「よろしい」は「よい」の改まった言い方で、「主観的にみて優れていること」を言い表します。目上の人には、体調や都合を聞いたり許可を求めるときに疑問文で使用します。自分が評価する時に肯定文で使うことはできません。
「よろしい」は「よい」を丁寧に言う語です。 「よい」は「客観的にみて優れていること」を言い表します。 「よろしい」は、「寄る」の派生語「ヨラシ」が転じた言葉で、「主観的にみて優れていること」を言い表します。 「よろしい」の方が消極的な判断にあたり謙虚なニュアンスが強く、「よい」より改まった言い方とされます。
「よろしい」は漢字で「宜しい」と書きます。 「宜」が訓読みで「よろしい」と読みます。 ただし、「よろしい」は常用外読みです。 常用外読みとは、常用漢字表に載っていない読み方のことをいいます。 常用外漢字表に載っていない読み方の漢字は、新聞や公的文章では使用されません。 「よろしい」と平仮名で表記するのが一般的です。
「よろしい」は、「よい」の言い換えとして使用します。 「よい」を「よろしい」にすることで丁寧な気持ちや古風な印象を添えるため、目上の人に使っても失礼ではありません。 例えば、目上の人に体調や都合を聞くときに疑問文で使用することができます。 ただし、「よろしい」は肯定文で使うとき「よい」よりも低い評価になります。 評価をするときには、目上の人への使用は避けるべきです。 「よろしい」に丁寧語の「です」を付けて「よろしいです」と敬語表現にしても、目上の人の評価では使えません。 また、「必要ない」「どうでもよい」の意で使う場合も、もちろん目上の人には使えないので注意しましょう。
「よろしい」の例文
「よろしい」は、自分とは同等の人間、もしくは部下など自分より目下の相手に「差し支えない」「認められる」と許可を出すときの返事として使用することができます。 ただし、肯定文では上から目線なので目上の人に対して使うことはできません。 目上の人に対しては「差し支えありません」や「問題ありません」のほうが適しています。 「よろしい」は、疑問文で自分が目上に許可を求めるときは使用することが可能です。 「よろしいですか」でも正しい敬語ですが、「よろしいでしょうか」の方が推薦されています。
許可を出す「よろしい」の例文
「よろしい」は、「〜をしてほしい」など依頼をされたときの承諾で使用することもできます。 この場合の「よろしい」は、「わかった」などの意で使用されます。 ただし、これも尊大な印象を与えるので、目上の人には使うべきではありません。 「よろしゅうございます」とすれば目上に使えますが、これは慇懃無礼(丁寧すぎて失礼)にあたるためビジネスシーンでは使用しない方がよいでしょう。 目上の人の対して承諾する場合は「承知しました」「承知いたしました」などで十分です。
感嘆詞の「よろしい」の例文
「うまい」の意味は、
です。 例えば「味がよろしい」は「味はうまい」と言い換えることができます。 また、技術などが優れていると評価する場面でも「うまい」と言い換えることが可能です。
「上手」の意味は
です。 一つ目の意味で「よろしい」と言い換えることができます。
「巧み」は「たくみ」と読みます。 「巧み」の意味は「手際のよいこと」です。 上手であること、技巧であることを言い表します。
体調などを聞くときに使用する「よろしい」は、「いかがでしょうか」と言い換えることが可能です。 「いかがでしょうか」は「どう」の丁寧な言い方である「いかが」に、断定の助動詞「です」の未然形「でしょ」に、推量の助動詞「う(む)」と疑問の助詞「か」をつけた敬語表現です。 相手の現在の気分や状態、感想などを尋ねるときに使用することができる正しい敬語表現です。
許可を求めるときに使用する「よろしい」は、「構いませんか」「可能でしょうか」に言い換えることができます。
「構いませんか」は、「構う」の否定形「構わない」に丁寧語「ます」の未然形「ませ」に打ち消しの「ぬ(ん)」と疑問の「か」をつけた敬語表現です。 「構いません」が「気にしない」「差し支えない」という意味なので、「構いませんか」は、「差し支えないですか?」と相手に許可を求める表現になります。 ただし、「構わない」という表現は目上の人に対して使用するには偉そうな印象を与えます。 目上の人に許可をとるときに使用するのであれば、「よろしいでしょうか」のほうが適しています。
「可能でしょうか」は、「可能」に断定の助動詞「です」の未然形「でしょ」に、推量の助動詞「う(む)」と疑問の助詞「か」が付いたものです。 例えば、「〜することは可能でしょうか」ということで、柔らかく相手に許可を求めることができます。
「よろしい」の英語表現は、文章によって多様です。 例文で紹介していきます。
It's pretty good.
大変よろしい。
All right, I'll pick her up.
よろしい、私が彼女を迎えに行きます。
You may go now.
もう行ってよろしい。
It is not appropriate for children.
子供にはよろしくない。
Would a coffee be good for you?
コーヒーでよろしいですか。
Have you recovered yet?
お体の具合はよろしいんですか。
「よろしい」は、「よい」の改まった言い方です。 しかし、「よろしい」には、「差し支えない(許可・許容)」「それなりによい(「よい」より低い評価)」というニュアンスがあり、自分が許可を求める疑問形以外では目上の人に対して使うことはできません。