「口八丁手八丁(くちはっちょうてはっちょう)」の意味は「話すことも何かをすることも達者なこと」です。ただし、褒め言葉で使用できる言葉ではないので注意が必要です。今回は「口八丁手八丁」の意味と正しい使い方を解説します。類語や対義語、英語表現も合わせて紹介しますのでぜひ参考にしてください。
「口八丁手八丁」の読み方は「くちはっちょうてはっちょう」です。 「口」は訓読みで「くち」、「八」は音読みで「ハチ」、「手」は訓読みで「て」、「丁」は音読みで「チョウ」と読みます。
「口八丁手八丁」の意味は「話すこともすることも達者なこと」です。 「口」は「話すこと」、「手」は「手を使って何かをすること」を意味します。 「八丁」は「たくみなこと」という意味です。 おしゃべりでかつ行動力もあることを言い表している言葉です。
「口八丁手八丁」の語源は「8つの道具を使いこなすこと」です。 8つの道具とは、大工などの職人が使う道具のことです。 8つの道具を使いこなす職人は腕が良いとされていて、8つの道具を使いこなす器用な職人を「八挺(はっちょう)」といっていました。 この「八挺」が語源となって物事に巧みなことを「八挺」というようになり、話すことも物事をすることも巧みであるということを言い表す「口手八丁手八丁」という言葉ができました。
「口手八丁手八丁」は、「口も手も八丁」「口も八丁手も八丁」「手八丁口八丁」ともいいます。 「口も手も八丁」「口も八丁手も八丁」「手八丁口八丁」は、すべて意味も使い方も同じです。
「口手八丁手八丁」は、「しゃべることもすることも達者である」という意味なので、何でもできることに対する褒め言葉のように感じますが、違います。 「口手八丁手八丁」は、世渡りがうまいというけなす意味合いがあります。 能力は認めているが、それを快く思わない時に使う言葉です。嫉妬して言う場合もあります。 なんでも上手にやりこなしてしまうことに対する皮肉を意味しますので、目上の人に「◯◯さんは口八丁手八丁ですね」「ご子息には口八丁手八丁で敵いません」などと言ってしまうと失礼なので注意しましょう。
「口八丁手八丁」には「口が達者」という意味がありますが「人を騙す」という意味はありません。 言葉巧みに人を騙すという意味で「口八丁手八丁」を使用するのは誤用です。 また、「口だけで行動をしない」という意味でもありません。 口が達者なだけで、行動が話の内容に伴わないという意味で使用するのも誤用になります。 「口だけが達者で行動が伴わない」という意味であれば「口八丁」だけを使います。
「口八丁手八丁」の例文
「世渡り上手」は「よわたりじょうず」と読みます。 「世渡り上手」の意味は「世の中を上手に渡る人」です。 上手に有利な人間関係を築いたり、仕事をうまくこなしていく人を言い表す言葉です。 ポジティブな意味で使用されることもありますが、「口手八丁手八丁」のように「計算高い」「要領が良い」というような嫌味で使用されることも多いです。
「世故に長ける」は「せこにたける」と読みます。 「世故に長ける」の意味は「世間の事情によく通じている」です。 「世故」とは「世の中の事情や習慣」という意味です。 「たける」は「十分にそなえている」という意味です。
「処世に長ける」は「しょせいにたける」と読みます。 「処世に長ける」の意味は「世間とうまく関わって生活することができる」です。 「処世」の意味は「社会の中で人々と関わりながら生活していくこと」です。
「口八丁」の類語は「雄弁」「はったり」です。
「雄弁」は「ゆうべん」と読みます。 「雄弁」の意味は「話術が巧みで説得力があること」です。 人に感銘を与える、巧みで力強い弁舌のことをいいます。 「話すのがうまい」という意味では「口八丁」の類語であるといえます。 ただし、「雄弁」には「口だけで行動が伴わない」というマイナスな意味はありません。
「はったり」の意味は「実際以上に見せかけようとして、大げさな言動をすること」です。 実際には見聞きしたことも、できる見込みもない事を、さも事実であるかのように人前でいいふらすことをいいます。
「手八丁」の類語は「腕が立つ」「敏腕」です。
「腕が立つ」は「うでがたつ」と読みます。 「腕が立つ」の意味は「すぐれた腕前・技量をもっている」です。
「敏腕」は「びんわん」と読みます。 「敏腕」の意味は「物事をすばやく的確に処理する能力」です。 物事のとりさばきがてきぱきしていて、たしかなことをいいます。
「口はうまいが行動が伴わない」という意味なら、「口叩きの手足らず」「口自慢の仕事下手」が対義語になります。 「口叩きの手足らず」は「くちたたきのてたらず」と読みます。 「口叩きの手足らず」の意味は「口は達者だが、仕事はできない」です。 「口自慢の仕事下手」は「くちじまんのしごとべた」と読みます。 「口自慢の仕事下手」の意味は「しゃべるのは達者でも仕事ができないこと」です。 よく喋るひとほど仕事が疎かになってしまうということをいいあらわしています。 「口上手の飽きない下手」ともいいます。 その他にも、「空き樽は音が高い」(中身のない人ほど得意げに話す)や、「口では大阪の城も建つ」(口先だけならどんな立派なことも言える)も類語にあたります。
「あまり喋らないが行動力はある」の意味なら「物言わずの早細工」が対義語になります。 「物言わずの早細工」は「ものいわずのはやざいく」と読みます。 「物言わずの早細工」の意味は「寡黙で目立たない人ほど、仕事の手際が良い」です。 仕事ができる人は無駄口を叩かず物事を処理するということをいいあらわします。 「何も言わずに行動だけする」という意味の「不言実行」も対義語です。
「話すことも行動することも苦手」の意味なら「無能」が対義語になります。 「無能」は「むのう」と読むます。 「無能」の意味は「能力・才能がないこと」です。 何も出来ない人を言い表します。
「口八丁手八丁」に近い意味を持つ英語表現に「smooth operator」があります。 「smooth operator」は「要領がよく口がうまい男性」という意味です。 性的魅力もあり、モテるという意味も含みます。