「お答えしかねます(おこたえしかねます)」は、答えることができないという意味です。ビジネスシーンで相手からの質問に対して答えられないという場合に「〜に関してはお答えしかねます」などと使います。
「お答えしかねます」は「おこたえしかねます」と読みます。 「お答えしかねます」の意味は「答えることができない」です。 「お答え」には「相手の質問などに対して、言葉を返す」という意味があります。 「〜かねます」は「〜することができない」の婉曲表現(遠回しにいう表現)で、「〜することが難しい」という意味です。 「難しい」ということは「不可能ではない」と解釈することもでき、人によっては「できるかもしれない」と捉える場合があります。しかし、ビジネスシーンで使われる場合はほぼ100%「できない」という意味で使われるので注意しましょう。
「お答えいたしかねます」は品詞分解すると「お」+「答え」+「する」+「かねる」+「ます」となります。 「答え」についている「お」は謙譲語の接頭辞です。
接頭辞「お(ご)」敬語の種類は文脈によって尊敬語・謙譲語・丁寧語のどれにもなります。
接頭辞の「お(ご)」は尊敬語と解釈されることが多く、自分の動作に対してつけることはできないと認識している人も多いですが、自分の動作につけた場合は謙譲語になるので自分が答える場合にも使うことがきます。 「ます」は丁寧語です。 したがって、「お答えしかねます」は謙譲語+丁寧語の正しい敬語表現です。
「お答えしかねます」は、相手からの質問に対して回答できないことを伝えるときに使います。 例えば、商品の製造方法についての問い合わせに対して企業秘密で答えられないと伝えるときです。
などのクッション言葉と併せて使うとより丁寧になります。 「お答えしかねます」は、口頭や電話だけではなくビジネスメールなど文章で使うことができます。
【件名】 商品「△△△」について 【本文】 株式会社あいうえお 総務部 高橋様 平素よりお世話になっております。 かきくけこ株式会社商品部の大谷です。 この度は弊社商品「△△△」に関するお問い合わせをいただきありがとうございます。 お問い合わせの回答なのですが、現在「△△△」は生産が追いついておらず販売を中止しております。 発売再開日に関しましては、現時点では未定であるためお答えしかねます。 お問い合わせいただいたのにも関わらずこのようなお返事となってしまい、誠に申し訳ございません。 今後とも弊社製品をよろしくお願い申し上げます。 大谷
【件名】 お問い合わせいただいた件について 【本文】 AAA株式会社 総務部 上田隆様 いつもお世話になっております。 株式会社BBBの切島瑛汰です。 この度は、お問い合わせいただき誠にありがとうございます。 お問わせいただいた件ですが、生産方法については企業秘密となるためお答えしかねます。 大変申し訳ないのですが、ご了承いただけますでしょうか。 その他に不明点があればお気軽にお問い合わせくださいませ。 今後ともよろしくお願い申し上げます。 切島
【件名】 お問い合わせに関する回答 【本文】 株式会社○○○ 営業部 三ツ谷様 はじめまして。 株式会社△△△の神田結衣と申します。 この度はお問合せいただきありがとうございます。 ご質問いただいた件ですが、現在担当者が不在のためお答えしかねます。 担当者が戻り次第すぐにご連絡いたします。 大変申し訳ないのですが、今しばらくお待ちいただきますようお願い申し上げます。 神田
「お答えいたしかねます」は、「答える」に謙譲語の接頭辞「お」をつけて「する」の丁重語「いたす」、丁寧語「ます」をつけた敬語表現です。 丁重語とは謙譲語Ⅱともいわれ、自分の動作をへりくだることで相手に敬意を示す点で謙譲語と同じですが、通常の謙譲語とは違い聞き手・読み手に敬意を示す敬語です。 「お答えしかねます」は謙譲語+丁寧語の敬語表現ですが、「お答えいたしかねます」は謙譲語+丁重語+丁寧語なので「お答えいたしかねます」のほうが丁寧です。
「お答えできかねます」は間違った日本語表現です。 「お答えできかねます」の「でき」は「できる」の連用形です。 「かねる」は動詞の連用形につくことで「〜することができない」という意味の補助動詞になります。 よって、「お答えできかねます」は「できる」を二つ使った二重表現になるため誤用です。 ただし、「お答えできかねます」は慣例的には使われることがあり、意味も通じますが、自ら使うのは避けた方がよいでしょう。
「お答えできません」または「お答えすることはできません」も正しい敬語表現です。 「お答えできません」は、「答え」に謙譲語「お」をつけて「できる」の連用形「でき」に丁寧語「ます」の未然形「ませ」と打ち消し「ん(ぬ)」をつけた敬語表現です。 答えることができないことを伝える表現の中では、一番直接的であるといえます。 目上の人や社外の人に使う場合は、「お答えしかねます」など婉曲的な表現が使うほうが丁寧です。
「ご回答」は「ごかいとう」と読みます。 「ご回答」には「質問・要求などに対して答えること」という意味があります。
「お教え」は「おおしえ」と読みます。 「お教え」の意味は「相手が知らないことを知らせる」です。
「ご承諾」は「ごしょうだく」と読みます。 「ご承諾」の意味は「相手の申し出や頼みを聞き入れること」です。 「ご承諾」と似た言葉には「ご了承」もあります。 「ご了承」は「ごりょうしょう」と読みます。 「ご了承」の意味は「事情を理解して承知すること」です。
「お応え」は「おこたえ」と読みます。 「お応え」の意味は「他からの働きかけに対して、それに沿うような反応を示す」です。 「期待にお応えする」などと使います。 「お答え」と「お応え」は同じ読み方ですが、「お応え」には「言葉を返す」という意味はないので注意しましょう。
「ご遠慮します」は「ごえんりょします」と読みます。 「ご遠慮します」の意味は、「自分の行為を控える」という意味です。 「遠慮」に謙譲語の接頭辞「ご」をつけて「する」の連用形「し」に丁寧語「ます」を付けた敬語表現です。 「今回はご遠慮します」などの形で、断る・やめるなどの婉曲な言い方になります。
「ご辞退いたします」は「ごじたいいたします」と読みます。 「ご辞退いたします」の意味は「権利などを受け取らず、引き下がる」という意味です。 「辞退」に謙譲語の接頭辞「ご」をつけて、「する」の丁重語「いたす」に丁寧語「ます」をつけた敬語表現です。 「ご辞退いたします」は相手に配慮をしながらも依頼や勧誘を断わるときに使います。 主に就職活動における面接や内定、ビジネスシーンでの昇進、その他受賞などありがたい話を断る場合によく使われる言い回しです。
「見送らせていただきます」は「みおくらせていただきます」と読みます。 「見送らせていただきます」の意味は「そうすることを次の機械まで待つ」です。 「見送る」に「させてもらう」の謙譲語「させていただく」と丁寧語「ます」をつけた敬語表現です。 「今回は出席を見送らせていただきます」などの形で使います。
「お気持ちだけ頂戴したく存じます」は「おきもちだけちょうだいしたくぞんじます」と読みます。 「お気持ちだけ頂戴したく存じます」は「気持ちだけもらいたく思う」という意味です。 「お気持ちだけ頂戴したく」は、「気持ち」に丁寧語の接頭辞「お」をつけています。 「存じます」は「思う」の丁重語「存ずる」に丁寧語「ます」をつけています。 「あなたの気持ちだけありがたく受け取る」という意味で、相手の好意を断る婉曲表現として使われます。
「私の一存では決められません」は「わたしのいちぞんではきめられません」と読みます。 「私の一存では決められません」は、「私一人の考えでは決められない」という意味です。 相手からの申し出や提案を断るときに使います。 例えば「私の一存では決められませんので、一度上司に相談させていただきます」などと使うことができます。
「なんとも申し上げられません」は「なんとももうしあげられません」と読みます。 「なんとも申し上げられません」は、「なんとも言えない」という意味です。 例えば「今の段階ではなんとも申し上げられません」などと使います。 この場合は「一度社に持ち帰り、検討させていただきます」などと検討して回答する旨を伝えることが多いです。