「謁見(えっけん)」の意味は「身分の高い人に会う」です。手続きを進めた上で、普段の生活では会うことの難しい人に会うことをいいます。今回は「謁見」の正しい意味と使い方を例文付きで紹介します。類語との違いや対義語、英語表現も合わせて紹介しますのでぜひ参考にしてください。
「謁見」の読み方は「えっけん」です。 「謁」は音読みで「エツ」、「見」は音読みで「ケン」と読みます。
「謁見」の意味は「身分の高い人に会う」です。 手続きを進めた上で、普段の生活では会うことの難しい人に会うことをいいます。 「謁見する」で動詞になります。 「謁する(えっする)」だけでも同じ意味の動詞として使うことができます。 上司や取引先など目上の人に会うという意味で使うと大げさなので注意しましょう。 天皇陛下や法王、国王、女王、大統領などに会う場合のみ使います。
「越権」も「えっけん」と読みます。 「越権」の意味は「定められた権限を超えること」です。 許容されている権限を越えて、他のことに立ち入ることをいいます。 例えば「秘書」は、組織あるいは上司の書類面における仕事を請け負う職業です。 そのため、上司の代理として決算書などに押印したり、上司に変わって取引先と面談をするなど上司の機能や役割の代行をするのは「越権」になります。 「越権」は「謁見」と読み方は同じですが、意味は全く異なる言葉なので注意しましょう。
「謁見」は、天皇陛下や法王、国王、女王、大統領など身分の高い人に会うということを言い表すときに使用します。 「謁見する」で「身分の高い人に会う」という意味になります。 過去に身分の高い人に会ったという場合は「謁見した」と過去形で使用します。
例文
貴人と会うわけなので、こちらが会いたいと思っても会えるわけではありません。 なので、「会う」というよりも「会ってもらう」と言い表すほうがふさわしいです。 「身分の高い人に会ってもらう」と言い表すときは「謁見を受ける」といいます。 「謁見を受ける」をより丁寧に言い表すと「謁見を賜る」になります。 「賜る」は「〜をしてもらう」の謙譲語です。 謙譲語は、自分の動作をへりくだることで相手に敬意を示す敬語表現です。 「謁見」自体は謙譲語ではありませんので、二重敬語になりません。 「謁見を許される」は「会いたいという申し出を許可してもらえる」という意味です。 「会いたい」という希望を伝え、相手からOKが出た場合に「謁見を許される」「謁見を許された」といいます。
例文
「謁見の間(えっけんのま)」「謁見室(えっけんしつ)」は、身分の高い人と会う場所のことです。 「謁見の間(えっけんのま)」や「謁見室(えっけんしつ)」は、「玉座(ぎょくざ)」といわれる国王や皇帝のためにある座具など権威を示す何らかの象徴があることが特徴です。
例文
「拝謁」は「はいえつ」と読みます。 「拝謁」の意味は「身分の高い人に面会することをいう謙譲語」です。 家柄の良い人や、地位の高い人に会うことをへりくだっていう語になります。 「拝謁」は「謁見」の謙譲語です。 例えば、身分の高い人に会った場合に「拝謁することができて、誠に光栄です」と言うことができます。
「接見」は「せっけん」と読みます。 「接見」の意味は、
です。 「謁見」は「身分の高い人に会うこと」ですが、「接見」は「身分の高い人が、人を呼んで公式に対面すること」を言い表す言葉です。 例えば、「フランスの首相が天皇陛下に接見する」と使います。 「◯◯に接見する」という形で用いることが多いです。 また、「接見」は「身体を拘束されている被疑者・被告人が、弁護士や家族と面会する」という意味でも用います。 「接見」とは精神的に不安定になる可能性がある被疑者・被告人を支えるため、弁護士や家族が面会して話したり、書類や物品の受け渡しを行うことを目的としています。
「拝顔」は「はいがん」と読みます。 「拝顔」は「会う」の謙譲語です。 人に会うことをへりくだるっていう語です。 「拝顔」は、相手に会うことをへりくだって言う語であり「身分の高い人に会う」という意味はありません。 「謁見」は上司や取引先など目上の人に会うという意味で使うと大げさですが、「拝顔」は上司など目上の人に対して使用することができます。
「拝眉」は「はいび」と読みます。 「拝眉」は「人に会うことの謙譲語」です。 相手に会うことをへりくだっていう語です。 「拝眉」は上述した「拝顔」と同義です。
「お目にかかる」は「会う」の謙譲語です。 「お目にかかる」の「お」は接頭辞です。 接頭辞の「お(ご)」は文脈によって尊敬語・謙譲語・丁寧語のどれにでもなりえます。 相手の動作を高めることで相手に敬意を示すための「お」は尊敬語。 自分の動作をへりくだって相手に敬意を示すための「お」は謙譲語。 言葉を丁寧にするためにつける「お」は丁寧語です。 「お目にかかる」の「目」は自分の目を示していて、接頭辞「お」は、自分の動作をへりくだるためにつけているので謙譲語になります。 「かかる」の意味は「目にとまる」「見られる」です。 ビジネスシーンで取引先の人に会うことを言い表すときなどは「お目にかかる」を使用するのが一般的です。 自分だけではなく、家族や自社の人間が外の人に会うときも「お目にかかる」を使用することができます。
「お目見え」は「おめみえ」と読みます。 「お目見え」は、「目上の人に面会すること」「お目にかかること」です。 自分より目上の人に会うことをへりくだって言う語です。 特に、「はじめて会う」という場合に使用されることが多いです。 「お目見え」もビジネスシーンで使用できる一般的な敬語です。 人だけではなく物に対しても使用することができます。
「お目通り」の意味も「身分の高い人に会うこと」です。 自分より目上の人に会うことをへりくだって言う語です。 例えば、ビジネスシーンなどかしこまった場面で「お目通りしたく存じます」で「会いたいと思っています」と伝えることができます。 ただし、「お目通りする」は古めかしい響きがありあまり使用されません。 「お目通りしたい」よりも「お目にかかりたい」というほうが自然です。 その他にも
などが、目上の人に会うことを言い表す言葉です。
「引見」は「いんけん」と読みます。 「引見」の意味は「身分、地位の高い人が目下の人を引き入れて会うこと」です。 「謁見」は、「身分の低い人が身分の高い人に会ってもらうこと」なので、「引見」は対義語になります。
「謁見」は英語で「audience」といいます。 基本的に「audience」は「聴衆」という意味ですが、「目上の人に会うこと」という意味もあるので覚えておきましょう。 「have an audience with」で「に謁見する」という意味です。
They had an audience with the Queen in Buckingham Palace.
バッキンガム宮殿で彼らは女王に謁見した。
She was granted an audience with the Emperor.
彼女は天皇への謁見が許された。