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「貧乏暇なし」の意味と使い方、返し、類語、対義語、続きを例文つきで解説

「貧乏暇なし(びんぼうひまなし)」の意味は「貧乏だと暇がない」です。貧乏だと朝から晩まで働かなくてはならずゆっくりする時間がないことを指します。誘いを丁重に断ったり、忙しい人が謙遜して使います。

「貧乏暇なし」とは

「貧乏暇なし」の意味は「貧乏だと生活に追われて、暇がない」

「貧乏暇なし」の意味は「貧乏だと生活に追われて、暇がない」です。 貧しい人は生活のために朝から晩まで働き続けなければならず、ゆっくりとくつろぐ時間が全く取れない、という意味合いです。 元は「貧乏隙(ひま)なし」であり、「一向に貧乏生活から抜け出すことができない状態だ」という意味でした。 いつからか、「隙」の漢字が「暇」になり、現在の意味になりました。 「貧乏だと稼ぐのに忙しく休む暇がない」という解釈を誤りだと主張する学者もいます。 ちなみに座右の銘にするのはふさわしくありません。

「貧乏暇なし」の語源は江戸版『いろはがるた』

「貧乏暇なし」の語源は江戸版『いろはがるた』です。 「いるはかるた」とは、18世紀末に成立された48文字を頭文字とすることわざを使った教訓・教育用のかるたのことをいいます。 正月の家庭遊戯として昭和初期まで続いていた遊びの一つです。 「いろはかるた」の「ひ」に書かれていたのが「貧乏暇なし」でした。 これが語源となって「貧乏暇なし」ということわざが広まったといわれています。

「貧乏暇なし」の誤用に注意

「貧乏人暇なし」は誤り

「貧乏人暇なし」は誤用です。 「貧乏人の子沢山」という表現はあります。 「貧乏人の子沢山」は「貧乏人はとにかく子供が多い」という意味のことわざです。 「貧乏暇なし」と「貧乏人の子沢山」を混同してしまう人が多いので注意しましょう。

「貧乏暇なし猫灰だらけ」は誤用

「貧乏暇なし猫灰だらけ」もよくある誤用の一つです。 「貧乏暇なし猫灰だらけ」は、「貧乏人は暇がなく掃除ができないので、家の中にホコリがたまってしまう」という意味ではありません! 「結構毛だらけ猫灰だらけ」という言葉はあります。 「結構毛だらけ猫灰だらけ」の意味は、「大いに結構だ」です。 「結構」を茶化していう言葉です。 まったく意味の異なる言葉なので、混合しないようにしましょう。

「貧乏暇なし」の続きは「魚売り」「砂利かつぎ」

「貧乏暇なし」は「貧乏暇なし魚売り」または「貧乏暇なし砂利(籠・糞・ため)かつぎ」と続けていうこともあります。 昔、「魚売り」や「砂利(籠・糞・ため)かつぎ」という職業の人が、どんなに働いても貧乏だったことから、「働いてもなかなか貧乏の状態から抜け出せない」という意味で「貧乏暇なし」に続けて「魚売り」や「砂利(籠・糞・ため)かつぎ」といいます。

「貧乏暇なし」の使い方と例文

誘いを穏当に断る

「貧乏暇なし」は、誘いを穏当に断るときに使用されます。 例えば、気の乗らない飲み会に誘われたときに「貧乏暇なし」を使用することで、「貧乏だから働く時間に追われて飲み会に行けない」と伝えることができます。 「貧乏暇なし」と言われてしまえば、誘ったほうも「生活のために休みなく働いてるのだから仕方ない」と思えます。

例文

  • 申し訳ないけど、貧乏暇なしで飲み会どころはないんだ。
  • お誘いいただき嬉しいのですが、貧乏暇なしなんですよね...。
  • 貧乏暇なしなものですから、顔も出せずにすみません。

忙しい人が謙遜する

「貧乏暇なし」は、忙しい人が謙遜するときにも使用されます。 例えば、忙しそうに働く姿を見て「儲かってますね」「稼いでいますね」と言う人に対して、「いえ、貧乏暇なしなんですよ」というと、「貧乏だから忙しく働いているだけなんです」という謙遜の意味になります。 ただし、謙遜の意味で使用しても「嫌味だ」と思われてしまうことがあります。 「ありがとうございます、お陰様で〜」など感謝の気持ちを伝えるほうが良い場合もあるので、状況によって判断しましょう。

例文

  • 儲かっているなんてとんでもない、私の場合は貧乏暇なしというやつですから。
  • いやいや、貧乏暇なしなだけですよ。食べていくのに精一杯です。

文字通りの意味でも使う

「貧乏暇なし」は、「貧乏であるためにゆっくりくつろぐ暇もない」という文字通りの意味でも使うこともあります。 例えば現在の生活の状況などを問われて、「お金がなくて休みなく働いている」と伝える場面などです。

例文

  • 相変わらず貧乏暇なしだよ。
  • 最近は貧乏暇なしで、寝る間も惜しんで働いています。

謙遜の「貧乏暇なし」への返し

相手に謙遜で「貧乏暇なし」と言われたら、 「そんなご謙遜をなさらずに...」と「謙遜しないでください」という気持ちを伝えましょう。 または、忙しくないということは仕事もなくお金にもならないということなので、「忙しい」ということを良いことと捉え「忙しいことは良いことですね、でも無理はなさらないように」などと返すのが無難でしょう。

「貧乏暇なし」の類語

貧すれば鈍する

全く同じ意味ではないが、「貧乏」に関連する四字熟語の類語には「貧すれば鈍する」があります。 「貧すれば鈍する」は「ひんすればどんする」と読みます。 「貧すれば鈍する」の意味は「貧乏をすると、頭の動きが鈍くなる」です。 どんなに頭の良い人でも、貧乏になると生活していく上での心配事で頭がいっぱいになって頭の働きまでも鈍くなり、きたなくあさましい考えをするようになってしまうということを言い表していることわざです。 「貧すりゃ鈍する」「貧すれば鈍す」ともいいます。

「貧すれば鈍する」の意味と使い方、類語「衣食足りて礼節を知る」、対義語を例文つきで解説

WURK

「貧乏暇なし」の対義語

「貧乏暇なし」の逆を意味する諺はない

「貧乏暇なし」の逆には2つあります。 1つ目は「貧乏な人は暇だ」という内容で、このような意味のことわざはありません。 2つ目は「お金持ちに暇はない」という内容で、この意のことわざもありません。 したがって、厳密な「貧乏暇なし」の対義語(反対語)は存在しないことになります。

稼ぐに追いつく貧乏なし

「稼ぐに追いつく貧乏なし」は「かせぐにおいつくびんぼうなし」と読みます。 「稼ぐに追いつく貧乏なし」の意味は「常に精をだして働けば、貧乏に苦しむことはない」です。 一生懸命働くことの大切さを言い表したことわざです。 また、「貧乏だと悩んでいる暇があるのなら働け」という意味で使用されることもあります。 「貧乏な人には貧乏神が取り憑いている」という概念が元になって、「常に動いていれば貧乏神に追いつかれる事がないから貧乏にならない」という意味で「稼ぐに追いつく貧乏なし」といわれるようになりました。

「貧乏暇なし」の英語

「貧乏暇なし」に相当する英語の諺はない

「貧乏暇なし」に相当する英語のことわざは存在しません。 直接または英語で説明するしかありません。

A poor man has no time for leisure.

「poor」が持つコアの意味とネイティブの会話での使い方

WURK

「貧乏暇なし」って本当?

貧乏な人はそのぶん労働をしなければ生活ができないので、くつろぐ暇もなくなってしまうというのはあながち間違いではないといえます。 時間がないと感じるのは、例えば低賃金の職場で働き続けていたり、能力不足で人よりも多く残業をしてプライベートに使う時間が少なくなっているということもあるでしょう。 しかしながら、「お金がある人は時間にゆとりがある」ともいえません。 お金がある人にも、仕事が忙しくて休む暇もないという人は大勢いて、それが苦になっていないという人も沢山います。 様々な職種や働き方を自由に選べるようになった現代だからこそ、すべてが「貧乏だから...」に直結するわけではないといえるでしょう。

まとめ

「貧乏暇なし」の意味は「貧乏だと生活に追われて、暇がない」です。 貧しい人は生活のために朝から晩まで働き続けなければならず、ゆっくりとくつろぐ時間が全く取れない、という意味合いで使用されることわざです。 「貧乏暇なし」の後ろに「魚売り」「砂利かつぎ」と続くこともあります。 「貧乏人暇なし」や「貧乏暇なし猫灰だらけ」は誤用なので注意。

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