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「借りてきた猫」の意味と使い方、語源、類語「猫をかぶる」との違い、反対語を例文つきで解説

「借りてきた猫」という言葉をご存知でしょうか。「借りてきた猫みたいだ」「借りてきてきた猫のよう」などと使います。「借りてきた猫」と聞くと、可愛らしい印象がありますが、意味についてしっかりと理解しているでしょうか。「借りてきた猫」は日常会話でも使うことが多い言葉なので、きちんと意味を知っておきたいですよね。「借りてきた猫」は言葉通り、猫の特徴が関係あります。そこで今回は「借りてきた猫」の意味や使い方、語源、類語について解説していきます。意味を適切に覚えて、上手く使えるようにしましょう!

「借りてきた猫」とは

「借りてきた猫」の意味は「いつも違っておとなしい」

「借りてきた猫」は「かりてきたねこ」と読みます。 「借りてきた猫」の意味は「いつもと違って静かに身を硬くしているさま」です。 普段は威勢がいいのに、ある状況に置かれると柄にもなく静かにしている様子を指します。 「借り物の猫」「借りた猫」と表現することもあります。

「借りてきた猫」の語源は猫の習性

「借りてきた猫」は文字通り、飼われている家では我が物顔に振る舞う猫も、よその家に連れていくと片隅でおとなしくなってしまうことが由来です。 猫は自分のテリトリー以外だと、疑心暗鬼になり自由に行動できなくなる習性があるためです。 江戸時代、自宅に備蓄された米や穀物をねずみが荒らすため、他家から猫を借りてねずみ駆除をする習慣がありました。 しかし、よその家にきた猫はおとなしくなってしまい、目的を果たさないことがよくあったそうです。 これが原因で「借りてきた猫」という慣用句が生まれました。

「借りてきた猫」の使い方と例文

「借りてきた猫のよう」と比喩表現で使う

「借りてきた猫」は直喩(ちょくゆ)表現で使います。 直喩とは「ような」などの語を使ってたとえて使います。直喩の反対は暗喩です。

「暗喩」の意味、使い方、例文!比喩表現「直喩」との違い、類語、英語も紹介

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「借りてきた猫」の言い回しには、

  • 借りてきた猫のよう
  • 借りてきた猫みたいに
  • まるで借りてきた猫だ
  • 借りてきた猫同然

などとなります。

「借りてきた猫」の例文

  • いつもふざけている彼でも、怖い先生の前では静かになる。まるで借りてきた猫だ。
  • 彼女は耳年増で、男性の事を語るわりには、実際に男性の前では借りてきた猫のようだ。
  • 初対面だと私は借りてきた猫同然になってしまう。

※「耳年増(みみどしま)」とは、体験が無いのに、男女間のことをいろいろ聞き知っている、若い女性を指します。

「借りてきた猫のようにおとなしい」は二重表現でない

「借りてきた猫」自体に「おとなしい」「静か」という意味が含まれますが、「借りてきた猫のようにおとなしい」などの表現も多く見受けられます。 厳密には重言(二重表現)といえるのでしょうが、慣習的に許容となっています。

「借りてきた猫」の例文

  • いつも一緒にいる仲間が休みのため、今日の彼は借りてきた猫のように大人しい。
  • 父は私たちには偉そうにガミガミ言うが、母に怒られると借りてきた猫のように静かになる。
  • どうしたんだ、借りてきた猫みたいに萎縮して。

「借りてきた猫」の誤用に注意

普段おとなしい人には使えない

普段は静かなのに、何かをキッカケにうるさくなる人の特徴を表すことはできません。 例えば、☓「普段の彼は借りてきた猫のように大人しいが、お酒が入ると人が変わったように騒ぎ立てる」などということはできません。 猫のようにいつもは活発なのに、ある状況では静かな場合のみ使うことができます。

体調が悪くて静かな場合には使えない

いつも明るい人がある状況下で静かだとしても、それが体調や病気、怪我などが原因の場合は、「借りてきた猫」は使うことはできません。 例えば、☓「今日の彼女は風邪なのか、借りてきた猫のように静かだったね」などとはいえません。

独自性が発揮できないの意でも使用不可

権威のあるものに付き従って結果、独自性を発揮できず、小さく縮こまってしまう、というニュアンスで使うのも誤用です。 例えば、☓「社長の言ったことをただやるだけの、借りてきた猫のような施策では結果が出ない」などと使うのは誤りです。 物理的に静かになる時に使うのが正しい用法です。

どのような手伝いもほしいの意で使うのも誤用

「猫の手も借りたい」と混同し「かなり忙しくて人手不足なこと」の意で「借りてきた猫」を使うのは誤用です。 例えば、「借りてきた猫でもほしいほど多忙だ」などとはいえません。 正しくは「猫の手でも借りたいほど多忙だ」です。

恐怖のあまり静かになる場合も使わない

恐怖のあまり逃げることも立ち向かうこともできずにそこに立ち尽くしてしまう、というニュアンスでは「借りてきた猫」は使いません。 その意味の慣用句は「蛇に睨まれた蛙(へびににらまれたかえる)」です。 「蛇に見込まれた蛙のよう」とこれも直喩で使用します。

「借りてきた猫」と「猫をかぶる」の違い

「猫をかぶる」は意図的におとなしく見せる

「猫をかぶる」の意味は「良い子ぶるため、大人しそうに振る舞うこと」です。 「ある事を知っておきながらも、とぼけて知らないふりをする」という意味も含まれます。 「借りてきた猫」も「猫をかぶる」も「普段と違い、静かになる様子」を表しますが、「猫をかぶる」には意識的におとなしく見せるというニュアンスがあります。 例えば、合コンなどに参加したとして、いつもはうるさくアクティブなのに「無意識にかしこまって静かになってしまう」場合は「借りてきた猫」、「良いふうに見せようと意識して静かにする」場合は「猫をかぶる」です。 「猫をかぶる」は女性に対して使うことが多く、「ぶりっ子」「可愛子ぶる」「カマトト」などが類語にあたります。

「猫をかぶる」の例文

「猫をかぶる」の例文

  • 彼女は普段はおしゃべりなのに、好きな人の前だと猫をかぶる。
  • 付き合い始めは猫をかぶっていたが、だんだんと本性が見えてきた。
  • 乱暴で意地悪な彼女だけど、彼の前では猫をかぶるんだよ。

「借りてきた猫」の類語

内弁慶

「借りてきた猫」の類語は「内弁慶(うちべんけい)」です。 「内弁慶」とは、家の中では威張り散らすが外では全く意気地がないことを指します。 「内弁慶に外地蔵」ともいいます。 家庭内で威張っている夫は「亭主関白」、反対に家庭内で権力のある妻は「かかあ天下」といいます。

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「借りてきた猫」の対義語

「借りてきた猫」の反対を意味する慣用句はない

「家の中ではおとなしく、外では威勢がいい」という意味の慣用句は存在しません。 「実力がないのに偉そうにする」という意味の慣用句は多くありますが、これは「借りてきた猫」の反対語にあたりません。

「借りてきた猫」の英語

quieter than usual

「借りてきた猫」は「いつもと違って静か」という意味なので「quieter than usual」となります。 ちなみに、「(as) quiete as a lamb(子羊のように静か)」というイディオムがあるのですが、これは「とても静か」という意味で「very quite」と同義です。 世界中に動物を使った慣用表現というのが存在しますが、用途は色々ですね。 「いつもと違う」という箇所をわざわざ英訳しなくても、「今日の彼女は大人しい」というだけで「借りてきた猫」というニュアンスは伝えることができます。

She is quieter than usual, probably because her boss is here today.

上司がいるせいか、今日の彼女は借りてきた猫のように大人しい。

I don't know why, but he is quiet as a lamb today

なぜだか不明だが、彼は借りてきた猫のように今日は大人しい。

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