「所存」の意味と使い方は知っていますか?「◯◯する所存です」などの形でビジネスシーンで見聞きしたことある人も多いと思います。「所存」は敬語なので使い方を間違えると相手に違和感を与える可能性があるので気をつける必要があります。また類語・言い換えで「意向」「次第」「所在」などの言葉がありますので、違いと使い分けをしっかり解説していきます。
「所存」は「しょぞん」と読みます。 「しょそん」は誤読になるので注意しましょう。
「所存」は、「心中に思うところ・思惑・考え」という意味です。 「所存」は「存ずるところ」を省略した表現で、「存ずる(ぞんずる)」は、「知る」「承知する」の謙譲語です。そのため「所存」は「思う」の謙譲語になります。 「所存です」と言う場合は、「〜するつもりです」「〜したいと思っています」といった意味合いになります。 「所存」は「思います」「考えます」と同義ですが、「思いを常に持ち続けている」「思いを常に持ち続けたい」といったニュアンスを持つため、自分の考えや思いを伝える際は「所存です」と使う方が適切です。
「所存」は、「〜する所存です」「所存でございます」「所存の外」といったように使います。 「所存の外」は、「考えていたこととは違っていること・意外なこと」を意味しています。 「所存」は、決意や意向を伝える際に使用するのが適切です。 例えば、
といったような場面で使います。
「所存」は、日常会話ではなく、改まった言い方として書簡文などで用いる言葉です。 ビジネスシーンでは「思います」と使っても問題ありませんが、少々軽い感じの表現です。そのため、堅い挨拶をしたり、ビジネス文書で使う際は「思います」の代わりに「所存」を使うのが無難です。 「所存」は、謙譲語です。謙譲語は、自分の動作をへりくだって表現するので目上の相手に敬意を示します。相手に対してへりくだった表現になるので、大抵目上の相手に使用します。
履歴書などの志望動機でも、「所存」を用いることができます。 そのような場合は「〜に尽力する所存です」といったように使います。
「所存」を使用する上でいくつかの注意点があります。
「所存」を丁寧にしようと「ご所存」と言ってしまう場合がありますが、これは間違いになります。 「所存」は謙譲語になるので、謙譲を表す「ご」を付けて「ご所存」にしてしまうと二重敬語になってしまいます。 二重敬語であっても慣例的に使われる言葉も場合によってはありますが、なかには違和感を感じたり、失礼だと感じてしまう人もいるので注意が必要です。
「〜と思う所存です」や「〜と考えていく所存です」は誤りになります。 なぜなら「所存」は「思うこと・考えること」を指しているため、二重表現になるからです。 二重表現とは、「筋肉痛が痛い」や「本を読書する」といったように、同じ意味の語を重ねる表現のことです。 例えば、「私は彼女の提案が良いと思う所存です」といった場合、「私は彼女の提案が良いと思い思います」といった意味で、明らかにおかしい表現になってしまいます。 「所存」を使用する際は、「考える」や「思う」といった言葉を補足しないように注意しましょう。
「所存」は謙譲語なので、自分をへりくだって相手を立てるときに使います。 謙譲語は自分を主語として使うので、相手側を主語としては使えません。 相手が「考える・思うこと」を表すときではなく、自分が「考える・思うこと」を伝えるときに使うのが適切になります。 例えば、「皆様の所存を聞かせていただけませんか」は、主語が自分ではなく皆様になっているので間違いになります。正しくは「私は〜所存でございます」「私の所存は〜でございます」と使います。
本日よりこちらに配属になりました山田と申します。まだ環境の変化に追い付けず、ご迷惑をおかけすることもあると思いますが、精一杯皆さまから学び、一日も早く追いつけるように努力する所存でございます。何卒ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。
この度は当社のサービスに不備があったことでご迷惑をおかけすることになり、大変申し訳ございませんでした。貴社に多大なるご迷惑をおかけしたこと、謹んでお詫び申し上げます。今後はこのような不手際のないよう、十分に注意してまいる所存でございます。どうか今後とも変わらぬご愛顧のほどを、心よりお願い申し上げます。
志望する職種・業界の経験はありませんが、学生時代に趣味で◯◯のスキルを身に付け、現在も時間があれば自主的に勉強を続けています。そのスキルは、今回の職種における△△の業務にも活かせるスキルだと知り、未経験ながら御社のお役に立てるものと考えています。専門的なスキルは入社後に教わる部分も多いですが、一日も早く戦力となれるよう努力していく所存でございます。
▶「所存」・・・自分の考えを指している ▶「意向」・・・相手側の考えを指している
「所存」と「意向」は共に、「考え・思い」を表す言葉になります。 「所存」と「意向」の違いのポイントとしては、「誰の考え・思い」かということです。 「所存」は、自分の考えを指しているのに対して、「意向」は、相手側の考えを指しています。 「所存」は謙譲語のため、目上の相手に対して自分の考えを伝える際に使い、 「意向」は敬語ではないため、目上の相手に対して使う際は「ご意向」とします。 目上の相手に対して使う場合は、「私の意向としては〜」と使うよりも「私の所存は〜でございます」と使った方が適切になります。 自分の考えを目上の方に伝える際は「所存」、相手の考えを伺う場合は「意向」を使用しましょう。
<「所存」と「意向」の正しい使い方>
(誤)「社会貢献に尽力する意向です」
(誤)「そちらのご所存に沿うよう調整いたします」
(誤)「今後も精進していく意向です」
「意向」は、「どうしたいか、どうするつもりなのかという考え」を意味しています。 「意向」は「心の向かうところ」と書くように、「考えの方向性」や「本心」といった意味合いになります。 「意向」は敬語ではないので、目上の相手に対して使う場合は丁寧を表す接頭語「ご」を付けて「ご意向」とします。「ご意向」は、「その人が物事をどう対処するか、どうするつもりなのか」という意味で使います。
「意向」は「◯◯の意向」といった形で使います。「意向」の前には「誰の考え・思惑か」ということを表す言葉が入ります。例としては「先方のご意向」「上層部の意向を受け」「上司の意向を踏まえて」といったようになります。 また「私の意向」「我々の意向」といったように、自分自身に使う場合は「ご」を付けず「意向」のまま使います。「意向です」「意向でございます」といった使い方はしません。
「意向」の例文を紹介します。
▶「所存」・・・自分の考えを伝える際に使う表現 ▶「次第」・・・物事の報告や説明をする際に使う表現
「所存」と「次第」は似たような言葉ですが、意味は全く違います。 「所存」は自分の考えを伝える際に使う表現で、「次第」は物事の報告や説明をする際に使う表現になります。 自分の意志を相手に伝えたい場合は、「次第です」と言うよりも「所存です」と言った方が適切です。
<「所存」と「次第」の正しい使い方>
(誤)「電車が遅延したため、出社が遅れた所存です」
(誤)「精一杯仕事に取り組む次第です」
(誤)「近日中にご挨拶に伺う次第です」
「次第(しだい)」という言葉には名詞と接尾語(語基の後ろに付く語)の2つの品詞があります。 「次第」のそれぞれの品詞の意味をまとめると、 名詞「次第」の意味
接尾語「次第」の意味
となります。
職場では、原因や理由、状況、経過などを報告する場面がたくさんあります。そんなときに便利でよく使う言葉が「次第」です。 ビジネスシーンで「〜という次第です」「〜を実施した次第です」などと使う場合の「次第」の意味は「事情、状況」という意味です。基本的に立場の上の人に対して使います。 「〜という状況です」「〜という事情です」などと言ってももちろん問題ありません。が、「次第」の方が堅い言葉なので、ビジネスシーンにはより適切です。 顧客や上司など目上の立場の人に対して「〜したわけです」「〜となっています」を使うのはフランク過ぎるので避けた方がよいでしょう。 「会議次第(議事次第)」という言葉も職場であるかもしれません。この「次第」は「順序」の意で、「会議や会合の進行する順番のこと」を指します。
「次第」の例文について紹介します。
▶「所存」・・・自分の考えを伝える際に使う表現 ▶「所在」・・・物や人が存在すること・行為に使う表現
「所存」と「所在」は全く意味が違います。 「所存」は自分の考えを伝える際に使う表現で、「所在」は物や人が存在すること・行為に使う表現です。例えば、「責任の所在」と使うことができますが、「責任の所存」とは使うことができません。 「所存」と「所在」は間違えないように気をつけましょう。
「所在(しょざい)」とは、
を意味しています。 「所」は「場所・ところ」を、「在」は「そこにある・いること」を表しています。
先程も説明しましたが「所在」は物や人が存在すること・行為に使う表現です。 よく使われている「県庁所在地」は「県庁が存在する場所」といった意味で使われています。 また「所在ない」という言葉がよく使われます。 「所在ない」は、「やることがなく退屈である・手持ち無沙汰である」という意味で、「所在ない〜」や「所在なく〜する」といった形で使います。
「所在」の例文を紹介します。
▶「所存です」・・・「〜をしたいと思っています」「〜という考えがあります」などの謙譲語 ▶「存じます」・・・「思います」「知っています」の謙譲語
「所存」は「存じるところ」といった意味なので、「所存」と「存じます」は似た意味を持ちます。 ですが、「存じます」は自分の思っていることや知っているということを伝える場合に使いますが、「所存です」は「〜をしたいと思っている」などただ思っていることを話すというよりも決意表明に近い言い回しとなっています。
「存じます」は「思います」「知っています」の謙譲語になります。 「存じる」が「思う」「知る」の謙譲語で、それに丁寧語の「ます」を付けた敬語です。
「存じます」は謙譲語なので目上の相手にも使うことができます。 「知っています」という意味で使う場合は「存じ上げます」が主に使われています。ただし、「上げます」を用いる場合は、「知っている」対象が「人」に限定されます。 「○○様のことは存じ上げております」などと使います。 物事には使われないので注意しましょう。その場合は「その件は存じております」など使いましょう。
「お忙しいことと存じますが、よろしくお願いいたします」 「再度ご連絡いただければと存じます」 「そこまで話が進んでいたとは存じませんでした」
「__する所存です」「__する意向です」「__する次第です」「__する所在です」はどれも「will」を使って表現可能です。 「will」は学校では「未来」という意味だと習ったと思いますが、主語が第一人称のときの「will」は「強い決意」を表します。 ですから、「will」で「所在」というニュアンスをちゃんと表現することができます。
I will put more and more efforts into solving this problem.
この問題解決のために一層努力していく所存です。
ちなみに、「constantly strive to __ 」は「__するために常に努力する」という表現もあります。ホテルなどで使われる定番フレーズですので、ぜひ覚えておきましょう。
We will constantly strive to improve our service.
サービス向上のため努力していく所存です。
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「所存」について理解できたでしょうか? ✔︎「所存」は「心中に思うところ・思惑」という意味で、「思う」の謙譲語になる ✔︎「所存です」は、「〜するつもりです」「〜したいと思っています」という意味合いになる ✔︎「ご所存」や「〜と思う所存です」は誤り ✔︎「所存」は自分の考えを指しているのに対して、「意向」は相手側の考えを指す ✔︎「所存」は自分の考えを伝える際に使い、「次第」は物事の報告や説明をする際に使う