「お気をつけください」は相手に注意をするように呼びかけるときに使用する敬語表現です。今回は「お気をつけください」の意味と敬語、使い方を例文付きで紹介します。「お気をつけください」より丁寧な敬語表現や類語、英語表現も合わせて紹介しますのでぜひ参考にしてください。
「お気をつけください」は「気をつける」の敬語表現です。 「気をつける」の意味は「注意する」です。 また、何かをするときに、見落とし・誤り・失敗などがないように心を配ることを「気をつける」といいます。 「お気をつけください」は、相手に注意をするように呼びかけるときに使用する言葉です。
「お気をつけください」は、「気をつける」に接頭語の「お」と命令形「くれ」の丁寧語「ください」をつけています。 接頭語「お(ご)」の敬語の種類は文脈によって尊敬語・謙譲語・丁寧語のどれにでもなりえます。
「お気をつけください」は、相手に「気をつけてほしい」と伝える言葉なので、気をつけるのは相手です。 したがって「気をつける」につく接頭語の「お」は尊敬語になり、「お気をつけください」は尊敬語+丁寧語の敬語表現であり目上の人にも使用できるといえます。 ただし、「ください」が命令形「くれ」の丁寧語であるため、一方的なニュアンスがあります。 上司など敬意を示すべき相手に使用する場合はより丁寧な敬語表現を使用したほうが良いでしょう。
「お気をつけください」は、「お気を付けください」を漢字にしないことが多いです。 「気を付ける」は正しい表記です。 しかし、「気を付ける」は慣用句であり、本来の「付ける」の意味は薄れているため、ひらがなで使うことが多いです。 「付ける」を漢字で表記するのは、「顔を窓に付ける」というように本来の「付ける」の意味で使用する場合です。
「お気をつけくださいませ」とするとより丁寧な敬語になります。 「お気をつけくださいませ」は、尊敬語「お」と丁寧語「くださいませ」を使用しています。 「ください」は「相手に何かを要望・懇願する意」を表し、「ませ」は「丁寧な気持ちを込めて、相手にある動作を要求する意」「丁寧な気持ちを込めて挨拶する意」を表します。 したがって、「くださいませ」は「丁寧な気持ちを込めて相手に何かを依頼・懇願すること」を意味します。 「お気をつけください」と伝えるより「お気をつけくださいませ」のほうが柔らかく丁寧な印象になります。
「お気をつけ願います」は、尊敬語「お」と丁寧語「ます」を使用した正しい敬語表現です。 「願います」は、他人に対してこうしてほしいと頼む言葉で、「お気をつけ願います」で気をつけることをお願いする言い回しとして使用することができます。 ただし、「願います」も一方的な印象をうける人が多いです。 目上の人に使用するのは避けましょう。
「お気をつけていただきたく存じます」は、「気をつけてもらいたいと思います」という意味です。 「気をつける」に尊敬語「お」と「もらう」の謙譲語「いただく」、「思う」の丁重語「存ずる」、丁寧語「ます」を使用した丁寧な敬語表現です。 丁重語とは、動作の対象ではなく話を聞いている相手に敬意を示すために使用される敬語表現です。 丁重語は、自分の動作をへりくだることで相手に敬意を示す「謙譲語」と同じ種類の敬語で「謙譲語Ⅱ」とも言われます。
「お気をつけいただければ幸いです」の
です。 「いただく」に仮定の接続助詞「ば」を使用することで「〜してもらえたら」という願望を表す丁寧な言い回しになります。 「幸いです」の意味は「自分にとって嬉しいことです」「〜であれば幸せになります」です。
「お気をつけいただきますようよろしくお願い申し上げます」は、「気をつけてもらうようお願いします」という意味です。 「気をつける」についている接頭語の「お」は尊敬語です。 「いただきますよう」は、断定する意味を避け柔らかいニュアンスでお願いをするために使用されています。 「お願い申し上げます」は、「願い」に尊敬語を表す接頭語の「お」と「言う」の謙譲語の「申し上げる」と丁寧語の「ます」で、相手に依頼をするときに使用する丁寧な敬語表現です。 「よろしく願います」「よろしくお願いいたします」よりも「お願い申し上げます」のほうがフォーマルな響きがあり、目上の人に対してや厳粛な場面では「よろしくお願い申し上げます」と言う方が適切です。
「お気をつけください」は、相手の体調を気遣う場面で使用されます。 例えば「お忙しいとは存じますが、体調にはお気をつけください」という使い方です。 口語でも使用されますが、手紙、メールの結びの言葉としても使用することができます。 年賀状においても「くれぐれも体調にお気をつけください」と使うことも多いです。 「体調にお気をつけください」は春であっても冬であってもいつでも使うことができます。「体調にお気をつけください」の前後には、その季節に合った言葉や相手を気遣う表現を述べると良いです。
「お気をつけください」は体調だけではなく、相手が安全かどうか気遣う時にも使います。 例えば、旅行に行くという人に対して「気をつけて行ってきてください」と伝える場面です。 安否を気遣うときの言い回しとしては
などがあります。
「お気をつけください」は、「本商品は割れ物ですのでお取り扱いにお気をつけください」というように注意喚起をするときにも使用することができます。 また、気をつけてほしい点を依頼する場合にも使用します。 例えば、何か書類を記入してもらいたいときに「ご記入の際は以下の点にお気をつけください」というような使い方をします。
体調を気遣ったり、安否を気遣って「お気をつけください」と言われたら、まずは「お気遣いありがとうございます」とお礼を述べましょう。 体調を気遣ってもらった場合は、「○○さんも体調を崩さないようお気をつけください」など相手の体調や安否を気遣う言葉を述べると印象がよくなります。 注意喚起や依頼で「お気をつけください」と言われたら、「かしこまりました」「承知しました」と返事をするのが良いでしょう。
「ご注意」は「注意」に尊敬を表す接頭語の「ご」をつけた言葉です。 この場合の「注意」の意味は「気持ちを集中させること。気を配ること」です。 また、「悪い事態にならないように用心すること。気をつけること」という意味で使用されます。 「この辺は車通りが多いのでご注意ください」など、注意をうながしたり「注意をしてほしい」と依頼をするときに使用することができます。
「ご留意ください」は「ごりゅういください」と読みます。 「留意」に尊敬を表す接頭語「ご」をつけた言葉が「ご留意」です。 「留意」は、「ある物事に心をとどめること」「気をつけること」という意味があり、「ある物事を心にとどめておき、常にそのことに気をつけること」というニュアンスで使用されます。 相手に「気に留めておいてほしい・配慮してほしい」と依頼をするときに使用される言葉です。 「お気をつけください」よりも堅い言葉で、ビジネスシーンなどかしこまった場面で使用するのに適しています。
「ご用心」は「用心」に尊敬を表す接頭語の「ご」をつけた言葉です。 「用心」の意味は「心を用いること」「困ったことにならないようにあらかじめ注意すること」です。 「火の用心」や「空き巣にご用心」というように、「気をつける」という意味で使用されます。 「用心」は、「気持ちを集中させる」という意味の「気をつける」や「注意する」よりも意味が狭く、使用される場面は限定的です。
「ご自愛ください」は「ごじあいください」と読みます。 「ご自愛」は「自愛」に尊敬を表す接頭語の「ご」をつけた言葉です。 「自愛」の意味は「自分の体を大切にすること」です。 「ご自愛ください」で、「あなた自身の体を大事にしてください」という意味になります。 「体調にお気をつけください」など、相手の健康を気遣う場合に「ご自愛ください」と言い換えることが可能です。
「お体に気をつけて」の最も一般的な英語表現は「Please take care of yourself.」です。 「Please take good care of yourself.」と言うこともあります。 この「good」は「よい」という意味ではなく、単なる強調です。 親しい友人には「Take care!」だけでもよいでしょう。 「Take care!」は「またね」という意味の別れの挨拶としても使われます。
「Stay safe!」という表現もあります。 この「stay」は「滞在する」という意味ではなく、形容詞と一緒に使い「〜のままでいる」という意味です。 有名なフレーズに、スティーブ・ジョブズ氏の「Stay hungry. Stay foolish.(貪欲であれ。馬鹿であれ)」がありますよね。 この「stay」も同じ用法です。「hungry」「foolish」はともに形容詞です。 「Stay safe」の直訳は「安全であれ」で、「安静にしてください」というニュアンスになります。