「推し」とは「一推しのメンバー」を意味する「推しメン」をさらに略した表現です。「アイドルグループの中で一番応援しているメンバー」を意味します。AKB48が台頭した際に一般的に広まった表現です。現在ではアイドルだけではなくあらゆる人やモノに対して「同種の中で一番好き」という意味で使います。
「推し」とは、「一推しのメンバー」を意味する「推しメン」をさらに略した表現です。 ちなみに「推しメン」の「メン」は「面」でも「男(Men)」でもありません。 「推しメン」は2011年ユーキャン新語・流行語大賞で候補語になったが受賞はしていません。現在では「推しメン」に代わり「推し」がよく使われます。 アイドルなどのグループ中で一番応援しているメンバーのことを指す言葉です。 オタクの間では昔から使われていたスラングだが、AKB48が人気を博した際に、世間一般でも認知度が上がりました。 現在では、二次元キャラやスポーツ選手などアイドル以外に対しても広く使われます。 人ではなくモノに対して使う場合もあります。 漠然と「同種の中ではこれが一番好きだ」というニュアンスで用いられます。 ちなみに「推し」という言葉を使った漫画タイトルに『推しの子』『推しが武道館いってくれたら死ぬ』があります。
「推し」の語源は動詞「推す」です。「推し」は「推す」の連用形で、名詞になります。 「推す」の本来の意味は、「ある人やものをある事柄にふさわしいとして他人にすすめる」です。 現在広く使われる「推し」という言葉には「他人に推薦する」という意味は必ずしもありません。あくまでも「他人に推奨したいくらい好き」という意味合いです。 むしろ「推し」がいる人の中には「同担拒否」といって「同じ人を応援している人とは絡みたくない」と思う人も多いです。 他人にすすめるどころか、推し対象を自分のものだけにしたいということですね。 ちなみに「推し」という言葉が続く、慣用句には「推して知るべし」があります。 「推して知るべし」の正しい意味と使い方は分かりますか?
「推し」を使った独特な言い回しには「推しが尊い」「推ししか勝たん」などがあります。 「尊い」は「あがめ敬うべき」「きわめて価値が高い」という意味の言葉ですが、これを自分が推しているアイドルや二次元キャラに対して使うことが最近増えています。 「推しが尊い」は「かっこよすぎて(かわいすぎて)近寄りがたいほど、素晴らしい」という意味合いです。 「◯◯しか勝たん」とは、「◯◯に勝るものはない」という意味の表現です。 自分の推しメンを大絶賛する時に使います。 他のメンバーを間接的に否定することにもなりますので、使う際は注意が必要です。 「お気に入りの曲」「一番好きな曲」という意味で「推し曲」などといったりもします。
「A子ちゃんが推し」というのは「A子のファン」と同義なのでは?と思う人が多いと思います。 たしかに「推し」と「ファン」は類語なのですが、微妙に違いがあります。 「推し」の本来の意味は「他人に推薦する」なので、「推し」を公言する人はただのファンに終わらず、そのアイドルをたくさんの人に知ってもらうために行動を起こす人です。 具体的にはそのアイドルの情報をSNSで拡散したり、友達を誘ってライブに行ったりする、いわば「エバンジェリスト(伝道師)」としての役割を果たすことになります。 AKB48の総選挙に代表される、「アイドルを育てる」というニュアンスがあるのが「推し」です。 上述したのが、本来の「推し」の意味と使い方で、「ファン」より「推し」の方が強意的ということになります。 現在SNSなどで自分の好きな飲み物を「推し」などと形容する場合は、単に「好き」「おいしい」という程度です。 むしろ「ファン」という言葉よりも軽いニュアンスでカジュアルに使われています。
「推し」を通り越して恋愛感情を持ってしまうファンも世の中にはいらっしゃいます。 「いちファンとして、グループの中でこの子を一番応援したい」は「推し」ですが、 「恋をしてしまって会えないのがつらい」という感情までいくと、それは「ガチ恋」「リアコ」ということになります。 上述した「同担拒否」する方は、「ガチ恋」「リアコ」の方が多いです。 ちなみに「好き」をオタク用語では「すこ」といいます。
「推し」の同義語に「自担(じたん)」があります。 「自担(じたん)」はよくジャニオタ用語といわれます。 つまり、「推し」は男性ファン→女性アイドルで使われるのに対して、「自担」は女性ファン→男性アイドルで使われます。 「自担」は「自分が担当しているアイドル」を略した言葉です。 「推し」のように「他人にすすめる」というニュアンスはありません。 「担当」という言葉が使われている点からも、「推し」よりも独占欲が強い語感があります。
「自担」の例文
「DD(でぃーでぃー)」もアイドル用語で、「誰でも大好き(Daredemo Daisuki)」の頭文字を取ったものです。 特定のアイドルを応援するのではなく、複数のアイドルを「掛け持ち」で応援する、いわゆる「複数推し」「全推し」をしている人を指します。 「DD」はしばしばネガティブな意味合いで使われます。 アイドルが無名の時代からずっと応援している年季の入ったファンからしたら、有名になった人は誰にでも飛びつく「DD」は鬱陶しい存在にあたります。 「ミーハー」と近い意味ですね。 「私DDだから〜」と自ら宣言する時に使う場合もあります。
「推し」を正しい日本語で表すと「贔屓(ひいき)」ですね。(「推し」もいつか国語辞典に載る日がくるかもしれません) 「気に入った人を目にかけて、可愛がること」を意味します。 ただし「贔屓様」とすると「後援者」「パトロン」の意味になり、ファンのことを指します。
「最推し」とは「推しているメンバーの中で最もお気に入り」であることを意味します。 これは「推し」が複数いるファンが使います。
「最推し」の同義語に「一推し」があります。 文字通り「一番に推しているアイドル」を意味します。 「一推し」はそもそも「第一に推薦する」という意味で、一般的に広く使われている熟語です。 ちなみに一般的に使う「一推し」は「一押し」と漢字表記することの方が多いですし、アイドル用語と混同を避けるためにこちらを使った方がよいかもしれません。 そして、二番目、三番目は「二推し」「三推し」と続きます。
「単推し」は「最推し」「一推し」とは違います。 「単推し」は「たった一人しかいない推し」または「たった一人だけを応援すること」を意味します。 「単推し」をするファンの中には、他のメンバーには目もくれず、ソロ活動を願ってやまない人もいます。
「単推し」と似た言葉に「神推し」「激推し」があります。 「神推し」「激推し」は「熱狂的に応援する特定のメンバー」または「特定のメンバーのみを熱狂的に応援すること」を意味します。 「神推し」「激推し」は「単推し」である場合が多いですが、必ずしも他に推しがいないとは限りません。
「単推し」「神推し」「激推し」の対義語にあたるのが「箱推し」「全推し」です。 「箱推し」「全推し」は「グループ全体を応援すること」です。 ちなみに筆者はNiziUを箱推ししております。
「推し変」は「推しを変更すること」を意味します。 あるアイドルから他のアイドルへと応援する人を変えることを指します。 同じグループ内よりも違うグループのアイドルに変更する場合が多いです。 ジャニオタ用語の同義語には「担降り」があります。
「推し増し」は、既存の推しを変更することなく、さらに推しを増やすことを意味します。 推し増しを続けると経済的に大変なことになってしまうので注意です。
「推し被り」は自分が推しているアイドルを他の人も推していることを指します。 類語には「同担」があります。 「同担」は同じアイドルを応援している他人を意味します。 推し被りが発生した際、共感して仲良くなるパターンと敵対視して不協和音が鳴り響くパターンがあります。
「推しぴ」とは「推している人」を意味します。 「ぴ」は「ピープル(人々)」の略です。 「ピープル」は複数の人を指しますが、「推しぴ」は一人のアイドルに対しても使うことができます。 「推しぴ」の類語には「好きピ」があります。 「好きなピープル」の略で、「好きな人」のことをさす言葉ですが、恋愛相手だけではなく、仲の良い友達や好きな芸能人に対しても使うことができます。
「推し事」とは「推しを応援する事」と「お仕事」をかけた造語です。 「仕事をするかのように(義務のように)、推しを応援すること」を指します。 毎日SNSで「いいね」を押したり、すべてのテレビ番組を録画したり、CDが発売されたら全てのバージョンを予約するなどが「推し事」です。 「推し事」は「推し活」ともいわれます。