「既成事実(きせいじじつ)」の意味は「すでに起きてしまっていて、今更変えることができない事柄」です。「すでに世にある」という意味の「既成」と、「本当にあったこと」を意味する「事実」が組み合わさったものです。仕事や恋愛などで「既成事実を作る」「既成事実化する」などと使います。
「既成事実」の読み方は「きせいじじつ」です。 「既」は音読みで「キ」、「成」は音読みで「セイ」、「事」は音読みで「ジ」、「実」は音読みで「ジツ」と読みます。 「既成」の同音異義語には「既製」「規制」「帰省」「寄生」があります。
「既成事実」の意味は「事実として認めるべき事柄」です。 すでに起きてしまっていて、今更変えることができない認めるべき事柄のことをいいます。 「既成事実」は「既成」と「事実」の二つの熟語を組み合わせた言葉です。 「既成」は「既に(すでに)成り立っている」と、「事実」は「実際にあった事柄」です。 「既成の事実」としても同じ意味になります。 「事実」と「既成事実」には違いがあります。 「事実」は、ただ実際に起った事柄や、実際に存在する事柄を指します。 「既成事実」は、実際に起きている事柄で、かつ誰もが認めざるを得ないことをいいます。 ただ起きているだけの事柄に対して「既成事実」ということはできません。
「既成事実」は、仕事や恋愛で使用されます。 例えば、ビジネスシーンなら、あるプロジェクトでリーダー的な振る舞いをしている人がいた場合、その人に肩書を正式には与えていなくても、その人がリーダーであることが既成事実になってしまう場合があります。 このように周りが議論などを通じて納得し、正式に認めたわけではないのに、すでに発生していることから事実として認めなくてはならないことを「既成事実」といい、ネガティブなニュアンスで使います。 恋愛において、お付き合いをしていたとしても二人の関係は見ただけではわかりません。 そこで二人が恋人の関係であることの証拠となるものが「既成事実」になります。 恋愛において既成事実になるのは「子供」です。 例えば、両親に結婚に反対されている恋人同士が子供という既成事実を作り、入籍を認めざるをえない状況にしたり、略奪愛では相手を恋人と別れさせるために既成事実を作るということもあります。 離婚においては、どちらかが離婚を拒否していても、別居していれば夫婦関係が破綻しているという既成事実となり離婚が認められます。
「既成事実」は、「既成事実である」「既成事実を作る」などと使います。
で「〜は認めざるを得ない事柄だ」ということを言い表します。
は「認めざるを得ないこととして認識する」という意味です。
は「誰もが認めざるを得ない状況を作る」という意味で使用されます。
例文
「既成事実化する」は、「すでにある実像を誰もが認めざるを得ない状態に変える」という意味です。 0から事実を作り上げるのではなく、元からあるものを改めて事実として認める状況に変化させることをいいます。 例えば会社のオリジナルキャラクターを、実際に様々な商品のデザインの中に取り入れて世間一般的にこの会社のキャラクターだという認識を強めていくことが「既成事実化」です。
例文
「既成事実」以外にも「既成」を使った四字熟語には、「既成概念」「既成作家」「既成政党」「既成道徳」などがあります。 「既成概念」は、「きせいがいねん」と読みます。 「既成概念」の意味は「事者に関して、すでにでき上がり動かしがたいものと一般的に考えられている性質」です。 「そういうものだ」と定着している認識や考え方の枠組みのことをいいます。 「既成作家」は「きせいさっか」と読みます。 「既成作家」の意味は「名を成した作家」です。 すでに社会的な地位、または文学上の地位を確立している作家のことをいいます。 「既成政党」は「きせいせいとう」と読みます。 「既成政党」の意味は「議席を持っている政党」です。 すでに、特定の政治思想をもって存在し、活動をしている政党のことをいいます。 「既成道徳」は「きせいどうとく」と読みます。 「既成道徳」の意味は、「一般の通年となっている道徳」です。 現実に社会一般に通用している道徳的判断や習慣のことをいいます。
「既成事実」の類語には、「厳然たる事実」「れっきとした事実」「客観的事実」があります。 「厳然たる事実」は「げんぜんたるじじつ」と読みます。 「厳然たる事実」の意味は「確固として動かしがたい事実」です。 否定しようにも否定できない厳しい事実をいいます。 「れっきとした事実」の意味は「疑念の余地がないほど確実な事実」です。 「歴」は「歴々」「歴然」という言葉があるように、「はっきりとしていること、明白なこと」を意味します。 ある人や物事が、周りからそれであると明確に認められるさまを表します。 「客観的事実」は「きゃっかんてきじじつ」と読みます。 「客観的事実」の意味は「誰もがそうだと納得できるような事実」という意味です。 第三者からみても確かにそうだと認められる事実を言い表します。 ただし、「既成事実」が必ずしも「厳然たる事実」「れっきとした事実」「客観的事実」とは限りません。
「恒常化」は「こうじょうか」と読みます。 「恒常化」の意味は「一定して変わらないことにする」です。 常にそうであって当然であると周囲に認識させることをいいます。 「既成事実」は「誰もがそうであると認めざるを得ない事実」です。 「恒常化」は、「常にそうであることが当たり前の状態にすること」です。
「事後承諾」は「じごしょうだく」と読みます。 「事後承諾」の意味は「ことがおわった後での承諾」です。 承諾を要する事項を、承諾なしに行い、関係者がそれに対して後で承諾を与えることをいいます。 承諾を得る前に先にしてしまうことで、承諾をするより他ないという状態にしてしまうという半ば強制的な手段であるといえるでしょう。 「認めざるを得ない」という状況を言い表す言葉なので「既成事実」の類語です。
「現状追認」は「げんじょうついにん」と読みます。 「現状追認」の意味は「起こっていることを事実と認めること」です。 「現状」は「現在の状態」、「追認」は「過去に遡って事実を認めること」です。 既に起こっていることを認める、受け入れるという意味では、「既成事実」の類語であるといえます。
「逸事」は「いつじ」と読みます。 「逸事」の意味は「世に知られていない事実」です。 世間一般的にはしられていない、隠れた事実をいいます。 世間一般には知られていなくても、事実であることを言い表す言葉なので「既成事実」の類語にあたります。
「ファクト」は「事実。実説」という意味のカタカナ語です。 「この情報はファクトである」というように、ビジネスシーンで事実であることを伝えるときによく使用されます。
「既成事実」は「誰もが認める事実」という意味なので、「世の中に認められていない事実」というニュアンスの言葉が対義語にあたります。 しかし、そういったニュアンスをもつ言葉は存在しないため「既成事実」の対義語はありません。
「既成事実」の英語は「fait accompli」です。 「フェイト・アカンプリ」と発音します。 元々フランス語なので、複数形にするときは「faits accomplis」と両方の単語にsを付けます。
The rule change was presented to us as fait accompli.
規則の変更は既成事実として我々に伝えられた。
和英辞典で調べると「既成事実」の英訳として「existing fact」「accomplished fact」などが紹介されますが、このような言い方はネイティブはほとんどしません。 「既成」と「事実」をそれぞれ直訳して、組み合わせたにすぎません。 それならば、単に「fact」といえばよいでしょう。
「既成事実」の意味は「事実として認めるべき事柄」です。 すでに起きてしまっていて、今更変えることができない認めるべき事柄のことをいいます。 「既成事実」は仕事や恋愛で使います。 主な言い回しは「既成事実である」「既成事実を作る」などです。 「既成事実」の類語は「厳然たる事実」「れっきとした事実」「客観的事実」など。