「拝察申し上げます」は「心情や事情を察する」という意味の敬語表現です。今回は「拝察申し上げます」の意味や敬語、使い方などを解説します。
「拝察申し上げます」は「はいさつもうしあげます」と読みます。 「拝察いたします」の意味は「拝察する」です。 「拝察」には「他人の気持ちや事情を推し量る」という意味があります。 「申し上げる」の意味は「~する」です。
「拝察申し上げます」は品詞分解すると「拝察」+「申し上げる」+「ます」となります。 「拝察」は「推察する」の謙譲語です。 「申し上げる」は謙譲語です。 「申し上げる」は本来「言う」の謙譲語ですが、「ご〜申し上げる」で「する」という意味の補助動詞になります。 補助動詞「申し上げる」は謙譲語について、謙譲の意味合いを強めます。 例えば「ご説明申し上げる」などと使うことができます。 二重敬語(一つの語に対して同じ種類の敬語を重ねること)ですが、慣例的に使われており、間違いとは言い切れません。 しかし「ご説明する」「ご説明いたす」「説明申し上げる」だけでも正しい謙譲表現なので、クドい印象を与える場合はあります。 「拝察申し上げます」もまたしかりで、「拝察する」「拝察いたします」としても正しいです。 ちなみに、補助動詞は平仮名で表記するという決まりがあります。 本来は「拝察もうしあげます」と書くのが正しいですが、慣例的に「拝察申し上げます」と漢字で書くことが多いです。
「拝察申し上げます」は挨拶文で使います。 例えばお礼状の文頭で「ご清栄のことと拝察申し上げます」などと使います。 お礼状だけではなく、祝い状などでも使うことができます。 また、ポジティブな内容だけではな、お悔やみ状やお見舞い状などネガティブな内容でも「ご傷心を拝察申し上げます」などと使うことができます。 文章で使われることが多いですが、葬儀や式典のスピーチなどで口語としても使います。
例文
「拝察します」「拝察いたします」も「拝察する」という意味の正しい敬語表現です。 「拝察します」は品詞分解すると「拝察」+「する」+「ます」となります。 「拝察」は謙譲語、「ます」は丁寧語です。 正しい敬語表現ですが、「申し上げる」使ったた「拝察申し上げます」のほうが丁寧です。 「拝察いたします」は、品詞分解すると「拝察」+「いたす」+「ます」となります。 「拝察」は謙譲語で、「いたす」は「する」の丁重語、「ます」は丁寧語です。 丁重語とは謙譲語Ⅱともいわれ、自分の動作をへりくだることで相手に敬意を示すという点で謙譲語と同じですが、通常の謙譲語とは異なり聞き手・読み手に敬意を示す敬語です。 「拝察します」を丁重語を使った「拝察いたします」とすると、より丁寧になりまう。
「ご拝察いたします」「ご拝察申し上げます」は二重敬語です。 「拝察」についている「ご」は接頭辞です。 接頭辞「ご(お)」は、尊敬語・謙譲語・丁寧語のどれにもなります。 この場合の接頭辞は、自分の動作に対して使っているので謙譲語です。 つまり「ご拝察」は謙譲語の「ご拝察」にさらに謙譲語の接頭辞をつけているということになります。 したがって、「ご拝察いたします」「ご拝察申し上げます」は二重敬語であり誤った敬語表現です。
「拝察」を「拝察してください」などの形で、依頼で使うことはできません。 上述したように「拝察」は謙譲語です。 謙譲語は自分の動作をへりくだる敬語表現なので、相手の動作に対して使うことはできません。 相手が推察することに対しては、「賢察(けんさつ)」または「高察(こうさつ)」を使います。 「賢察」は「ご賢察」の形で「相手が推察すること」という意味の尊敬語になり、「何卒ご賢察のうえ、ご配所いただきますようお願いいたします」などと使います。 「高察」も「他人の推察」尊敬語です。
「お察し」は「おさっし」と読みます。 「お察し」は「察する」に謙譲語「お」をつけた言葉です。 「お察し」の意味は「状況や雰囲気から推し量って、事情をそれと知ったり、他人の気持ちなどを推し量ること」です。 「お察しする」「お察しします」「お察しいたします」などの形で、「拝察」と言い換えることができます。 「察する」は、「あっ、、(察し)」などと、ネットスラングとしても使われています。
「ご推察」は「ごすいさつ」と読みます。 「拝察」は「推察すること」の謙譲語なので、意味は同じです。 「推察」という言葉自体は敬語ではないので、敬語表現にするには接頭辞の「ご」をつける必要があります。
「恐察」は「きょうさつ」と読みます。 「恐察」は「推察すること」の謙譲語です。 「恐れ多くも推察を申し上げる」という意味合いで使われます。