「拝察」という言葉をご存知でしょうか。「拝察いたします」「拝察申し上げます」などとよく使われています。にそこで今回は「拝察」の意味やビジネスでの使い方を例文付きで解説します。また、「察する」の尊敬語「ご賢察」についても解説します。類語や英語表現も紹介しますので、是非参考にしてみてください。
「拝察」は「はいさつ」と読みます。
「拝察」は「察すること、人の心中などを推測すること」の謙譲語です。 「拝」は「拝む(おがむ)」ことを表す言葉なので、謙遜の気持ちを表すときに使います。 謙譲語とは、目上の人に対する自分の行為をへりくだって言う敬語です。
「拝察」ということ自体が敬語なので、敬語の接頭語「お・ご」を付けると二重敬語になってしまい間違った日本語になってしまいます。 ちなみに、接頭語「お・ご」は文脈によって、尊敬語・謙譲語・丁寧語のどれにでもなりうる敬語です。
「拝察」は謙譲語なので、自分の動作に対して用います。 目上の人の動作を敬う尊敬語「される」を付けて「拝察される」「拝察されましたか」などとするのは誤用ですので注意しましょう。 「拝察」の尊敬表現は後述いたします。
二重敬語とは、同じ語に対して同じ種類の敬語を2つ以上使用することをいいます。 「拝察いたします」は「拝察」と「する」が別々の語であり二重敬語ではない、といった見解がありますが「拝察する」の「する」は補助動詞であり「拝察」を修飾するため「いたす」にしてしまうと二重敬語になります。 「拝察申し上げます」も「拝察」と「言う」で別々の語であり二重敬語ではない、といった見解がありますが「申し上げる」は動作性の名詞につく場合は補助動詞となるため二重敬語となります。 ただ、ビジネスシーンで「拝見いたします」「拝見いたしました」は頻繁に使用されています。 二重敬語は回りくどい印象を与えてしまうため良くないとされていますが、使っても問題ありません。
「拝察しております」は判断が難しいですが、厳密には二重敬語になります。 「しております」は「している」の丁重語になります。丁重語は謙譲語の一種です。 「している」は「する」と同様に補助動詞で「拝察」に修飾しているため、二重敬語になります。 ただ「拝察しております」も一般的に使われており、慇懃無礼な印象を受ける人は少なくなっています。
「ます」は丁寧語になります。 そのため「拝察します」は謙譲語+丁寧語で正しい敬語表現になります。 「拝察いたします」なども絶対に使っていけないわけではありませんが、「拝察します」が正しい言い回しであることは覚えておきましょう。
「拝察」は、相手の状況を推察する場合と相手の気持ちを思いやる場合に使います。 「拝察」はかしこまった場面で使うことが多く、式典の挨拶やお役所関連の文書、お礼状やお悔やみ状などでも用います。
「ご賢察」はごけんさつと読みます。 「賢察」は相手の推察の尊敬語のため「ご賢察」は厳密には二重敬語になります。 しかし「ご賢察」は最上級の敬語表現と捉えるのが自然です。 また「賢察」は尊敬語なので、「賢察する」「賢察いたします」などと自分に対しては使えません。 自分に対しては「拝察」、相手に対しては「賢察」を使うと覚えておきましょう。
「ご高察」はごこうさつと読みます。 意味は「高い推察力」つまり、「すぐれた推察力」という意味があります。 そのため「ご高察」は相手を褒めるニュアンスの強い言葉なので、依頼する場面では「ご賢察」を使用したほうが自然とされています。
「推察」は「事情や相手の心中をおしはかること」「おもいやること」を意味します。 「推察」は敬語表現ではないため、自分に対しても相手に対しても使うことができます。 目上の相手に使う場合は「ご推察」と敬語にして用いることができます。
「推察」の意味は「拝察」と同じになりますが、敬語ではありません。 そのため目上の相手には「拝察」を使うようにしましょう。 また「推察」は「ご推察」とすることで尊敬語として使うこともできます。
例文
「恐察」はきょうさつと読みます。 意味は「拝察」と同じで「推察することの謙譲語」で、漢字の通り「恐れ多くも推察する」ということになります。 ただ一般的にはあまり使われていません。
例文
「推測」はすいそくと読みます。 意味は「ある物事や情報を基にして、おしはかって考えること」で、『こうではないか』『◯◯では?』とあれこれ考えるという場合に使います。 そのため人の気持ちを察するといった意味合いはありません。 また「推測」は敬語ではありません。
例文
「察する」は「推測すること」「本当の意図を汲み取ること」を意味します。 また、「察する」には「相手の気持ちをおしはかって同情する」という意味も含まれます。 「拝察」と同様に、相手の気持ちや状態を推察し思いやる場合に使います。 ただ「お察しします」はビジネスシーンよりも、お悔やみごとや相手に悲しいことや辛いことがあった場合に用いられます。
例文
思う (意味:ある物事について考えをもつ、予想する) 「この車はいくらだと思う?」 考える (意味:関係する事柄や事情について、あれこれと思いをめぐらす。予測する) 「考えた通りに事が運ぶようになる」 推量 (意味:物事の状態・程度や他人の心中などをおしはかること) 「君の推量は的外れである」 推し量る (意味:ある事柄をもとにして他の事柄の見当をつける) 「彼女の胸中を推し量る」
「拝見」ははいけんと読みます。 「見る」の謙譲語で、自分が見る動作をへりくだって言うときに使う言葉です。 「拝」には「謹んで」という意味があるため、謙遜の気持ちを表すときによく使います。
例文
「拝覧」ははいらんと読みます。 意味は「拝見」と同じで「見るの謙譲語」となり「謹んで見ること」です。 ただ、「拝見」は見ること全般に使うことができる言葉ですが「拝覧」は主として宗教関係の建物や美術品などを観覧・鑑賞する場合に使用します。
例文
「拝読」ははいどくと読みます。 「読む」の謙譲語で、自分が読む動作をへりくだって言うときに使う言葉です。 「拝読する」は「メールや書類を読んだ」という意味になります。 また「拝読」はその読み物を書いた本人に対しても敬意を示すことができます。
例文
「拝聴」ははいちょうと読みます。 「聞く」の謙譲語で、自分の聞くという動作をへりくだって言うときに使います。 ただ口頭ではあまり使わず、主に文語で使われています。
例文
「拝受」ははいじゅと読みます。 「受ける」の謙譲語で、自分の受けるという動作をへりくだって言うときに使います。 ビジネスシーンではよく使われる言葉ですので、覚えておきましょう。
例文
ー「拝受します」
「拝謁」ははいえつと読みます。 「拝謁」の意味は、「身分の高い人や目上の人に会うことをへりくだっていう語」です。 「お目にかかる」よりもさらに丁寧にした表現となります。
例文
「拝啓」ははいけいと読みます。 主に手紙で用いられ、「伏して(挨拶して)申し上げます」ということになります。 一般的な手紙でも用いられていますが、ビジネスシーンにおける手紙や文書でも用いられています。
例文
「拝察」の英語表現を考えていきましょう。 英語には謙譲語という概念はないので、「察する」の英語を考えればよいことになります。 「察する」は英語で、
などを使えばOKです。 しかし、日本語の「貴社ますますご清栄のことと拝察いたします」のような表現は英語にはありません。
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「拝察」について理解できたでしょうか? ✔︎「拝察」は「はいさつ」と読む ✔︎「拝察」は「察すること」の謙譲語 ✔︎「拝察」は、相手の状況や気持ちを思いやる場合に使う ✔︎「拝察」の尊敬語は、「ご賢察」「ご高察」などがある