「ご指示いただけますと幸いです」は、指示してもらえると嬉しいという意味です。ビジネスメールで目上の人に指示を仰ぐときに「〜についてご指示いただけますと幸いです」などと使います。
「ご指示」は「ごしじ」と読みます。 「ご指示」の意味は「相手がしなければならないことを具体的に言って聞かせること」です。 「指示」についている「ご」は尊敬を表す接頭辞です。
接頭辞「ご(お)」敬語の種類は文脈によって尊敬語・謙譲語・丁寧語のどれにもなります。
この場合の接頭辞「ご」は、相手の動作に対してつけているので尊敬語になりますが「ご〜いただく」で一つの謙譲語と解釈する場合もあります。
「いただけますと」は、「してもらうと」という意味です。 「いただけますと」は、「もらう」の謙譲語「いただく」に丁寧語「ます」と接続助詞「と」をつけた言葉です。 「ご指示いただけますと」で、「指示してもらえると」という意味なります。 「いただく」は漢字で「頂く」と書きますが、「いただけますと」は平仮名で表記します。 「頂く」の本来の意味は「物をもらう」です。 「いただきますと」のように、本来の意味とは違う意味で使う場合は平仮名で使うのが正しいです。
「幸いです」は、「さいわいです」と読みます。 「幸いです」は、「自分にとって嬉しいことです」という意味です。 「幸い」に丁寧語「です」をつけています。 したがって「ご指示いただけますと幸いです」で「指示してもらえると嬉しい」という意味になります。
「ご指示いただけますと幸いです」は、ビジネスメールで目上の人に指示を仰ぐときに使います。 例えば、上司に進捗状況を報告し、この後どうすれば良いか聞きたいときなどです。
【件名】 商品値引についてのご相談 【本文】 林部長 お疲れ様です。営業部の遠藤です。 取引先である株式会社ABC様より、商品の値引きについての交渉がありました。 株式会社ABC様は、10%の値引きを希望されております。 承諾すれば月間の注文数を増やすというお話もいただいております。 このような場合、どうすれば良いのでしょうか。 先方への対応について私では判断しかねるため、ご指示いただけますと幸いです。 お忙しい中恐縮ですが、よろしくお願い申し上げます。 遠藤
【件名】 A社との打ち合わせについてのご相談 【本文】 佐野部長 お疲れ様です。営業部の松野です。 標題の件、来月行われるA社との打ち合わせについてご相談がございます。 A社から下記の日程で行いたいと連絡がございましたので、ご指示いただけますと幸いです。 ・12月5日(火)13時〜 ・12月6日(水)14時〜 ・12月8日(金)13時〜 ・12月11日(月)15時〜 お忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願いいたします。 松野
【件名】 進捗状況のご報告 【本文】 営業部 綾瀬部長 お疲れ様です。営業部の松岡です。 現在進めております、プロジェクトの進捗状況についてご報告いたします。 ・市場調査終了 ・市場調査のデータを現在解析中 以上です。 今後は、データをまとめAを社に提出予定ですが、問題ございませんでしょうか。 追加で必要な作業等ございましたらご指示いただけますと幸いです。 よろしくお願い申し上げます。 松岡
【件名】 お見積書の件について 【本文】 株式会社あいうえお 総務部 大田様 平素よりお世話になっております。 株式会社かきくけこ、営業部の花垣です。 この度は、お見積書の作成依頼ありがとうございます。 ご依頼いただいたお見積書の作成についてご質問があり、ご連絡いたしました。 今回は商品「△△△」、「○○○」の2種類のご購入をご希望とのことですが、具体的な個数が記入されておりませんでした。 お忙しいところお手数をおかけしますが、ご指示いただけますと幸いです。 なお、ご注文が12月15日を過ぎますと来月以降の納品になりますのでご了承をお願いいたします。 引き続きよろしくお願い申し上げます。 花垣
【件名】 納品ミスの件でご相談 【本文】 松坂課長 お疲れ様で商品部の大木です。 ご相談させていただきたいことがあり、ご連絡いたしました。 只今、商品「△△△」の生産が追いついていない状況です。 取引先の方には納期が遅れることに了承を得ていますが、代替品を用意できないかとのお問い合わせを多くいただいております。 ご多用の中恐縮なのですが、どのように対応すべきがご指示いただけますと幸いです。 よろしくお願い申し上げます。 大木
「ご指示いただけますと幸いです」と似た敬語表現に「ご指示いただければ幸いです」があります。 「いただけますと幸い」は、上述したように「もらう」の謙譲語「いただく」に丁寧語「ます」と接続助詞「と」をつけた敬語表現です。 「いただければ幸い」は、「もらう」の謙譲語「いただく」に仮定を表す「れば」をつけた 敬語表現です。 「いただければ幸い」で「してもらえたら嬉しい・ありがたい」という願望を表す丁寧な言い回しになります。 どちらも目上の人に対して使える丁寧な敬語表現ですが、「いただけますと幸い」は謙譲語と丁寧語を使った敬語表現で、「いただければ幸い」は謙譲語のみを使った敬語表現であるため、「いただけますと幸いです」のほうがより丁寧です。
「ご指示いただけますと幸いです」は、「ご指示いただけましたら幸いです」ということもできます。 「いただけましたら幸い」は、「もらう」の謙譲語「いただく」に丁寧語「ます」と仮定の「たら」をつけた敬語表現です。 「いただけましたら幸いです」も「してもらえたら嬉しい・ありがたい」という丁寧な言い回しになります。 「ご指示いただけますと幸い」と「ご指示いただけましたら幸い」は、どちらも謙譲語と丁寧語を使った敬語表現なので丁寧の度合いは同じですが、「ご指示いただけましたら幸い」の方が仮定の意が強く控え目な響きがやや大きいです。
「賜れますと幸い」は、「もうらう」の謙譲語「賜る(たまわる)」に仮定を表す接続助詞「れば」と丁寧語「ます」をつけた敬語表現です。 「賜る」は、「もらう」の謙譲語、「与える」の尊敬語の二つの意味がありますが、この場合は相手から何かをしてもらうという動作について、相手を高めるために使用されている謙譲語です。 「賜れれば幸い」で、「もらえると嬉しいです」と依頼をする丁寧な表現になります。 「いただけますと幸い」と「賜れますと幸い」は、どちらも「もらう」の謙譲語を使った敬語表現ですが、「賜る」が、「いただく」より一段と恐れ多いという気持ちを込めた謙譲語として用いられるため、「賜れますと幸い」のほうが丁寧でよりかしこまった表現です。
「幸いです」の類似表現には「幸甚に存じます(こうじんにぞんじます)」があります。 「幸甚に存じます」は、「幸甚」に丁重語「存ずる」と丁寧語「ます」をつけた敬語表現です。 「幸甚」は、「何よりの幸せ」「この上ない幸せ」「最上級の幸福」「幸せの極み」「大変ありがたい思う」という意味です。 「存ずる」は、「思う」の丁重語です。 丁重語とは謙譲語Ⅱともいわれ、へりくだることで相手に敬意を示すという点で謙譲語と同じですが、通常の謙譲語とは違い、動作の対象ではなく聞き手・読み手に敬意を示す敬語です。 「幸甚に存じます」で、「この上なく幸せに思います」という意味になります。 丁寧語のみを使った「幸いです」よりも、丁重語と丁寧語を使った「幸甚に存じます」のほうが丁寧な敬語表現です。 また、「幸い」よりも「幸甚」のほうが堅い表現であるためフォーマルな場面に適しています。 ただし、かしこまりすぎて仰々しい印象を相手に与え、かえって失礼になってしまうので、社内の人に使う場合は「幸いです」のほうが適しています。
「ご指示ください」は、「指示」に尊敬を表す接頭辞「ご」と、「くれ」の尊敬語「ください」をつけた敬語表現です。 正しい敬語表現ですが命令文なのでやや上から目線で、目下の人や同等の立場の人に対して使うのは問題ありませんが、親しくない上司や社外の人に対して使うのは避けた方がよいでしょう。 これから紹介する敬語表現のほうが頻繁に使われます。 「ご指示くださいませ」とすると柔らかいニュアンスになります。 「くださいませ」は、「ください」に「ませ」をつけた敬語表現です。 「ませ」は「丁寧な気持ちを込めて、相手にある動作を要求する意」を表します。 「くださいませ」とすることで、「くれ」を丁寧にするだけでなく柔らかい印象を与えることができます。
「ご指示いただけますか」は、「指示」に尊敬を表す接頭辞「ご」と、「もらう」の謙譲語「いただく」に丁寧語「ます」と疑問の終助詞「か」をつけた敬語表現です。 「ご指示ください」では丁寧さに欠けますが、「指示してもらえますか?」と疑問形にすることで、柔らかい依頼の表現になります。 「ご指示いただくことは可能でしょうか」という敬語表現もあります。 「ご指示いただくことは可能でしょうか」は、「指示してもらうことはできるだろうか?」と可否を確認する表現で、依頼をするときに使用される正しい敬語表現です。 しかし、やや強意的であるためビジネスシーンでは使用を避ける人もいます。
「ご指示願います」は、「指示」に尊敬を表す接頭辞「ご」と、「願う」に丁寧語「ます」をつけた敬語表現です。 「ご指示願います」も正しい敬語表現ではありますが、「願います」が「願う」という言葉の丁寧語であるという点で丁寧さに欠ける(謙虚な態度が感じられない)表現であるため、親しくない上司や社外の人に対して使うは避けた方が無難です。 上司や社外の人に使用する場合は、「お願いいたします」などより丁寧な敬語表現を使用しましょう。
「ご指示のほど」は、「指示」に尊敬を表す接頭辞「ご」と、断定を避ける表現の「ほど」を使った敬語表現です。 「〜のほど」を用いることで相手に強制することなくお願いをすることができます。 「ほど」は漢字で書くと「程」ですが、漢字にはしません。 「程」の本来の意味は、「物事の経過に伴う様子、程度」です。 そこから転じて断定を避ける表現として用いられています。 このように、本来の意味とは違う使い方をする場合は、漢字ではなくひらがな表記にします。 「お願いいたします」は、「お願いする」の謙譲語+丁重語+丁寧語です。 「お」は謙譲語で、動作の対象を敬う接頭辞です。 「いたす」は丁重語で、聞き手・読み手を敬う補助動詞です。 「お願いいたします」の「ます」は丁寧語です。 「お願いいたします」の「いたす」は補助動詞なのでひらがなで表記するのが正しいです。
「ご指示くださいますようお願い申し上げます」は、「指示してくれるようお願いする」という意味です。 「ご指示くださいますよう」は、「指示」に尊敬を表す接頭辞「ご」をつけて、「くれ」の尊敬語「ください」と丁寧語「ます」、婉曲表現の「よう」をつけています。 「くださいますよう〜」とすることで、断定を避けた柔らかい依頼表現になります。 「お願い申し上げる」は、「お願いする」の謙譲語です。 「お〜申し上げる」で、動作対象を敬う謙譲表現になります。 「申し上げる」は本来「言う」の謙譲語ですが、この表現では「する」という意味の補助動詞です。 「お願い申し上げます」の「ます」は丁寧語です。 「申し上げる」も補助動詞なので、本来は「お願いもうしあげます」と書くのが正しいですが、慣例的に「お願い申し上げます」と漢字で書くことが多いです。 「ご指示くださいますよう〜」は「ご指示いただきますよう」と言い換えることもできます。 「ご指示いただきますよう」は、「指示してもらうよう」という意味です。 「指示」に尊敬を表す接頭辞「ご」をつけて、「もらう」の謙譲語「いただく」と丁寧語「ます」、婉曲表現の「よう」をつけています。
「ご指示いただきたく存じます」は、「指示」に尊敬を表す接頭辞「ご」をつけて、「もらう」の謙譲語「いただく」と思うの丁重語「存ずる」と丁寧語「ます」をつけた敬語表現です。 「ご指示いただきたく存じます」で、「指示してもらいたいと思う」と柔らかくお願いをする表現になります。 「ご指示いただければと存じます」とするとより丁寧です。 「いただければ」は、上述したように「してもらえたら〜」という仮定の表現で願望を表す丁寧な言い回しです。 また、「ご指示を仰ぎたく存じます」ということもできます。 「ご指示を仰ぐ」は「目上の人に指示を求める」という意味で、「ご指示を仰ぎたく存じます」で指示を求めたく思うという意味になります。
「ご指示賜りますようお願い申し上げます」は、非常に丁寧な依頼表現です。 「賜りますよう」は、「もらう」の謙譲語に丁寧語「ます」と婉曲表現の「よう」をつけた敬語表現です。 「ご指示賜りますようお願い申し上げます」で、「指示してもらうようお願いする」という意味になり、丁寧にお願いをすることができます。 ちなみに、「賜れますよう」は誤用です。 「賜れますよう」の「れ」は助動詞「れる」の連用形です。 助動詞「れる」の意味は主に尊敬・可能で使います。 「賜る」が、敬語なので敬語の助動詞を使うのは不適切です。 「れる」が可能の意味ならば「してもらうことができますように・・・」という意味になります。 無理矢理、可能の意味で捉えることもできますが、このような使い方は一般的ではりません。
「ご教示」は「ごきょうじ」と読みます。 「ご教示」の意味は「具体的にどうしたらいいか教えること」です。 「ご教示」は、ビジネスシーンで教えを請うときなどに使います。 かしこまった表現なので日常生活ではあまり使われません。
「お申し付け」は「おもうしつけ」と読みます。 「お申し付け」は「言いつける」という意味です。 「申し付け」は「言いつける」の謙譲語です。 「言いつける」には「命令する」という意味があります。 「お申し付けください」などの形で、なにか命令してくれという意味合いで使われます。