「わかりみ」とは「分かる」を名詞化させた「理解、同意、共感」などを意味する若者言葉で、相手の言ったことなどに対して使います。さらに「わかりみが深い」ともよく用いれています。今回はそんな「わかりみ」の意味や語源について詳しく解説していきます。さらに類語と対義語、英語も紹介しますのでぜひ参考にしてみてください。
「わかりみ」は「理解」「同意」「共感」などを意味するスラングです。 若者が中心に使っている言葉です。 SNSでも会話でも使われています。 正しい日本語ではないことから気持ち悪いという人も多くいますので、使う相手には注意しましょう。 主な言い回しは
となります。 そして「わかりみ」の応用編には「生類わかりみの令」があります。 これは江戸時代に第5代将軍の徳川綱吉によって制定された「生類憐れみの令」にかけています。
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「わかりみ」にはこれといった元ネタはありませんが、多くの若者が使用しています。 2016〜2017年頃からツイッターなどSNSで使われ始めました。 2019年の「ギャル語流行語大賞」では3位に入賞するほどで、若者のほとんどが使っています。 心理カウンセラー兼作家である五百田達成は、この「○○み」という言葉に対して「主語の意志が欠けており、それによって感情の所在が曖昧になり感情の責任を自分から引き離そうとしているところが賢いと述べています。 さらに他人と同化して自己を隠すという方法は、かなり日本人的な言い回しであるとして現代的なコミュニケーショントレンドであると指摘しています。
接尾辞の「み」は正しくは形容詞または形容動詞の語幹に付いて名詞を作ります。 「赤み」「温かみ」「甘み」「ありがたみ」「新鮮み」「面白み」「高み」「深み」「茂み」などです。 この「み」は「味」と当て字することがあります。「あまみ」を「甘味」と表記すると「かんみ」とも読めますので注意が必要です。 夏目漱石の長編小説『道草』に「淋し味(さびしみ)」という表現で出ており、これが「わかりみ」の由来ではないかという意見がありますが、全くの間違いです。 「淋しい」は形容詞なので、正しい「み」の使い方になります。 このような表現は漱石に限らず、ありとあらゆる小説の中で見受けられます。 形容詞や形容動詞ではない動詞に「み」を付けて名詞化し、響きを可愛くしたのが若者言葉の「わかりみ」です。
「わかりみ」以外の「◯◯み」には、「会いたみ」「つらみ」「やさしみ」「ねむみ」「よさみ」「やばみ」「尊み」「ママみ」などがあります。 「会いたい」という動詞に無理矢理「み」を付けているので、成り立ちが「わかりみ」に近いです。 しかし「つらみ」「やさしみ」「ねむみ」は形容詞を名詞化したもので正しい日本語です。 ただし「つらさ」「やさしさ」「ねむさ」とするのが一般的な名詞化なのでスラング的な響きがあります。 「よい」の名詞は「よさ」なので「よさみ」はスラング表現にあたります。 「やばみ」は文法的には正しいですが「やばい」という言葉自体がスラングなのでスラングといえるでしょう。 「尊み」も活用としてはありえますが、「尊い」はスラング的な意味で使われているのでスラングといえます。 「ママみ」のように名詞に新たに「み」を付けるのもスラング表現です。 そしてこの「○○み」には応用編があります。 「やばみざわ」「あげみざわ」→THE ALFEEの高見沢さんにかけています。 「尊み秀吉」→豊臣秀吉にかけています。 尊すぎてやばい時は「天下統一レベルの尊み秀吉」などと使うこともあります。 「近藤良さみ」→近藤勇にかけています。 よく思いつきますよね…
「○○たん」もよく使われています。 例えば「つらたん」「きゃわたん」「やばたん」「こわたん」などがあります。 「○○み」と同様に形容詞または形容動詞の語幹に付いて名詞を作ります。 「たん」自体に意味はなく、語感がいいことで使われているのでしょう。 「つらたん」は「辛い」に「たん」が付いた言葉です。 「きゃわたん」は「可愛い→きゃわいい」、「やばたん」は「やばい」、「こわたん」は「怖い」となります。 ちなみに「○○ちゃん」を「○○たん」と呼ぶこともりますが、この場合は人名に付くため「つらたん」などとは使い方が異なります。 名前につく「○○たん」は「ちゃ」を上手に発音出来ない幼児による幼児語が語源となっています。
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「あげぽよ」「さげぽよ」を筆頭に使われている「○○ぽよ」。 これは2010年頃に流行した若者言葉の語尾となります。 「ぽよ」も語感がよく可愛いことから使われており、意味はありません。 ちなみに「あげぽよ」は「上げる」に「ぽよ」が付いた言葉で「テンションが上っている」「アゲアゲの状態」を表します。逆に「さげぽよ」は「テンションが下がっている状態」を表します。 他にも「お疲れさま+ぽよ」で「おつぽよ」、「萎える+ぽよ」で「萎えぽよ」などがあります。
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「あーね」は「あーなるほどね」「あーそうだよね」の略語です。 相手の言ったことに対して納得したり理解したことを表す言葉です。 「それな」「それ」は「私もそう思う!」「その通りだよね!」といった意味です。 相手に対して共感や同意をした際に使われている言葉です。 これは良い話の内容でも悪い話の内容でも使うことができます。
「わかりみ」の類語には「り」「りょ」などがあります。 これは「了解」がまず「りょ」に略され、さらに略されて「り」となりました。 LINEなどのメッセージアプリで返信を簡素化するために多く使われます。 「り」だけで会話が成り立つってすごいですよね。 「明日10時集合ね!」「り」といったように使います。
「おけまる」は「オッケー」「了解」「いいよ」を意味する若者言葉です。 「オッケー」を「おけ」と省略し、句点「。」を「まる」と表現し、それらを組み合わせて生まれたスラングです。 「まる」は句点ではなく、丸印「◯」が由来とする説もあります。 「おけまる」には元ネタがあるわけではなく、JK(女子高校生)が会話やLINEの中から生まれた表現です。 「おけまる」という表現がここまで人気になったのは、「まる」という響きがかわいいからです。
これは少し古いですが「おk」もネットスラングとして「オッケー」の意でよく使われていました。 これはミスタイプから生まれたスラングです。 日本語入力のまま、パソコンのキーボードで「OK」と打つと「おk」と表示されますよね。 現代では若者はスマホユーザーが圧倒的に多いので、あまりこのようなミスタイプから生まれるスラングは少なくなってきています。 「おk」を二連続でタイピングした「おこk(OKOK)」という表現もあります。 同じくミスタイプから生まれたとされるスラングに「すこ」があります。
「ありよりのあり」の意味は「めちゃくちゃあり!」となります。 これは2016年頃から流行りだした言葉です。 実はこれ「あり寄りのあり」のことで「ありかなし」で判断をする時に用いられています。 他の使い方を見ると分かりやすくなるので解説してきます。 まず「ありよりのあり」の他に「ありよりのなし」「なしよりのあり」「なしよりのなし」があります。 「ありよりのなし」は、「割とありだけど、どちらかと言えばなし」です。 「なしよりのあり」は、「まぁ完全にあり!とは言えないけど、どちらかと言えばあり」です。 そして「なしよりのなし」は、「完全になし!」となります。
「禿同」は「はげどう」と読みます。 これは「激しく同意」を略して「はげどう」となり、「はげ」の部分を「禿」に変換されたスラングです。 相手に対して強い同意を持っている時に使います。 「結婚できないんじゃなくて、しないだけなんだよな」「禿同」 「椅子に10万って思うかもしれないけど、それだけで仕事の捗り方も腰の楽さもレベチ」「禿同」 などと使います。 ちなみに「レベチ」は「レベルが違う」の略で「比べ物にならない」といった意味で使われています。
「だいじょばない」は「大丈夫じゃない」のくだけた言い方です。 「だいじょうぶ」の「ぶ」の子音「B」と「じゃない」の「じゃ」の母音「A」がくっつき「だいじょばない」となりました。 使い方は「大丈夫じゃない」と同じです。 ちなみに方言で「だいじょばない」を使うところもあるようです。
「なしよりのなし」は「完全にない!」という意味です。。 「ありよりのあり」のところで詳しく説明しましたが、「なしよりのなし」は全否定することを表すスラングです 例えば「AくんBちゃんのこと好きみたいだし、付き合っちゃえばいいのに」「なしよりのなし!」などと使います。 「ありえない!」「断固拒否!」といった意味を含みます。