先に行かせる」ということを言い表す場合にも使用することができます。 ビジネスシーンで使うのは2つ目の意味です。 「自らが意図的に関わることなく収まるまでまつ」という意味で、例えば「適当にやり過ごす」「その場をやり過ごす」というように使用します。 プライベートでは「空腹をやり過ごす」「失恋をやり過ごす」などといいます。 3つ目の意味では「酒をやり過ごす」「風邪をやり過ごす」などが定型句です。 「〜し過ぎる」というニュアンスで、物事の限度を越えていること言い表します。 現代では、「度を超える」という意味で使用されることは、ほとんどありません。

「やり過ごす」の漢字は「遣り過ごす」

「やり過ごす」の漢字は、「遣り過ごす」です。 ただし、一般的には「やり過す」と表記されます。 「遣」の「やる」は表外読みなので、新聞など公的な文章では使用されません。 なので、「やる」は平仮名で表記するのが一般的です。 「過」は「とおりすぎる。よぎる」という意味があります。 「やり過ごす」の品詞は動詞です。 「過ごす」は、本来の意味で使用されている「本動詞」なので漢字で表記されます。

「やり過ごす」の例文

例文

  • 早くに家を出すぎたので1本電車をやり過ごすことにした。
  • 歩行者をやり過ごしてから左折した。
  • 気まずい空気が流れていたが、ただひたすら笑ってその場をやり過ごした。
  • ミスをしたことを問い詰められたが、適当に言い訳をしてその場をやり過ごした。
  • 暴飲暴食をやり過ごすと肌荒れしますよ。
  • 風邪をやり過ごして入院してしまった。

「やり過ごす」の言い換え

1つ目の意味の類語は「先に通す」「見送る」「譲る」

「先に通す」は、「相手が先の順番になるようにすること」です。 例えば、後ろに並んでいる人がいて、自分より先に行かせることを「先に通す」といいます。 「先に通す」と1つ目の意味の「やり過ごす」は同義で、言い換えることができます。 「見送る」は、「遠ざかっていく人や乗り物が見えなくなるまで目で追う」または、「積極的にかかわらないで放っておく」という意味があります。 例えば、電車が来ているのに乗らずにやり過ごす場合に「見送る」と言い換えることができます。 「譲る」は、「自分のものを他の人に与える」という意味の他に、「へりくだって他を先にする」という意味があります。 例えば、対向車線の車を先に右折させるというような場合に「道を譲る」と言い表すことができます。

例文

  • まだ全員揃ってないので後ろに並んでいるお客様を先に通してください。
  • やっときたバスが満員で乗れなさそうだったので1本見送ることにしました。
  • パッシングをして対向車に道を譲った。

2つ目の意味の類語は「凌ぐ」「耐え抜く」「柳に風」

「凌ぐ」は「しのぐ」と読みます。 「凌ぐ」の意味は「耐え忍んでなんとか苦しい状態を切り抜けること」です。 「〜で凌いだ」「耐え凌ぐ」というような使い方で、「やり過ごす」と言い換えることができます。 「耐え抜く」は「たえぬく」と読みます。 「耐え抜く」の意味は「最後までじっと我慢すること」「持ちこたえること」です。 「やり過ごす」には「耐える」という意味はありませんが、良い状況になるまでじっと持ちこたえるという点で「やり過ごす」と類語であるといえます。 ことわざの類語には「柳に風」があります。 「柳に風」の意味は「柳が風に従ってなびくように、少しも逆らわない」という意味です。

例文

  • 救助が来るまで少量の食料で空腹を凌いだ。
  • 彼女には逆境を耐え抜く精神力がある。
  • 嫌味を言われても柳に風と受け流す。

3つ目の意味の類語は「度を越す」「過剰」「過度」

「度を越す」は「どをこす」と読みます。 「度を越す」の意味は「度を越えること」です。 限度を越えたり、やり過ぎたりすることを「度を越す」といいます。 「過剰」は「かじょう」と読みます。 「過剰」の意味は「必要な量や度を越えて多すぎること」です。 「過度」は「かど」と読みます。 「過度」の意味は「適当な程度を越えていること」です。 「限度を越えて〜する」という意味では、「やり過ごす」よりも「度を越した○○」「過剰な○○」「過度な○○」を使用する方が一般的です。

例文

  • 笑えないほど度を越したイジりはイジメと同じです。
  • 薬の過剰摂取は命を落とす危険があるので用法用量を守ってください。
  • 過度に興奮しすぎた結果、体調を崩してしまった。

「やり過ごす」の対義語

「追い越す」「追い抜く」「乗り越す」

「追い越す」の意味は、「先に行くものを追いついて、それを越えて前に出ること」です。 前にいるものより、後ろにいた自分が前に行くという意味なので、「追い越す」は「やり過ごす」の1つ目の意味の対義語であるといえます。 「追い抜く」は、「追い越す」と同義ですが、「追い抜く」は先に行くものをわきから抜くという意味で使用される言葉です。 「乗り越す」は「のりこす」と読みます。 「乗り越す」の意味は、「電車やバスなどで、目的の場所より先まで行ってしまうこと」です。 意図的に、目的地よりも先に行くことを「乗り越す」といいます。 降りる予定の場所よりも先に行くことなので、電車・バス・新幹線・鉄道に対して使います。自動車や飛行機で移動する場合は使いません。

「手を出す」「関与する」「あがく」

「やり過ごす」は、「ながすままにさせて関わりをもたないようにすること」なので、「関わっていく」という意味のある「手を出す」「関与する」は対義語になります。 「手を出す」「関与する」は、物事にあえて自分から首を突っ込んでいくようなことを言い表す言葉です。 「あがく」の意味は「苦境などから逃れようとして必死になること」「あくせくすること」です。 流れに身を任せて関与しないようにする「やり過ごす」とは反対に、なんとかしようと無駄な努力をしてしまうことを「あがく」といいます。

「適度」「節度」「程々」

「適度」の意味は「程度がちょうどよいこと」です。 「節度」の意味は「ゆきすぎることのない、ちょうど良い程度」です。 「程々」の意味は「ちょうどよい程度であるさま」です。 「適度な○○」「節度のある○○」「程々な○○」というような使い方で、度を過ぎることのないちょうど良い量を言い表すことができるので、「やり過ごす」の3つ目の意味の対義語であるといえます。

「やり過ごす」の英語

let ... go / wait until ...

「やり過ごす」の1つ目の意味の英語は「let ... go」「wait until ...」などがあります。 「let...go past」としてもよいでしょう。 「let+目的語+動詞の原型」で「〜に...させる」という意味になります。

I let an oncoming car go past and then turned left.

対向車をやり過ごしてから、左折した。

The train was crowded, so I waited for the next one.

電車は混み合っていたので、やり過ごした。

don't get involved in...

2つ目の意味の「やり過ごす」の英語表現は色々考えられます。 「関わりを持たない」という意味なら「do not get involved in...」「do not have anything to do with」などが使えます。 「うまく対処する」という意味なら「deal with」「get through」などになります。

I did not get involved in their argument.

彼らの口論を適当にやり過ごした。

「対処する」だけじゃない!「deal with」の5つ意味と使い方

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