「処世術(しょせいじゅつ)」とは「生きてゆく方法や巧みな世渡りの方法」を指します。「処世」は「世の中で暮らしを立てていくこと」を意味します。「処世術に長けている」などと使い、実力はないのにずる賢く社会から認められているというネガティブな意味にもなります。
「処世術」の意味は「処世のための術策」「世渡りの方法」です。 「処世」とは「社会の中で人と関わりながら、生計を立てていく」という意味です。 「処世術」は厳しい社会で生き抜くための戦術、人間関係を円滑にするための方法などと言い換えることができます。 会社などの組織で、状況に応じた行動を取ることで、周囲の人たちから信頼を勝ち取ることをいいます。
それでは、まず世渡りが上手い処世術に長けている人の性格や行動の特徴を紹介していきます。
処世術に長けている人の特徴にまず挙げられるのが「弟・妹キャラ」です。 ちょっと頼りないけど、どこか憎めない性格です。 世渡りが上手というのは、失敗を決してしないということではなく、失敗しても許されるキャラクターを確立することです。 それにより、失敗をしても評価が低くなることがありません。 また、何度かミスをしてもまた新たなチャンスを与えてもらうことができます。 何かミスをしてもすぐに上司に許してもらう、またはそれ以上に手伝ってもらえる、適度に甘えん坊な人が処世術に長けている人といえます。
処世術に長けている人はよく笑っています。 どんなときでも笑顔を絶やしません。 基本的に不機嫌な様子を周りには見せません。 いつでも近寄りやすい雰囲気が出ています。 そのため、いつでも人が寄ってきます。 不機嫌オーラが出ている人のところには、聞きたいことがあっても声をかけられないですよね。 しかし、それが胡散臭い・腹黒いなどと感じる人もいるようです。 会社などでは同僚などからすると、いつも上司などにいい顔しているのは良く思わないようです。
処世術に長けている人はネガティブなことを話しません。 やっぱり人は、ポジティブな話を聞いていたいものです。 愚痴が好きな人たちも世の中には多くいますが、そういった人の周りには愚痴を言う仲間しかいませんよね。 ただ、本当に誰かが悪いことをした時にみんなで「あれは良くなかったよね」などと話していても、そういった話に参加しないと「いい子ぶりっ子」などと思われてしまいます。
処世術に長けている人は、空気が読むのが得意です。 どんなに愛されキャラであっても、空気が読めないとキチィです。 上司の機嫌の悪い時は静かにする、疲れている様子なら「自分がやります〜!」と積極的に動く、トラブルが発生すると他部署の人も円滑にコミュニケーションをとり火消しに回るなどが空気を読む力です。 周りの人の心情の変化や会社の状況をすぐに察知する能力が社会では求められます。
人見知りせずに、積極的に人と話すことができるのも特徴の一つといえるでしょう。 上層部と廊下やエレベーターで会ってもフランクに話しかけることができたり、打ち上げなどで上司や他部署の人たちもすぐに打ち解けられる人たちです。 このような人たちは皆コミュニケーション能力が高く、処世術を会得している人たちです。 ただ喋ることがコミュ力ではありません。親しみやすく、相手のことを理解した上でお話することの大切さを理解している人が処世術に長けた人です。
世渡り上手は褒め上手です。 人を褒めるのが苦手な人は非常に多いです。 お世辞だとしても、人は自分が褒められると嬉しいものです。 お世辞っぽいことでも躊躇なく発言できたり、建前と本音を織り交ぜてスマートに褒めたりすることも処世術の一つということができます。
処世術に長けている人は八方美人なところがあります。 八方美人とは「誰からも良く思われようと要領よく振る舞う人」のことです。 人に合わせてコロコロと意見や態度を変えたり、反対に誰のことも悪く言うことなくとにかく誰にでも良い顔をして自分の味方を多く作っているような人を「八方美人」と言うので、いい意味ではありません。 しかし、やっぱり自分にいい顔をしてくれる人ってかわいいんですよね。 嫌な態度を取られるよりよっぽどいいと思われています。
処世術を身につける上で最も大切なのは、相手の話をよく聞くことです。 なぜ相手の話を聞くのが大切かというと、人は自分の話を聞いてもらえると、相手が自分に関心があると感じるからです。 人は自分に関心を持ってくれる人を好む傾向があります。 誰しもが承認欲求があります。 その承認欲求を満たしてあげることが、まず処世術を身につける第一歩です。 実際、上司や取引先、顧客の話をしっかり聞くことで初めて分かることが多くあります。 自分の想像で仕事を押し進めるのではなく、人が本当に求めているもの創造するために、人の需要を理解することも極めて重要です。
いつも明るく元気に笑顔で人に接することもとても大切です。 これはそもそも人としての基本ですよね。しかし、これができない人が結構多い。 暗い人のところには絶対にチャンスがきません。 チャンスはいつも人を介してやってきます。 元気溌剌とした性格をもつことで、周りの人たちからの印象がよくなり、結果的に多くのチャンスを得ることができます。 「会社では常に笑顔」であることを忘れないようにしましょう。
これは特に男性にいえることですが、 いくら笑顔が素敵でも、歯がない、顔面がオイリー、ひたすら臭いなど清潔感がなければ話になりません。 髪型を極端にお洒落にしたり、服装を奇抜にすることで目立とうとするのは逆効果ですが、最低限の清潔感は大切です。 男性ならば、
などなど、少しの意識と手間で、清潔感は簡単に保つことができ、それだけ好印象になります。 見た目を綺麗にすることも処世術の一つです。
情報収集の習慣を身につけることも、処世術を会得する一つの手段といえるでしょう。 ニュースや読書を通して、世界経済や日本の政治の状況について正しい情報を得ることはとても大切です。 それをある程度の期間続けることで教養が身につきます。 教養があることで、会社の幹部や重要な取引先との会話の中で、チャンスを掴む可能性が上がります。 また、社内の状況を常に正確に把握することも必要です。 会社では今どんな人材が求められているのか、どんな問題を解決しなければならないのか、派閥はあるのかなど情報が昇進する上で重要なファクターになり得ます。 面倒臭がらずに「リサーチの鬼」になることを心がけましょう。
若い人にありがちなミスは自分の感情つまりエゴを前面に出してしまうことです。 自分が会社の創業者で社長ならば、エゴを出すことは正しい場合があります。 しかし、会社員として一つの会社の中で上り詰めていくには、既存のルールに従って、求められる人材になる他ありません。 会社に一歩足を踏み入れたら、自分のエゴは完全に捨てて、自分の役割をしっかり果たすべきでしょう。 エゴを持つことで葛藤が生まれます。組織の中で生き抜くために、エゴとはサヨナラしましょう。
自分を大きく見せようとする必要はありません。 相手と話を合わせるために、知ったかぶりをするのはNGです。 より踏み込んだ質問をされて答えられなければ、周りから「嘘つき野郎」というレッテルを貼られてしまいます。 知らないことは素直に知らないと言い、学ぶ姿勢が大切です。 また「知らないです、教えてください」って言われると、人は頼られた気持ちになってとても嬉しくなります。 知らない時は正直に相手に伝えましょう。 いつでも自然体、等身大の自分にいることを心がけましょう。
何のために処世術が必要なのか、自分の本来の目的を見失わないようにしましょう。 「おれっち、何でこんなことしてるんだろう・・?」と深刻に悩み出すと、心に支障をきたす場合もあります。 「この会社で昇進して、お金を稼ぐ」という目的を定めたならば、そこからぶれずに、割り切ることが必須です。 処世術はあくまでも目的をかなえるための手段であることを気に留めておきましょう。
今まで紹介してきた「処世術」はあくまで一般論です。 所属する組織や関わる人、国などによって処世術は大きく違います。 処世術なるものは不文律のようなもので、その団体に身を置いて初めて理解できるものです。 誰も事前に教えてくれませんし、インターネットで検索しても出てきません。 また同じ組織でも状況や時代によって、変化していくものでもあります。 臨機応変に対応する必要があることを覚えておきましょう。
処世術というのは単にコミュニケーションをハックすることを指すのではなく、あくまでも仕事をスムーズにこなすための手段です。 相手に丁寧にしすぎるあまり逆に嫌味っぽくなり失礼になる、つまり慇懃無礼にならないように注意しましょう。 接し方ばかりにフォーカスすると、「あいつは口ばかり上手い」「営業は向いているけど馬鹿だ」などと思われるリスクがあります。 人に気を使うのは程々にして、自分の仕事の生産性を向上させる、会社に求められている業務を全うすることに集中しましょう。
処世術を極めていく中で、「処世術なんてクダラナイ!」と思う人もいるかもしれません。 その場合は、生き方そのものを変える必要があります。 処世術など必要なく、腕一本で活躍できる業界もあります。 そのためならば、自分に技術を身につけることを第一に考えましょう。 精神的に辛い思いまでして無理に処世術を極めようとする必要はありません。 自分に合わないと感じる場合は、処世術を身につけるのを諦めるのも一つの方法です。
外資系ITソフトウェア企業で世界上位2%のトップタレントに7年連続で選抜された著者が「成果主義時代の処世術」を初公開!
好かれる人とそうでない人の違いはちょっとした振る舞いや仕草です。心理術とキャリアコンサルタントの経験から人間関係のコツを教えます。
日本人が心に刻むべき、「処世の道」がここにある。悠々自適の心境と、現実を生き抜く術を語る人生書の古典を、心に響く言葉で翻訳、解説。著者のライフワーク、ここに結実。
これはドイツの哲学者ゲオルク・ジンメルの言葉です。 自分の身の程を知って、諦めて妥協するのはとても簡単なことですよね。 折れて相手に合わせることでうまくいくこともあるかもしれません。 しかし、それでは人から嫌われなくても、自分が世渡りをしていて一切楽しくありません。 自分がちゃんと楽しんでいない限り、本当の処世術ではないんですよね。 妥協ではなく、適応すること。 自分がその場所で何が出来るか、何をしたらいいのか、そして何がしたいのか。 それを考えて適応することで、世を渡っていく上で一番幸せなことだと、ジンメルは伝えたかったのでしょう。
これはことわざの一つです。 近い意味のことわざには「郷に入っては郷に従う」「所の法に矢は立たぬ」などがあります。 周りの人が楽しそうに踊っているのであれば、一緒に踊るべきだという言葉です。 そうすれば孤立もせず、周りの楽しい雰囲気を壊すこともありません。 これもひとつの処世術ですよね。
これは古代ギリシアの寓話作家です。 「アリとキリギリス」「王様の耳はロバの耳」「北風と太陽」などイソップ寓話(イソップ物語」を作った人です。 勉強が出来たとしても社会で認められるわけではない、要するに勉強が出来ても処世術にはならないということを表しています。 コミュニケーション能力や、様々な知識、教養、身なりなど、処世術を身につけるには勉学以外にも大切なことがたくさんあります。
いかがでしたか? 処世術に関して、しっかり理解することはできましたか? 処世術なんてクダラナイと思う方も多いと思いますが、人は感情的な生き物なので、どのように人に接するか、どのような振る舞いをするかは仕事の内容以上に大切な場合があるのです。 それを理解した上で、処世術なんかに頼らずに生きるのもアリだと思います。 処世術を学ぶ前に必要なのは、まず自分と対峙して、生き方を決心することです。 その上で、処世術が必要ならば、手段として活用しましょう。 処世術は目的ではなくあくまでも手段であることを覚えておきましょう。