「洋楽」を正しく英語で言えますか?つい「western music」「European music」などと表現したくなりますが、これらではネイティブは理解してくれないかもしれません。「洋楽」の正しい英語を解説します。
「洋楽」の英語を和英辞典などで調べると必ずといっていいほど「western music」が出てきます。 しかし「western music」は「洋楽」という意味ではありません! アメリカ・カナダ(北米)で「western music」というと、「カントリーミュージック」を指します。 アメリカのカリフォルニア州のカウボーイやロッキーマウンテンなど西部劇が彷彿されます。 イギリス・オーストラリアなどでは、「western music」はそこまで「カントリーミュージック」のイメージはありません。 しかしながら、「西洋の音楽」という極めて漠然とした意味なので、「西洋って、アメリカ?イギリス?ドイツ?フランス?」「音楽って、クラシック?オペラ?管弦楽?現代音楽?ポップス?」と感じるイギリス人がほとんどでしょう。 「洋楽」という意味で「western music」を使用するのは避けた方がよいでしょう。
「European music」という訳もしばしば見かけますが、これも不適切です。 上記でも触れましたが、「European music」も意味が広すぎます。 ヨーロッパといっても、イギリスやドイツ、フランス、イタリア、スペイン、スウェーデンなどでそれぞれ違う音楽の文化が存在します。 ヨーロッパでは一国の中でも地域によって言語や文化、人種が大きく違う場合があります。 「European music」と欧州の音楽をひと括りにするのは、正しくない表現です。 音楽のカテゴリーまた学問の対象として「European classical music」という言い方はされます。 これは「classical music」と同義で、「ヨーロッパ発祥のクラシック音楽」というニュアンスです。
「foreign music」は「外国の音楽」という意味で、もっと漠然としています。 A「どんな音楽いつも聞くの?」 B「外国の音楽!」 A「外国ってどこ?音楽ってどんなジャンル?」 となるのが目に見えています。 さらに、自分が日本人の場合は日本以外の音楽が「foreign music」ですが、話し相手がアメリカ人の場合は日本の音楽が「foreign music」にあたるので、混乱を招く可能性もあります。 また、「foreign」は「国外の」というやや排他的なニュアンスをもつ語なので、筆者はなるべく使用しないようにしています。 特に「外国人」を意味する「foreigner」という使い方は要注意です。
「洋楽」の英訳として「import music」が紹介されることがありますが、これはそもそも「輸入音楽」の意味です。 インターネットが発達する前、洋楽はレコードやCDを外国から輸入して聴いていたことから、このように言われます。 しかし、現代ではYouTubeやSpotify、iTunesなどで簡単に世界中の音楽にアクセスできるので、この表現は古めかしくほとんど使用されません。 現代では音楽用語としての「import」は「輸入する」ではなく「取り込む」という意味で使うことが多いです。
How to import music from a computer to a smartphone
音楽をパソコンからスマホに移行する方法
英語では「洋楽」とあやふやに言わず具体的にどんなジャンルの音楽か言うのが普通です。 「どこの国の音楽か」よりも「どのジャンルの音楽か」を答える方が大切です。
など、たくさんあります。 西洋人に「I like hip hop.」といえば、自然と英語のヒップホップを聴いていると予想するでしょう。 「Which country's hip hop is that?(どの国のヒップホップ?)」と聞き返してくる人はまずいません。 むしろ西洋人には「I like Japanese hip hop.」と言った方が意外性があり、話が広がる可能性が大です。 「Japanese? What's it like?(日本語の?どんな感じ?)」「Really? I've never listened to. I'll try!(まじ?聴いたことないな。今度聴いてみる!)」といった具合にです。 筆者は上海でスイス人に「日本のロックを聴いている」と言ったら、「えー、日本のロック?」と眉をひそめて言われ、萎えたのを思い出しました。(話広がってない) あえて、国名をいうなら、「American pops」「UK rock」「K-pop」「J-pop」「C-pop」などとすればいいでしょう。 「K-pop」という言い方が浸透している時点で、「pop」=「American」という認識が英語圏にはあるわけで、あえて国名をいう必要がないのが改めて感じられます。
「洋楽」を「English songs」と言い表すことも可能です。 ただしネイティブが「English songs」と聞いたら「子供が英語の勉強のために聴く英語の歌」または「外国人が英語学習のために聴く英語の歌」を連想するでしょう。 「英語学習」という文脈ならば「洋楽」の意で「English songs」を使ってもよいですが、普通の会話ではおかしいので注意しましょう。
I am studying English by listening to English songs.
洋楽を聴いて英語の勉強をしている。