「脱帽(だつぼう)」の意味は「帽子などの被り物をとること」「敬意を表すために、帽子を脱ぐこと」「相手にはとてもかなわないと降参すること」の3つです。今回は「脱帽」の正しい意味と使い方を例文付きで紹介します。類語との違いや言い換え表現、英語表現も合わせて紹介しますのでぜひ参考にしてください。
「脱帽」の読み方は「だつぼう」です。 「脱」は音読みで「ダツ」、「帽」は音読みで「ボウ」と読みます。
「脱帽」の意味は3つあります。
の3つです。 1, 2, 3 の順で意味が転じていきました。 一つ目の意味は、単に帽子を脱ぐことを言い表します。 例えば、「室内では脱帽をするのがマナーだ」という使い方をします。 二つ目の意味は、帽子を脱ぐことによってその人に対して敬意を表すことを言い表します。 例えば、「脱帽して社長の到着を待つ」という使い方をします。 三つ目の意味は、相手が自分よりも上だと認めて降参の気持ちを表すことを言い表します。
「脱帽」の由来は西洋のマナーです。 西洋には、敬意を示すべき相手の前で「被っているものを脱ぐ」をするというマナーが古くからあります。 この西洋のマナーが日本に入ってきて「相手に敬意を示す」という意味で「脱帽」という言葉が使用されるようになりました。 さらに、日本には降参を意味する「兜を脱ぐ」という言葉が変化して、「相手にとてもかなわない」という意味でも「脱帽」という言葉が使用されるようになったと言われています。
「脱帽」を含む四字熟語はありません。 ちなみに、「帽」を含む四字熟語には「弊衣破帽」があります。 「弊衣破帽 」は「へいいはぼう」と読みます。 「弊衣破帽」の意味は「破れた衣服と、破れた帽子」です。 「弊衣」は「破れた衣服」、「破帽」は「破れた帽子」という意味があります。 「弊衣脱帽」は、特に旧制高等学校(明治時代から昭和時代前期にかけて日本に存在した高等教育機関)の学生がわざと着ていた汚らしい服装のことをいいます。 当時は、意図的に汚らしい格好をすることで自己主張をしていました。
「脱帽」は、相手の技術や知識などに対して「自分にはとても敵わない」と感心する気持ちを言い表す言葉として使用されます。 例えば、あることに対して自分よりはるかに知識がある相手に対して「あなたの知識量には敵わない」と褒めるような場面です。 よく使用される言い回しは
などです。
「脱帽」の例文
「脱帽」は、「脱帽です」「脱帽します」で敬語表現になります。 「です」「ます」は、文末につけることで文章全体を丁寧にする丁寧語です。 「脱帽」を敬語表現にすることで、例えば「新入社員のAさんの技術には脱帽しました」と目上の人に伝えることができます。 ただし、「脱帽」は「相手を自分より上だと認める」というニュアンスがあるため「社長の技術には脱帽です」という使い方をすると、上から目線で失礼です。 同僚など自分と同等の相手や、目下の人間に対して使用するようにしましょう。
「脱帽です」「脱帽します」の例文
「脱帽」は、「あなたの出来の悪さには参りました」「あきれました」というような皮肉で使用されることもあります。 例えば、歌が大してうまくもない相手にたいして「彼女の歌には脱帽しました」というのは褒めるふりをして相手をけなしている皮肉です。 褒め言葉で使用されているのか皮肉で使用されているのかは文脈で判断するしかありません。
「感服」は「かんぷく」と読みます。 「感服」の意味は「感心して心から従うこと」です。 「その行い、ものすごく良い!」「その技術はとても素晴らしい!」と相手に対して尊敬の気持ちを抱くことをいいます。 何か技術や人の行動に深く感じて、自分などは全く敵わないと強く感じることをいい表すときに「感服」を使います。 「感服」は「脱帽」とは異なり「自分より優れていると認める」という意味はありません。 単に尊敬する気持ちや憧れの気持ちを表します。 よって、「感服しました」などと目上の人に対して使用することが可能です。
「敬服」は「けいふく」と読みます。 「敬服」の意味は「感心して、うやまい従おうとする気持ちを抱くこと」です。 相手の立ち振る舞いや、その人の特性について深く感銘を受けることをします。 「敬服」も「脱帽」とは異なり、「自分より優れていると認める」という意味はありません。 「敬服しております」というように、敬語表現にすることで目上の人に対して使用することが可能です。
「感心」は「かんしん」と読みます。 「感心」の意味は「立派であるとして心を動かされること」です。 人の行動や物事が優れていると思った時に用いる褒め言葉です。 「感心」には、尊敬するという気持ちは含まれません。 相手の行動に対して感動したと伝える言葉なので、目上に対して使用すると上から目線に感じられます。 基本的には目下の人に対して使用する言葉です。 「脱帽」と同じく目上の人に対して使用することはできないので注意しましょう。
「舌を巻く」は「したをまく」と読みます。 「舌を巻く」の意味は「非常に感心し、驚くさま」です。 「巻く」は、その一端が内側になるように丸めるという意味です。 感嘆して舌が巻かれて言葉がでなくなっている様子を言い表しています。 相手の能力や技術に対して感心している様子を言い表す言葉なので「脱帽」と言い換えることが可能です。
「シャッポを脱ぐ」は「しゃっぽをぬぐ」と読みます。 「シャッポを脱ぐ」の意味は「相手の優位を素直に認める」です。 「シャッポ」はフランス語で「帽子」という意味です。 帽子を脱いで、お辞儀をするという意味から「相手に敵わないことを知って降参する」という意味で使用されます。 「シャッポを脱ぐ」と「脱帽する」は同義です。
「言葉を呑む」は「ことばをのむ」と読みます。 「言葉を呑む」は「何かを言おうとして感動、驚きのあまり言葉がでなくなってしまう」ということを言い表しています。 また、相手の気持を察して急に言うのをやめることをいいます。 相手に対して非常に感心している様子を言い表す言葉なので、「脱帽」と言い換えることができます。
「参りました」は「まいりました」と読みます。 「参りました」は
の3つの意味があります。 二つ目の意味で「脱帽」と同義です。
「目を瞠る」は「めをみはる」と読みます。 「目を瞠る」の意味は「驚いたり感心したりして、目を大きく見開くこと」です。 「瞠る」は、目をいっぱいに開いて見るという意味です。 「瞠る」は常用外漢字であるため「目を見張る」と表記されることも多いです。
「表敬」は「ひょうけい」と読みます。 「表敬」の意味は「敬意を表すこと」です。 「表敬」は、敬意を持っているということを相手に伝えるための行動のことです。 例えば、敬意を示すために相手へ訪問することを「表敬訪問」といいます。 「脱帽」は、「自分より上であると認めた相手に対して敬意を示すこと」です。
「三拝九拝」は「さんぱいきゅうはい」と読みます。 「三拝九拝」の意味は
です。 「三拝九拝」は、人に何かを頼むときにペコペコ頭を下げることを言い表すときに使用されます。
「着帽」は「ちゃくぼう」と読みます。 「着帽」の意味は「帽子をかぶること」です。 「脱帽」の原義は「帽子を脱ぐこと」なので「着帽」は対義語になります。
「〜に脱帽する」は英語で「be impressed with」です。 「impress」で「〜を印象付ける」という意味です。
I was impressed by your hard work.
君の努力には脱帽したよ。